たたかいの現場から
850号

電機等での大リストラ 日本IBMでは「指名解雇」も強行

 電機産業ではパナソニック4万人、NEC・リコー・ソニー・シャープ各1万人、ルネサス1万4千人等、13万人ともいわれる規模のリストラがすすめられていると『赤旗』は報じている。
 しかし、膨大な内部留保を抱える各社では、このような合理化に対し労使紛争はなぜか起きない。NECの子会社で、退職面談10回、「シリアに行け」「残業つけるな」と退職を強要されたなどの話は流されるが、多くの労働者が、闘わない労働組合のもとで泣き寝入りを続けている。
 そのような大手企業の中で、闘う少数派組合がある日本IBMでは様相が異なっている。
 JMIU(全日本金属情報機器労働組合)によると、日本IBMは推定1万4千人の従業員を3年間で1万人に削減する計画で、9月には約200人が「自主退職しなければ解雇する」と退職に追い込まれたという。
 IBMでは外資特有の陰湿さで、別掲のブルームバーグ社同様のPIP解雇やロックアウト解雇が相次いで行われ、さらにはJMIU組合員への「指名解雇」まで強行してきた。
 7月のS組合員に続き9月中下旬には、わずか1週間の間に書記次長を含む組合員9人(箱崎、豊洲、幕張各事業所)に相ついで解雇が通知され、「解雇がいやなら自主退職せよ」と脅迫。それに抗議し拒否した組合員が解雇される事態となっている。
 「指名解雇」、組合つぶし攻撃にたいしJMIU日本IBM支部は、全組合員に総団結をよびかけるアピールを発し、全員の団結の力で解雇攻撃をはねかえそうと、たたかう態勢を強化している。
 JMIUのIBM闘争本部は、今回の解雇攻撃は、JMIUと労働者全体にかけられた攻撃として断固たたかいぬくとし、全国に会社への抗議FAX集中をよびかけている。

【抗議FAX】  「日本IBMは、解雇攻撃をただちに中止し、JMIUつぶしをやめよ!」
FAX:03−3664−4957
社長:マーティン・イェッター宛

(本誌編集部 水谷研次)

脱原発へと歩もう さようなら原発集会を開催

 2030年代に原発稼働ゼロを掲げる一方で、核燃料サイクル政策の再処理事業は当面継続したり、大間原発の建設を認めるという政府の矛盾した原発政策に対して、生活者の多数の声を届け、草の根民主主義の力で脱原発に向けた道筋をつける目的から「10・13さようなら原発集会in日比谷」が開催された。
 さわやかな秋晴れの下、日比谷野外音楽堂で午後1時半からスタートした集会は、Yaeさんのさわやかな声が会場一杯に流れるオープニングコンサートで幕が切って落とされた。
 2時からの本集会では、ルポライター・鎌田慧さんの「JAグループが総会決定した脱原発方針は農・漁業と原発は相容れないことをはっきりと示している。今こそ原発をつぶそう、そのための1000万署名をぜひ達成しましょう」との、主催者・呼びかけ人を代表する気迫のこもった挨拶で始まった。
 この集会に参加できなかった呼びかけ人の落合恵子さんより、被ばくさせられている福島の子どもたちを守ろうと言う、思いがひしと伝わるメッセージが読み上げられた。  続いて、福島県出身の高橋哲哉・東大大学院教授は「3・11でわかったのは政府は平気で国民を欺き捨て去り、国民以外の住民を排除するということだ。福島県も同じ。今度こそ人の命や健康を最優先する国に変えなくてはいけない」と怒りを秘めながらも、粘り強く闘い続けることの大切さを説いた。
 また、子どもたちを放射能から守る福島ネットワークの森園かずえさんは、「今年は蚊やトンボなど小動物が異常に減少し、子どもたちの健康被害も出始めているのに、マラソン大会やお祭りを次々と企画している現状をとても危惧している」と放射能汚染の心配と共に、被害者が被ばく労働まで強いられている矛盾した実態を強調しながら、全国の女性が繋がって子どもたちを守っていこうと訴えた。
 《あさこはうす》の小笠原厚子さんは、「10月1日から建設工事が再開されたが、私の母が土地を売っていたら今頃は大間原発は稼働していただろう。これからもあきらめず闘い続ける」と、強い決意を披瀝して会場から大きな拍手がわき上がった。  さらに、呼びかけ人でもあり作家の大江健三郎さんは、「原子力ムラにはない希望がここに集まった私たちにはある、脱原発への道を歩みましょう」と魯迅の小説を引用しながら、諦めずに粘り強く続けることが大きな道に繋がると参加した人々に呼びかけた。  閉会の挨拶をされた吉原毅・城南信用金庫理事長は、「原発コストが安いと言うのは電力会社がつくりあげた嘘であり、今、経営者に求められているのは脱原発に踏み出す勇気だ」との言葉で集会を締めくくった。
 集会後6千500名の集会参加者は、大勢の警察官にガードされた東京電力前を、「東電は責任をとれ」、「損害賠償を行え」など、抗議のシュプレヒコールをあげながら、銀座から東京駅前を通って常磐橋までのデモ行進を行なった。

(本誌副編集長 岩崎松男)

復職しました

 本誌前号で郵政産業労働者ユニオン岡山支部に所属する萩原和也さんの「期間雇用でも解雇はNO!」で勝利判決確定を報じたが、萩原さんから嬉しい職場復帰のメールが編集部に届いた。10月17日からであり、その後23日まではトレーニングセンター、実際の勤務は、24日頃からだそうだ。やったね!

たたかいの現場から バックナンバー
たたかいの現場から 投稿について
「たたかいの現場から」の原稿を募集しています。各地での闘いの様子を原稿にしてお送りください。字数は800字前後でお願いします。
協同センター・労働情報 東京都千代田区三崎町2-13-5 影山ビル501号 Tel.03-6675-9095 Fax.03-6675-9097