希望の島・沖縄 アリは象に挑むU
▼プロローグ▼

 国土面積の0.6%しかない沖縄に、在日米軍専用基地の74.46%が押し付けられています。私たち沖縄の人々が「基地の整理縮小」を大きな声で主張するきっかけは、1995年9月に3名の米兵により少女が乱暴された事件でした。

 「行政をあずかるものとして、本来守るべき幼い少女の尊厳を守れなかったことを心の底からお詫びしたい」との大田昌秀沖縄県知事(当時)のスピーチは沖縄県民に深く共有されました。

 私たちの「基地の整理縮小」という当然の要求に、日米両政府は次の合意などを発表しました。「米軍の普天間飛行場を返還する。ただし沖縄の清澄なサンゴの海を埋めて飛行場をつくって移設する」。このひどい合意を振り払う闘いを沖縄の人々は続けています。


 1998年12月から2011年3月11日の東日本大震災まで、「労働情報」誌に由井晶子さんが連載した記事をまとめて、2011年6月に出版されたのが『沖縄──アリは象に挑む』(七つ森書館)でした。
 2014年11月、新たな基地建設は許さないことを公約に「オール沖縄」で支えられた翁長雄志知事が誕生しました。残念なことに、2015年4月28日に由井さんは軽い脳挫傷を患い現場に立てなくなり、現在は複数のライターが「労働情報」に沖縄報告を書き継いでいます。


 いま、辺野古の清澄な海を埋める米軍の新基地建設計画をやめさせ、米軍が勝手に作った普天間飛行場の閉鎖を求める声が県民の8割に上り、翁長知事を支えています。前知事が出した埋め立て承認を、2015年10月13日に翁長知事は取り消しました。その後、日本政府は沖縄県を訴え、2016年3月4日、日本政府と沖縄県は裁判所の出した和解に応じました。
 2016年4月、元海兵隊員に20歳の女性が殺され、森に遺棄されるという事件があり(被疑者の黙秘で全容はまだ明らかではありません)、6月19日に哀悼の県民大会を持ちました。

 由井さん執筆分を中心に、引き継いだライターたちの6月23日(慰霊の日)の報告までを収録したのが本書『希望の島・沖縄──アリは象に挑むU』です。


 前著のエピローグで、由井さんは次のように記しています。

 いま一押し、普天間閉鎖、沖縄に新基地は要らないと全国で声を上げなければならない。改めて、沖縄に関わってきた人々の持続的な取り組みを要望したい。

 また、由井さんに「現在の沖縄の状況」について訊ねたとき、次の返事をいただきました。

 翁長雄志さんは2012年9月、当時は那覇市長でしたが、オスプレイ配備に反対して普天間飛行場前で座り込みました。赤いゼッケンを着けてね……最高でした。沖縄県知事になられて政治家として成長したように思えます。とっても素晴らしい。

 

 辛淑玉さんは、『沖縄──アリは象に挑む』の帯に「希望の叛日本史」と題して次の文を寄せています。

 沖縄の人々の強さは、国家に対して「正しい被害者」になったことだ。国家と共に、加害を隠ぺいすることを拒んだ歴史が、いま、ここに継続してある。そこに、日本のこの社会の希望がある。

 

 『沖縄──アリは象に挑む』の出版から5年、辺野古の陸に、海に、全県から、全国から、そして全世界から新基地建設を止めるために人々が集まっています。その成果として一握りの土砂も辺野古の海に入れさせていません。また「どの故郷にも戦争に使う土砂は一粒もない」との辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会も生まれています。
 本書が「希望の島・沖縄」をたぐり寄せる一助になればと念じています。

 

2016年6月27日  共同編集者 真喜志 好一(建築家)

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