労働情報No.857


たたかいの現場から
857号

「原因究明なしに飛ばすな」  B787事故でパイロットら会見

 米ボーイング社製の787型旅客機(全日空機)のメインバッテリーが発煙し、緊急着陸した事故をめぐって、1月30日、パイロットらの労働団体である日本乗員組合連絡会議(日乗連)が都内で記者会見した。
 日乗連は会見で、ボストン空港に駐機中だった日本航空の同型機のバッテリー火災にもふれ、「空中火災等の重大事故に繋がりかねない」と指摘。事故原因の徹底究明を求め、「許容できないリスクを抱えたままでの運航再開は行われるべきでない」と訴えた。
 787型機の運航が全面的に停止され、米連邦航空局(FAA)や日本の運輸安全委員会によって事故原因の調査が進む緊張した状況下での会見で、日乗連役員でもある現役パイロットは、「これ(バッテリー火災)が国際線のフライト中に起きていたら、全員が無事だった保証は……なかなか厳しい」と言葉を選びつつ、「パイロットは技術に不安をもって飛ぶことはできない」と吐露した。
 リチウムイオンバッテリーは、小型で軽くパワーが強いが、発火する恐れが高い。2010年9月には、リチウムイオン電池を積んだ貨物機がドバイで墜落する事故も起きている(原因調査中)。B787の電気室には消火装置がなく、リスクへの備えやFAAの審査が十分でなかった疑いが浮上。米国では、787問題で公聴会も開かれる。
 航空会社OBの梅津純一さんは、「B787は、納品が3年遅れた。下請がつくった部品や技術のすり合わせに難があったかもしれない。新技術に我先にと飛びついた、全日空と日本航空の経営判断も問われる」と話している。

北 健一(ジャーナリスト)

切れ味鋭い浜矩子さん講演―大阪全労協
  アホノミクスとハシズムの悪魔コンビに反撃を

 1月30日、エルおおさかで「橋下・維新に大阪から反撃する講演集会」が大阪全労協主催で開かれた。幅広い組合・団体から200名を超える参加者があった。大阪における労働組合つぶし、住民の権利侵害を続ける橋下・維新の会が国政進出を通して全国化することに対抗して、大阪から反撃をつくることを目指した講演集会であった。
 浜矩子同志社大教授による「世界経済危機と保守回帰」というタイムリーなテーマで講演は行われた。全国に安倍、地域に橋下という「悪魔のコンビ」がなぜ生まれるのかその背景について次のように解説された。
 グローバル時代にヒト・モノ・カネが国境を越えるのに国民国家は国境を越えられないところから、この不安につけ込む国家主義が、ポピュリズム(大衆迎合)ならぬ大衆扇動政治家として現れている。保守が改革者風を吹かせながら、子どもじみた振る舞いで民意を語るのが大衆扇動家である。アメリカのティー・パーティーしかり、財政危機のユーロ圏でも見られる現象だ。
 そして浜さんは、安倍政権の経済政策は浦島太郎型公共事業・円安神風依存型輸出立国路線であり、デフレ下のバブル経済が懸念されるとしてこのアホノミクスとハシズムに対決して、目指すべき場所は、多様性と包摂性が出会う場所であると締めくくった。
 その後、ブラック自治体大阪府(竹林隆教育合同書記長)、権利侵害都市大阪市(藤原航弁護士)、反原発・反被ばく・反弾圧(下地真樹阪南大准教授)という3本の現場報告があり、集会は成功裏に終わった。

山下恒生(大阪全労協副議長)

国際連帯でパシフィック・ビーチ・ホテル争議が解決

  2013年1月14日、10年余りにわたる労働組合つぶしと組合員ら32名の解雇をめぐる労働争議が和解解決した。舞台になったのは、ハワイのワイキキにあるパシフィック・ビーチ・ホテルである。このホテルには多くの日本人観光客が宿泊していたことから08年春、AFL−CIOと全米港湾労組は、同ホテルのボイコットと争議支援を日本の労働組合に要請した。
  この要請に連合、国際運輸労連、交運労協、国際食品労連、国際食品労連日本加盟組合協議会、サービス連合、全港湾、全国港湾、そして、日本側のコーディネータ役としてLabor Nowが連携して支援してきた。
  5年に及ぶ支援の内容は多岐にわたる。各労組における同ホテルのボイコット決定と、組合員への周知、さらには解雇された当事者を日本に招へいし、ホテルと取り引きのあった大手旅行会社や日本旅行業協会に協力を要請した。さらに、ボイコットを呼びかけるビデオを制作し、ユーチューブにアップした。その後、日本からも二度にわたり訪問団を派遣し、同ホテルへの申し入れやハワイ観光局などに対して協力を要請した。
  経営者の抵抗は強く、争議は膠着状態にあった。しかし、ホテル労働者たちの粘り強さと日本の支援団体の要請を受けて、旅行業界が同ホテルに圧力をかけたことが、解決への突破口となる。今年1月にホテルの運営会社が代わり、経営は反組合の方針を全面的に転換した。そして、全米港湾労組142支部と労働組合の基本的な権利や労働条件を定めた労働協約を新たに締結し、和解解決に至った。なお、解雇された組合員たちは、全国労働関係局の命令とその強制履行命令を受けて、一昨年までに復職している。

高須 裕彦(全米港湾労組142支部の日本におけるコンタクトパーソン Labor Now運営委員)

3年&5年の壁をぶち壊そう! 大学の有期雇用と闘う「なんなん」集会

 「つなげよう、首を! 3年&5年の壁をぶち壊せ!」をテーマに掲げた第4回「なんで有期雇用なん!?」集会が2月2日、盛況に開催された。仕事は続くのに理由なくクビになる、有期雇用はおかしい。大学という、「人を育てる」場所で、「人を使い捨てにしている」のはおかしい。そんな思いからスタートした年に一度の集会。今回の会場である阪大・豊中キャンパスには80名もの人が訪れ、極寒の季節にもかかわらず、開場と同時に熱気に包まれた。
 集会は、大学での有期雇用の矛盾を問題化した運動のルーツとも呼べる矢崎闘争( 阪大における非常勤職員の「三年期限」解雇撤回闘争)のシンポジウムから始まり、今現在、阪大当局と闘っている、〈関西単一労働組合・大阪大学分会〉と〈関西圏大学非常勤講師組合〉というふたつの組合からのアピール、そして作成した年表を元にこれまでの「なんなん」の歴史を振り返る座談会へと続いた。今も昔も変わらぬ陰湿な阪大当局への怒りを共有するとともに、誰かがどこかであげた声が時を超え、大学間の垣根を超えて、しっかりと受け継がれているという事実に、改めて希望を感じた。
 他にも、去る1月16日に画期的な逆転勝訴を勝ち取った神戸刑務所偽装請負訴訟の原告からの報告、全国各地からのアピールなど、3時間ではとうてい足りない盛りだくさんの構成。いつも素晴らしい演奏で集会を盛り上げてくれる釜凹(かまぼこ)バンドからは、今回はなんと、「なんなん」のオリジナルテーマソングも披露されるなど、その盛り上がりは閉会後のショートデモ、交流会でも醒めやらぬほどであった。
 そもそも3年上限、5年上限という有期雇用を強いられた当事者である私たちが、有期雇用であるがゆえの繋がりにくさという悪条件にもめげず、こうして4回もの集会を開催できていること自体が奇跡に近い。その奇跡の場に居合わせた80人がまたそれぞれの現場で声をあげ、より大きなうねりになっていくことを願わずにはいられない。

朴 秋香(京都精華大学ユニオンSocoSoco)

沖縄と共にオスプレイ配備反対 全国で低空飛行訓練阻止を

 沖縄からの猛反対にも関わらず強行配備されたオスプレイはわがもの顔で沖縄中を飛び回る。沖縄県の調査で配備から2ヵ月間だけでも日米合意に違反した飛行、すなわち「『できる限り』住宅地上空ではいわゆるヘリモードでは飛ばない」は目撃情報517回中、318回にわたって破られた。しかし、日米両政府はそれを認めようとしない。
 銃剣とブルトーザーで住民を追い出して居座る普天間基地を「返せ」という当たり前の要求に対する答えがこれでは怒りは収まらない。オール沖縄の要求を無視する政府に対し、全国から包囲網を作ることが大事だ。
 広島からも、こと低空飛行訓練に焦点を当てて闘いを作り出したい。現在でも中国山地沿いに「エリア567」と「ブラウンルート」という訓練コースがあり、米軍機の低空飛行に苦しむ住民が多く、問題となっている。
 昨年9月9日、沖縄の声に連帯しようと初めてオスプレイ問題で市民集会を行った。これを起点に「市民ネットワーク」を作ろうと広島で相談を始めている。その中心に私たちと共に岩国基地問題を取り組む「広島県西部住民の会」がある。その七周年の記念集会が1月26日、広島県廿日市市で行われ、「追跡!在日米軍リムピース」編集長の頼和太郎さんがオスプレイの危険性について語った。
 集会後も、有志が集まり今後の運動について活発な論議が行われた。大きく右翼化している政治を黙ってみているわけにはいかない。民主党政権から一転して、日米同盟の深化はより一層進められるだろう。三年程度延長と伝えられているが、岩国基地は着々と大幅拡張を機に名実ともにアジアの拠点になり、オスプレイの追加配備、新型戦闘機の配備など在日米軍全体でも強化が進む。
 安保に基づく地位協定を盾にした低空飛行訓練を中止に追い込む陣形を整えよう。全国から「オスプレイ配備撤回と低空飛行訓練を許さない」闘いを作り上げよう。

新田 秀樹(ピースリンク広島・呉・岩国)

日日刻刻 「世界の失業者数2億200万人に」(1・11〜24)

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