たたかいの現場から
809号

東水労「監理団体業務委託計画」の見直し求めた1時間ストに大量処分

 東水労は昨年12月秋季年末・局内反合理化闘争で業務の「監理団体委託の計画見直し変更」を求めるとともに、新たな営業所をはじめとする業務移転提案の撤回を当局に迫ってきた。これは新年度の執行体制を決めるもので、賃金確定闘争と合わせ重要な闘いだ。
 水道・下水道両局はこの間、公営企業の根幹業務である現場業務を監理団体へ移転するとして、業務委託の範囲を拡大してきた。
 監理団体とは都が資本出資している、株式会社PUC、東京水道サービス株式会社、東京下水道サービス株式会社の3社で、当局は第二の水道・下水道局と位置づけ一体的事業運営を行うとしている。
 昨年11月に要求団交を行い、三角三層の経営計画(コアは局・準コアは監理団体委託・定型は一般委託)の見直し、直営事業所の確保、退職派遣の労働条件の再協議を求め闘いを進めてきた。  水道では業務移転実施から3年が経過するなかで、技術移転が計画どおり進まず退職派遣職員だのみの現場実態に目をそらし、順調に進んでいるとの主張に終始する当局。下水道においても執行体制を提示しない当局に対して、12月10日、反合闘争としては3年ぶりに始業時1時間ストを全職場で打ち抜いた。そのうえで再度当局に判断を迫るため、越年し1月闘争で解決を目指すこととした。
 1月闘争は職場での団結署名、職場交渉を軸に、スト戦術を28日に配置し両局に最終決断を迫った。
 私たちの要求は、直接的には将来にわたって働き続けられる職場の確保、派遣職員の労働条件向上などであるが、その根底にあるのは利益・効率性の追求に走る当局の経営計画見直しの変更である。
 直営職場の確保は事業局としての100年余の技術・ノウハウの継承であり、一方、委託関連労働者の低賃金・不安定雇用構造の解消なくしては、都民生活に責任を持つ公営事業足りえないとの現場労働者の思いがある。  1月28日未明の最終回答は提案の一部見直し、延期協議として整理したが、2月3日には46名に及ぶ大量不当処分を当局は発令した。これは、経営方針に異を唱え実力行使をする労働組合への、公務員制度改悪攻撃を先取りした弾圧だ。
 いま、菅政権が進める新成長戦略に位置付けられている上下水道で「東京」の技術・運営ノウハウが売り口調で語られているが、職場の空洞化、技術の消失は限界点に達しつつある。
 越年闘争の地平を具体化させるため、職場を基礎にした取り組みがこれから始まる。

小泉尚之(全水道東京水道労組)

東部労組HTS支部塩田委員長
 「アサイン停止問題」で都労委より勝利命令

 『週刊金曜日』の取材に応じたことで、阪急トラベルサポート(HTS)より「アサイン停止」(事実上の解雇)を受けた全国一般東京東部労組HTS支部の塩田委員長に2月4日、東京都労働委員会(都労委)は「命令」(=判決)を交付、アサイン停止が不当労働行為であり、塩田さんを添乗業務に復帰させること、アサイン停止日から業務に復帰するまでの間、塩田さんが受けるはずであった金員相当額を支払うこと(バックペイ)などをHTSに命じた。組合側の勝利命令である。
 HTSは09年3月、『週刊金曜日』同年2月20日号に掲載された「シリーズ 生きている労働組合」の記事を「内容は虚偽の事実」とし、取材に応じただけの、文責もなく発行主体でもない塩田さんに対し、事実上の解雇処分を通告してきた。一方で、HTSは現在に至るまでライターの野村さんと『週刊金曜日』に対して抗議などはしていない。
 都労委は命令文において、「塩田が野村の取材に応じたことを奇貨として……事業場外みなし労働時間制の撤廃を巡って激しく会社と対立していた組合の支部執行委員長である同人を職場から排除することによって、組合の会社における影響力を弱体化することにあったと判断せざるを得ない」として、会社の狙いが塩田さんの職場からの排除にあった、と不当労働行為意思を明確に認定した。
 インタビューに応じた労働者を「処分」するということは、「言論の自由」の侵害でもある。この点から、「塩田さんへの事実上の解雇を許さない!文化人・言論人アピール」運動、MIC(日本マスコミ文化情報労組会議)の抗議声明、『週刊金曜日』を発行する株式会社金曜日とライターの野村さんもHTSに対して損害賠償を求める訴えを起こすなど、社会的包囲が形成されていった。
 組合は、勝利命令当日、厚労省記者クラブで『週刊金曜日』との共同記者会見を行い、塩田さんは「職場復帰を強く求める」と訴えた。
 この命令を受け、組合はHTSに対し、都労委命令を守り、塩田さんをただちに添乗業務に復帰させるよう、強く求めていく。

菅野存(全国一般東京東部労組委員長)

シンポ「エビ加工労働者とわたしたち」 エビから問い直す日本の食事情

 APLA(Alternative People's Linkage in Asia)は2008年の設立以来、インドネシア・東ジャワで粗放型・環境保全型養殖方法でエビをつくっている人たちとつながり、環境という視点を切り口に持続可能な地域づくりをめざして協働を進めてきています。
 このエビは、「エコシュリンプ」と名づけられて日本に輸出されていますが、養殖池でエビを育て収獲する農民だけが生産者ではない、輸出するにあたり必要不可欠な冷凍加工のプロセスを担っている労働者たちのことも知りたい!と、09年には念願の「エビ加工労働者に関する調査」を行いました。今回は、インドネシアから当事者である工場労働者を招いて、〈インドネシアの工場労働者の素顔〉に迫ります。
 一時期マスメディアが大騒ぎをした「冷凍ギョウザ事件」のように、何か問題が起こったときにだけ取り沙汰されては、すぐに忘れられていく加工・冷凍食品の裏側。生産と消費の現場が遠くかけ離れてしまったことによって生まれている〈食品流通のブラックボックス〉をこじ開け、〈生産者と消費者の顔が見える関係〉の可能性をみんなで一緒に探りましょう。
 そうすれば、オルタナティブ・トレード(もうひとつの貿易)、フェア・トレード(公正な貿易)の姿が見えてくるかもしれません。

◎日時:2月19日(土)13時30分〜16時(13時開場)
◎場所:在日本韓国YMCA青少年センター 9F国際ホール
◎参加申し込み 名前・連絡先・所属を記入の上、APLA(fax:03−5273−8667)まで。

APLA(Alternative People's Linkage in Asia)

「生活と社会を創り変える11春闘に」 11けんり春闘が発足集会

 「11けんり春闘」の正式なスタートとなる発足集会が2月1日夜、東京都内の新橋交通ビルで開催された。主催者の11けんり春闘全国実行委員会を代表して、伊藤彰信共同代表(全港湾委員長)は「法人税減税や消費税引き上げ、TPP参加など大企業のために労働者や農業を切り捨てている菅政権に対して、今春闘は単に賃上げを求めるだけではなく、政権交代をさせた力でこれまでの社会構造をどうやって変えていくか、生活を、社会を創り変える春闘の出発点とする集会にしよう」と呼びかけた。  続いて@貧困・格差社会に反対し「人間らしい仕事と生活」が可能な大幅賃上げの獲得、Aどこでも誰でも1時間千200円の賃金補償、B派遣法改正の早期成立をめざし、労働者保護制度を取り戻す、C整理解雇四要件を無視した組合潰しの日航の整理解雇反対などを柱に据えた春闘方針案が、全労協本部・中岡基明事務局長より提案された。  また、当面の具体的行動として、2月24日の東京総行動での日本経団連要請・抗議行動を第一波に、第二波として3月13日のマーチ・イン・マーチを含めた官民参加団体の集中した職場での闘いを取り組み、そして第三波として4月6日には中央総行動などを配置しながら、中小民間労組の春闘へとつないでいくことが提起され、参加者全員の力強い拍手で採択された。  さらに今回の春闘学習会では「不況は人災です!」というテーマで、松尾匡・立命館大学経済学部教授からパワーポイントを駆使した歯切れの良い講演が行われた。失業の増減と犯罪や自殺などがリンクしていること、景気が悪くなると労働運動は停滞し、政治は右傾化すること、小泉構造改革の失敗など様々な切り口で景気との相関図が解説され、「不況脱出には賃上げ、とくに非正規労働者の賃金・労働条件の改善と、医療・福祉・子育て支援が必要」など、すとんと胸に落ちる非常にわかりやすい講演となった。  集会は最後に「我々は雇用か賃金かではなく、雇用も賃金も勝ち取ることを目指そう」と高らかに宣言した、金澤壽・全労協議長の団結ガンバローで締めくくった。

岩崎松男(本誌副編集長)

一坪共有地裁判傍聴闘争に参加を

 成田空港会社が提訴した「第2801号 共有物分割請求事件」裁判(現闘本部)で柳川秀夫さん、山崎宏(池田秀久)さんの証人尋問が以下の日時で行われます。空港会社は不当にも「証人尋問は不要」という「意見書」を提出し、2名の証言の妨害を図りましたが、裁判所は尋問を認めました。
【柳川秀夫さんの証人尋問】
◎2月24日(木)15時 千葉地裁601号法廷
【山崎宏さんの証人尋問】
◎3月11日金13時45分 千葉地裁602号法廷
◎いずれも開廷30分前には各法廷前に結集してください。終了後、集約報告。
千葉地方裁判所(JR千葉駅から徒歩15分、京成千葉線千葉中央駅からは8分)
問い合わせ:大地共有委員会(U)
tel&fax: 0479−78−0039

◎2・24三里塚一坪共有地裁判闘争宣言

……三里塚・大地共有委員会(U)  代表 加瀬 勉

 今日、我々は三里塚闘争一坪共有地1千100余名を代表して千葉地裁の法廷に立って闘いを開始する。我々が法廷に立つということは、空港建設の権力犯罪を告発し彼らを裁く為のものである。裁かれるのは断じて我々ではない。裁かれるのは彼ら自身である。  三里塚シンポでは政府は三里塚の農民に謝罪した。黒野(空港株式会社)も謝罪した。だが、彼らは強権政治、政策を改めようとしない。そればかりではない。30万回発着を企んでいる。「共有物分割補償」という法の名をかりて、我々一坪共有者を被告人に仕立て新たなる土地強奪を企てんとしてきた。昨年12月に空港株式会社は、我々の証人尋問反対を裁判長に文書を持って申し入れた。問答無用というわけである。この権利蹂躙の行為に断固として抗議をする。一寸の土地も売り渡すことはない。これが我々の不退転の決意であり生涯変わらぬ意志であることをかさねて表明する。  我々は1千100余名の全国一坪共有者に心から訴える。権利とは、要求し主張し擁護する活動によってのみその存在意義を発揮する。我々の主体的行動がなければ権利は消滅し、一坪共有地は彼ら権力の手の中に落ちるのである。一坪共有者の強固な意志と行動で全国戦線を作り上げ、彼らを包囲し追い詰めていこうではないか。今日、千葉地裁の法廷にたった我々は、その先頭にたって闘うことを誓うものである。  「落花流水」三里塚激闘の40年余、我々は一度たりといえども目先の困難にひるんだことはない。権力犯罪、強権政治、独裁政治、侵略者はかならず人民の民主的要求行動によって打倒され葬り去られる。これは歴史の教訓であり法則である。今、新たに起こりつつあるチュニジア、エジプト等中東の人民の闘いをみるがよい。これが強権政治、独裁者の運命であり末路である。おごる自民党政権も権力の座から引きずり下ろされたのではないか。  「三里塚ハブ空港の建設」はグローバル化を代表する政策であった。我々は強権政治、支配を許さなかった。強権政治、競争激化の社会、貧困と差別拡大の社会を許し容認するか、それとも共栄、共存、「健康で文化的な生活」の社会体制を選択し創りあげるか。今、その岐路に我々は立っている。「三里塚に空港はいらない」「コンクリート社会はいらない」三里塚に緑の大地を三里塚に緑の田畑を、これが我々の要求である。「一坪共有地は断固死守する」我々は毅然として千葉地裁の法廷に立って闘いを開始する。

……三里塚・大地共有委員会(U)  代表 加瀬 勉

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