たたかいの現場から
776・777号

第21回全労協大会開催される
 全労協初の組織内議員・服部良一さんも参加

 全労協第21回定期大会はさる9月24〜25の両日にわたり熱海にて開催された。
 冒頭、藤崎良三議長は「民意による政権交代・新政府樹立は、日本近代政治史上初の出来事」と指摘し「働く者が報われる社会」の実現へ向けた新たな闘いの始まりであることを押さえて、更なる闘いを進めていかなければならないと訴え、また、「年越し派遣村」の教訓から社会的運動を担える労働運動の前進、重要期に入った国鉄闘争を始めあらゆる争議の支援・連帯闘争の強化を訴えた。
 大会は各争議の報告から始まり、「労働審判員」の各地全労協への拡大の声や、国労高崎の代議員からは、企業内運動からの脱皮、地域ユニオンとしての運動領域拡大と、その中から問題になっている八ッ場ダム問題は、利権の巣と化し声を圧殺されようとする反対する住民の立場に立ち、ダム建設は白紙と断言した前原国土交通相の方針を断固支持すると発言があった。
 大会発言は26名に及び、中には東京総行動の節目には全国結集も掛けるべきとの声もあった。  関心が持たれたのは、大阪全労協の元幹事で昭和起重機の委員長だった服部良一君が社民党近畿ブロック比例で当選し、全労協としては組織内議員の誕生と成ったことで、一日目の交流会に出席しその挨拶は全体の拍手をあびた。
 新人事は、副議長の交代や新常任幹事の登場もあったが、藤崎議長の再任で新体制が発足する事になった。  あえて述べるとすれば、歴史的政治変化をどのように位置づけるかについて代議員全体としては戸惑いがあったように感じた。

(協同センター・労働情報代表 前田裕晤)

政権交代実現−さぁ派遣法改正だ!
【資料】 労働者派遣法の早期抜本改正を求める 9.30院内集会アピール

 8月30日の総選挙の結果、長い長い自・公政権支配が終焉し、やっと政権交代が実現した。民主・社民・国民新党の連立内閣は、9月9日の「連立政権樹立にあたっての政策合意」において、雇用対策の強化の筆頭に「労働者派遣法の抜本改正」を掲げ、「派遣業法」から「派遣労働者保護法」に改めること、「日雇い派遣」「スポット派遣」の禁止にとどまらず、「登録型派遣」は原則禁止して安定した雇用とすること、製造業派遣も原則禁止すること、違法派遣の場合の派遣先との直接雇用みなし制度を創設すること、マージン率の情報公開を実現するとしている。これにより、日本の市民、労働者、労働組合の悲願である「労働者派遣法の抜本改正」が夢ではなくいよいよ現実のものとなった。
 我々は、昨年秋以降の「派遣切り」などの非正規労働者に対する雇用破壊の元凶は、使用者の非情なまでの雇用切り捨てを法的に許している「労働者派遣法」をはじめとする現行の労働法制にあることを指摘し、わが国の労働者の失業不安を払拭し雇用の安定を取り戻すためには、何よりもまず労働者派遣法の抜本改正を行うことが必要であると強く訴えてきた。この我々の訴えが当時の野党3党による「派遣法抜本改正案」の合意と国会提出につながった。
 しかしながら、未だ派遣法改正はなされず、現在も失業率は戦後最悪を更新しており、政府の発表だけでも完全失業者数は360万にも上り、潜在的にはそれ以上の失業者が溢れている状況にある。雇用破壊の嵐は未だ止むことはなく、今や非正規労働者だけでなく正社員労働者をも巻き込んで、極めて深刻な事態が進行している。このような悲惨な雇用情勢を一刻も早く改善し、安易な派遣切りなどの雇用切り捨てを二度と許さないために、我々は改めて3党連立政権に対し、一刻も早く以下のような労働者派遣法の抜本改正を実現することを求める。
(1) 登録型派遣を原則禁止すること
(2) 製造業務への派遣を原則禁止すること
(3) 違法派遣の場合の「直接雇用みなし制度」を創設すること
(4) 派遣労働者と派遣先労働者との労働条件の均等待遇原則を確立すること
(5) マージン率の上限規制を設けること
 最も重要で効果のある失業と貧困の対策は、失業が発生した後のセーフティネットを張ることではなく、失業そのものを予防することであり、現在横行している違法な解雇・雇止めと安易な雇用の切捨てをさせないための労働法制を整備することである。我々は3党連立政府と立法府の素早い対応を強く熱く期待する。

2009年9月30日
労働者派遣法の抜本改正を求める共同行動

ピョンヤン宣言7周年のつどい

 2002年9月17日の小泉・金正日会談で発表された「ピョンヤン」宣言から7年が経過した。しかし「過去の清算」と「拉致問題の解決」を実現する日朝国交正常化交渉は全く進展していない。こうした危機的状況を打開する方向を探るために、「ピョンヤン宣言7周年のつどい 過去の清算と拉致問題の解決を考える――日朝国交正常化早期実現を!」集会が9月15日、東京の文京区民センターで開催された。主催は「『韓国併合』から100年 真の和解・平和・友好を求める2010年運動」。集会には220人が参加した。
 集会では、拉致被害者の蓮池薫さんの兄で、元拉致被害者家族連絡会(家族会)事務局長の蓮池透さんが講演した。蓮池透さんは「マスコミは北朝鮮に対する強硬論以外は報道しない。核・ミサイル・拉致問題に対して語られるのは制裁の強化の一点張りだ。しかし制裁は効果的なのか。制裁によって核がなくなり拉致被害者が帰ってくるというのならば効果的といえようが、全くそうではない。拉致と核とミサイル問題の『包括的解決』という主張は逃げ口上だ。核の問題と拉致の問題はきっちり区別して対処することが必要だ」と切り出した。  「帰ってきた5人は、つねに北朝鮮に残された被害者のことを考えている。政府は拉致問題の進展・解決とは何かを示す必要がある。ピョンヤン宣言で確認した『過去の清算』とは何かをはっきりさせ、ただちにそれを実行すべきだ。鳩山政権は大きく方針転換すべきだ。核と拉致は別の話であり、拉致は日朝間の問題だ。自国民の生命・財産を守るのが国家の任務ではないか。必要なのは制裁ではなく対話と交渉であり、交渉なくして和解はない。そして対話のためには過去の問題の速やかな処理が必要だ」。
 蓮池さんはこのように訴えた。
 「ノレの会」の合唱の後、VAWW・NETジャパン共同代表の西野瑠美子さんが講演した。西野さんは「被害者を置き去りにした『和解』はありえない。過去の清算という時、加害責任を飛び越えたところで真の『和解』はない」「河野談話は歴代政府も踏襲しているが、実質はないがしろにされている。2007年に米下院で軍隊慰安婦への謝罪を日本政府に求める決議が行われたが、日本政府はこの決議を阻止するためにロビー活動を米国の企業に委託し、『日本は何回も謝罪した。決議は不利益をもたらす』と議員工作を行った。それが日本政府の信頼を失墜させたことを北朝鮮も見抜いている」と語る。
 「外相となる民主党の岡田克也氏は、核問題と拉致問題の解決なくして国交正常化はないとして制裁論に固執している」と批判した西野さんは、鳩山政権の政策転換を促した。

(本誌編集委員 国富建治)

「NO NUKES FESTA 2009」に7000人が集まる

 10月3日、東京・明治公園で「NO NUKES FESTA 2009」が開催
では、呼びかけ人を代表してルポライターの鎌田慧さんのあいさつ、小木曽美和子さん(福井県)の「原子力をめぐる全体状況」報告、国会からは相原久美子参議院議員(民主党)、新内閣特命担当大臣の福島みずほ参議院議員(社民党党首)のあいさつ、青森、佐賀、山口などからの現地報告などがつづいた。パレードにも多くの人が参加した。

(撮影 今井明)

免状等不実記載国賠請求裁判で勝利確定

 9月9日、東京高等裁判所第23民事部(鈴木健太裁判長)は、10・24免状等不実記載弾圧を許さない! 国家賠償請求裁判で横浜地裁のAさん(反戦活動家)に金33万円、越境社に金11万円、関西新時代社に金11万円を支払えという判決を維持し、神奈川県の控訴を棄却した。  Aさんは、免状等不実記載罪(運転免許証に記載されている住所〈実家〉と現住所が違っていた)で県警察公安3課に不当逮捕され、10日間の勾留と人権侵害の取り調べを受けた(06年10月24日)。  「10・24免状等不実記載弾圧を許さない! 国賠裁判に勝利する会」を結成し、川村理弁護士、内田雅敏弁護士とともに権力犯罪を許さないために国家賠償請求を横浜地方裁判所民事部に起こし(06年12月25日)、勝訴した(08年12月16日)。  しかし県は、判決を不服として控訴、高裁で控訴審に入っていた。判決は、一審判決を概ね支持しているのだが、全く問題がないわけではなかった。実家という「第二の生活本拠」を認めず、住所複数説を否定し免状等不実記載罪が成立していると判断した。さらに公安警察のAさんたちに対する捜査を「情報収集にあったことが窺われる」と認定しながら、「政治的に弾圧することを目的としていたことを認めるに足りる証拠はない」などと矛盾した評価を行った。  そもそもAさんに対する長期の監視・尾行、逮捕したのは政治弾圧のためにやったことではないか。実家、越境社、関西新時代社への長時間にわたる家宅捜索は、最悪の人権侵害であり、政治的弾圧ではないのか。こんなに矛盾しきった主張を平然とやってしまうところに高裁が一貫して繰り返してきた「白を黒といいくめる」体質を見事に表現している。  こんな公安警察を防衛する東京高裁だが、「罪証湮滅、逃亡のおそれ」があったため強制捜査・逮捕が必要だったという荒唐無稽なでっち上げストーリーを批判し、排除するしかなかった。  9月15日、神奈川県は上告しないことを決定。高裁判決確定した。公安警察は、これ以上の人権侵害・憲法違反を繰り返さないために解散せよ。

(10・24免状等不実記載弾圧を許さない! 国賠裁判に勝利する会 山下一夫)

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