たたかいの現場から
784号

自主営業で頑張る王城ユニオン
 上野駅前の「サウナ王城」と「カプセルホテル・サラン」

 11月3日、上野駅前の「サウナ王城」(張 碩[たみひろ]社長・従業員数18名)では従業員を集め「11月28日をもって事業所を閉鎖する」「基本給1ヵ月を支払うので退職してもらいたい」と通告した。  従業員は、知人を介し派遣ユニオンに相談し11月17日、組合結成を通告した。団体交渉を会社は専ら弁護士任せにし、閉鎖理由は「赤字」としているが財務資料は一切明らかにしていない。張=玉山一族は駅前ビルではサウナ、カプセルホテル、雀荘を経営しているが、その他に漢方診療所、喫茶店も経営している。  派遣ユニオン関根書記長は「7月に前社長が亡くなって、新社長となったが、一体として経営してきた関連会社や個人資産は守りつつ、経営が面倒になったサウナだけは閉鎖し、長年働いてきた従業員を使い捨てるのは許されない」と話す。  当事業所には勤続年数が20年以上をはじめ、10年以上の人が何人もいるが雇用保険、労災保険未加入、有給休暇もなし、時間外・休日・深夜割増賃金も退職金制度もないが、この業界では常態化しているらしい。「よくこんな労働条件なのに」の問いに、同書記長は「接客やここの仕事が好きで、アットホームな職場だから長く働く人が多いのだと思う」と言う。確かに、ガスや電気、水道の停止で脅かされてはいるが当該組合員の表情は明るい。  ユニオンとしては「とにかく、営業を継続しろ」が要求。全国ユニオン、派遣ユニオンは連日動員でビルの防衛、周辺の宣伝行動などで自主営業を継続し閉鎖方針の撤回を求めている。

(編集委員 平田豊)

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