たたかいの現場から
786号

4者4団体の団結で路頭に迷わない解決を
 24年目を迎えたJR不採用問題で4千人が集会

 JRへの不採用を通告された87年から24年目を迎えた2月16日、「JR不採用問題 解決へ!2・16中央集会」が東京の日比谷野外音楽堂で開催され、4千人が参加した。
 みぞれの中で始まった集会は、司会の講釈士・神田香織さんが「ポッポ屋義士伝」の一節を熱演。
 主催団体を代表して国労本部の高橋伸二委員長が挨拶、連帯挨拶は平和フォーラムの藤本事務局長、全労連の大黒議長、都労連の武藤執行委員長が行った。

【資料 共闘会議HPより】
●二瓶久勝共闘会議議長挨拶
 1、1047名問題は、皆さんもご承知のように、本日で24年目です。当事者・家族の精神的、経済的苦痛は、筆舌に尽くしがたいものがあります。昨年の2・16集会では当時民主党の幹事長でありました現鳩山総理も出席し「24年を迎えないうちに解決したい」と発言しました。4者・4団体もそれを目指しましたが、今その過程であり、解決に向けて着実に進んでいる事は間違いありません。
 2、昨年の12月25日、与党三党は、「機構」に対し、「和解交渉テーブル」の開催を要請しました。すでに皆さんもご承知のように「路頭に迷わない」解決をするために「雇用・年金・解決金」について協議するように要請しました。しかし、「機構」は「裁判中であり、隔たりがありすぎる」との理由で交渉テーブルの設置を拒否しました。従って、4者・4 団体は「機構」には解決能力が無いと判断し、「共同声明」でも明らかなように、「政治の場」での解決を要請しました。
 3、1月13日、国交省と与党三党の会議がもたれ、「人道上の見地からも、早期に解決する必要がる」とし、与党三党で解決案をまとめることになりました。さらに参議院予算委員会での公明党の弘友議員の質問、さらに参議院決算委員会での社民党の又市議員の質問でも明らかなように、政府としても早期解決の態度を明らかにしました。与党三党の解決案が、「どのような内容になるのか」が注目されますし、重要になります。
 4者、4団体の政治窓口としては、与党三党の解決案に「雇用・年金・解決金」をいれていただくことを要請してありますし、これからも要請していきたいと考えています。
 時期は3月末が解決の予定ですから、解決案は2月末、ないしは遅くても3月上旬でお願いしています。私の見通しとしては、かなりの確率で、当事者、家族が納得する「雇用・年金・解決金」の三項目が解決案に反映されると判断しています。
 4、文字通り「解決局面」ですが、次のことを乗りこえることが必要です。
 (1)今でも、官僚は4者・4団体が一致していないと宣伝しています。たぶん今後も「政治主導」の解決ですから、このことをより宣伝してくると思います。狙いは4者・4団体の分断です。
 私は何回も訴えていますが、この問題を解決するためには、組織、いわんや、個人の事情はすてなければ解決などできません。4者・4団体は今までの経過から、それぞれの立場があるのです。それを踏まえて行動をしなければならないことは当然です。いくら、4者・4団体が団結していると宣伝しても、世間(特に政治)はその様には受け取りません。
 (2)あと、この問題を「路頭に迷わない」解決はさせない、簡単にいうと金銭だけの解決で終わらせようとしたり、さらに解決そのものに、反対のいわば妨害勢力です。彼等は国会議員にも一定の影響がありますし、今も情報操作等を行い、妨害しています。
 これらの妨害をハネのけ解決するためには、当事者・家族の24年に亘る「闘いの意義、そして解決の思い」を理解し、4者を中心に4団体、そして支援者の団結をより固めるしかありません。
 5、最後に、ついに解決が展望できるところまで来ました。これは、当事者、家族を先頭に、4者・4団体が団結し、ここに結集しています皆さん、そして全国で支援していただいている皆さんの力です。さらに「大衆闘争と裁判闘争」を闘い、その延長線に政治解決があると判断し闘い続けた成果です。しかし油断しないで、「路頭に迷わない」解決をするまで、共に闘うことを訴えて、私の「情勢報告」を終わります。

労働者派遣法改正案要綱の問題点

 2月17日、長妻昭厚生労働相は「労働者派遣法の一部を改正する法律案要綱」を、労働政策審議会職業安定分科会に諮問した。「年越し派遣村」に見られるように、派遣労働問題の解決はまさに待ったなしの状況にある。昨年の6月には、派遣法抜本改正の運動を背景に当時の野党3党(民主党、社民党、国民新党)が派遣法改正案を国会に共同提案した。しかし、昨年12月の労政審答申は、自公時代の法案より一定の改善の面はあるものの基本的には労働者の使い捨てを狙う使用者側の声を代弁したものであった。そして、今回諮問された要綱も、社民党からの見直し要求を退けるなど労政審答申に沿ったものとなっている。  2月19日、「労働者派遣法の抜本改正をめざす共同行動」は、参議院議員会館で、緊急院内集会「政治主導で解決してほしい!〜派遣法抜本改正の骨抜きは許せません〜」を開催し、会場に入りきれないほどの人々が参加した。  各党からのあいさつは、社民党の福島みずほ党首・参議院議員、共産党の山下よしき参議院議員、民主党の工藤仁美衆議院議員が行った。  改正案要綱については、共同行動の棗一郎弁護士が報告。「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の保護等に関する法律」と改め「派遣労働者の保護」を明記することは評価でき、今後の裁判実務でどう運用されるかに注目したい。しかし、日雇い派遣の原則禁止では、「当該日雇い労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼす恐れがないと認められる業務として政令で定める業務については従来どおり日雇い派遣できる」とするなど、3党共同案より後退している。登録型派遣は原則禁止とされるが、例外として、現行26指定業務などが、「専門的な知識、技術若しくは経験を必要とする業務又はその業務従事する労働者」とされる。しかし、そこにはパソコン操作など今日では専門業務とはいえないものが入っている。「労働契約申込みみなし制度の創設」も3党案より大幅に後退している。派遣先が違法派遣した場合も、派遣先が、「その行った行為が次のいずれかの行為に該当することを知らず、かつ、知らなかったことにつき過失がなかったときは、この限りではない」としているが、これでは派遣先が「知らない」といえばそれまでになってしまう。また、製造業務派遣は原則禁止とされるが、例外として、常用型派遣は除くとされている。だが、この常用型とは、1年の雇用の見込みのあるものが含まれる。それも単なる見込みであり、実際には雇い止めは可能となる。そのほかにも、事前面接の解禁などもあり、この要綱では抜本改正どころか、これまでの問題点が温存されるものとなっている。  つづいて派遣ユニオンの関根秀一郎書記長、全労協全国一般東部労組の菅野在委員長、公設派遣村からは二人の労働者が、それぞれ派遣法抜本改正に向けての決意を表明した。派遣村ワンストップの会の井上久さん(全労連事務局次長)は閉会の言葉で、この重大な時期に多くの力を合わせて闘おうと呼びかけた。

(本誌編集委員 木島淳夫)

「君が代」斉唱時の氏名収集は条例違反!

 1月20日、神奈川県個人情報保護審査会は、「君が代」斉唱時に県教育委員会が行った不起立者の氏名収集は条例違反であると答申した。すでに2007年10月に出された一度目の審査会答申があり、県教委が「例外」を求めて諮問した県個人情報保護審議会でも2年前(08年)の1月、「不適当」という判断が出されている。県教委は答申を無視して「氏名収集」を続行、名前を収集された教職員が再度異議申し立てをして、今回3度目のNO!となった。極めて当たり前の真っ当な判断。  しかし、県教委は2月2日の教育委員会議でまたも答申を無視、全会一致で氏名収集継続を決定してしまった。背景には再三にわたる松沢知事の答申批判―氏名収集を強力に支持する発言があり、政治的介入ともいえるものだ。これでは、はじめに結論ありきだ。  憲法19条(思想良心の自由)を具体化した県の個人情報保護条例は、思想、信条、および宗教などの取り扱い制限情報は「基本的人権を侵害する可能性が高い」として、公権力の取り扱いに厳しい制約を課している。条例第6条は、「内面の思想そのものまで統制しようとした過去の苦い経験を踏まえて」思想信条情報の原則禁止を明記する。不起立情報は例えその「理由が記載されていない」としても「一定の思想信条を推知し得る情報」(答申)なのだ。  教職員「不起立者」の氏名収集は、卒業式で「踏み絵」となっている「日の丸・君が代」強制の実態を明らかにした。それは教職員だけでなく、子どもたちや保護者、参加者全ての思想信条を侵害する。学校は社会と地続き、学校の息苦しさは、そのまま私たちの生きている社会の息苦しさなのだ。  県教委や知事の態度は、第3者機関による諮問制度を形骸化するばかりか、行政への信頼を大きく失墜させた。現在、答申を無視して氏名収集を続ける県教委を相手に県立学校教職員有志による「君が代不起立個人情報保護裁判」が進行中(2月10日第5回口頭弁論が終了)。これ以上の条例違反は許されない。県教委の条例無視を糾弾し、3度の答申を尊重し不起立情報の収集を中止させよう。  県教委は条例を守れ!そして、「日の丸・君が代」を強制するな!

(「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会 京極紀子)

現場からの情報発信の増加で変わる報道

 グリーンプレスクラブ(GPC)主催のシンポジウム「検察とメディア、そして市民社会」が、2月13日の夜、東京渋谷区にあるオルタナサロンで開催された。
 このシンポジムには、ジャーナリストの上杉隆氏、ウェブサイト上で動画を配信するインターネット放送局であるNPO法人アワプラネット・TV代表理事の白石草氏、グリーンピースジャパン事務局長星川淳氏が参加。オルタナ編集長の森摂氏の司会で約2時間にわたって行われた。
 上杉氏は、週刊朝日で、東京地検による石川知裕衆議院議員の捜査に関連して、「検察が何の罪もない若い母親である女性秘書を騙して呼び出し、10時間近くにわたって『監禁』、『恫喝』を繰り返すという卑劣な取調べを行ったことについて詳細かつ具体的に報じ」ている。これに対して検察から、週刊朝日編集部に記事が「全くの虚偽である」として抗議書が送られていると報告。
 シンポジウムは、まず、「記者クラブ」のあり方に対する批判を軸に議論は展開された。各省庁にある記者クラブ。大臣などの会見は、この「記者クラブ」が主催する。「記者クラブ」に加盟していないフリーランスのジャーナリストなどが会見に出席するには記者クラブの了承が必要だ。出席しても質問ができないなどさまざまな制約がある。
 白石氏は、総務省の記者会見で質問したことに対しルール違反だと記者クラブの幹事社のキャップから厳しく「忠告」を受けた経験を紹介し、記者クラブに加入していないと記者会見の場で質問すらできない現状を説明。
 「公権力は、権力の維持のため、あるいは権力強化のためにあらゆる手段を用いて、自らの存在そして統治機構における役割をはたそうとする。どの国でも、国家権力の横暴に対して歯止めをかける役割としてジャーナリズムが機能している」。
 ところが日本だけは、「記者クラブ」制度があって検察への監視機能をはたせず、検察側に寄り添ってしまい、検察の権力を強化する役割を果たしていると上杉氏。記者クラブの問題は、日本の統治機構そのものの問題だとする。
 10年以上もこの「記者クラブ」を問題にし続けてきたがずっと黙殺されてきた。ところが、この数ヵ月で様子が違ってきた。新聞各紙が、大手新聞が突然しかも一斉に「検察リーク問題」について反論をはじめた。マスコミへの批判を無視できなくなってきたからだろう。上杉氏は、この変化は、これまでとは違うネットメディアの登場によるものだと考えている。現状を変えるには、「つぶやいて、つぶやいて、つぶやくことだ」とも言う。オバマ大統領や鳩山首相もやっているという、無料で140文字の「つぶやき」をインターネットで発信できるツィッターを使って記者クラブ問題やハイチ地震対策について首相に働きかけた例を挙げ、その有効性を説いた。これは、ツィッターによる会場外の参加者からの「市民社会がメディアを変えるには有効な方法があるか」という質問に答えての発言だ。
 このシンポジウムの最後は、グリーンピースジャパンの職員がクジラ肉の横領を告発しようとして、その証拠を確保したことの妥当性について問題提起があった。現状を変えた、ということでジャーナリズムのルールからは逸脱だとする上杉氏。相手に付け入れられるカードを与えてしまったのは残念だとする森氏。受け取り方はそれぞれだったが、いずれにしても、裁判で調査方法の是非が争われるのは間違いない。クジラ肉の確保が、クジラ肉横領の告発の手段として認められるか否かの裁判所の判断に注目したい。
 ところで、このシンポジムは、ツィッターとインターネット上で動画を放送できるユーストリームを使った中継を行い、会場の外にも開かれたシンポジウムだった。もちろん、シンポジウムの模様は今でもユーストリームで見ることができる。シンポジウムの中身の充実と言葉だけでなく、シンポジムそのものを中継してみせることで、すべてをオープンにするという姿勢を示している。さっそく筆者も試してみたが、ユーストリームは、手持ちのWEBカメラで放送可能であることがわかった。ソフトを買う必要もないし、自分のパソコンにインストールする必要もない。手軽に個人放送局が開局できてしまう。はじめてモザイクというブラウザでWEBサイトを見せてもらったとき以来の興奮だ。
 ツィッターやユーストリームの普及で現場からの情報発信はより多くなると予想できる。「個人が見聞きしたことをきちんと記録したり、人に伝えることができるということが力になる」(白石氏)時代がやってきたことは間違いないようだ。

(RJお助け隊 原秀介)

写真速報

 2010けんり春闘東京総行動で数百人の組合員が「使い捨てを止め働く者の権利を守れ、社会的責任を果たせ」と日本経団連へ抗議。(2月16日)

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