たたかいの現場から
787号

東京の教職員現場の過酷さ
 若い教員の急死で見えてくる多忙化

 この2009年4月、夢と希望をもって着任した27歳の男性が、その年の10月5日早朝に亡くなりました。死因は解剖の結果「糖尿病による昏睡症」と管理職から話がありました。
 さて、彼が既往症をもっていることをそれほど多くの職員は知りませんでした。(当然、管理職は把握していました)日常的にインシュリンを投与していることさえ私は知りませんでした。
 彼の亡くなる数日前の様子を聞いてみると、金曜日に社会科見学が実施されたようです。したがって、その数日前は準備に追われていたでしょう。当日は、3年生の担任として市内巡りを子どもたちと行い、社会科見学終了後も学年会のため夜9時過ぎまでかかり、職場を出たのは10時過ぎだったようです。
 週末は若い仲間たちと過ごすことが多く、この日も12時ぐらいまで仲間と一緒にいたようです。その後ブログの書き込みを終え、3時頃帰宅したのではないかと見られています。
 土曜日は体調が優れなかったようです。そして、日曜日の早朝には救急車を自分で呼んでかかりつけの病院で点滴をうってもらったようです。実は体調を崩したのは今回ばかりでなく5月の連休にも同じようなことがあり、その時も点滴をうって事なきを得たと別の職員から後になって聞かされました。
 ところが今回は入院を勧められたとしても、亡くなった月曜日には授業参観・保護者会を控え、水曜日には研究授業が控えていたため、入院どころではなかったのでしょう。体調が思うようにならないまま、日曜日の夕方には同僚に相談の電話をかけたようです。同学年の方は、心配して飲み物や軽食を持ってアパートまで駆けつけました。そして、その夜のうちに教頭に翌日の休暇の願いを連絡したようです。
 月曜日になって同僚は何度となく電話で連絡をしましたが返事がなく、心配した同僚たちと校長でアパートを訪れた時には、時すでに遅く、亡くなっていたのです。
 慢性疾患があるからこそ、健康に十分注意しており、自分で病院まで行ったのでしょうが、つい無理をしてしまう(させてしまう環境)現実が今の学校現場にあります。赴任してからの退勤時刻が、夜の8時、9時が当たり前の毎日。想像するに、若いからこそ「疲れた」「つらい」と言えなかったのではないでしょうか。
 今、学校現場は本当に多忙化が進み、毎日毎日サービス残業が当たり前になっています。
 若い教員にとっては土・日のいずれかは出勤するなんて当たり前になっています。管理職は彼の死後、職員会議で週に一度ぐらいは定時に帰れるようにという話をしました。実にふざけた話です。
 現実の学校は「休憩時間」さえとることができない職場です。彼の御両親は問題にしませんでしたが、過労死と言ってもおかしくない働き方であったと考えます。
 これから私たちは、既往症を持っている職員がいても、明るく元気に働ける職場にしなくてはいけないと考えます。

(アイム'89 北原良昌)

朝鮮学校の「高校無償化」からの排除に反対!
差別ではなく学ぶ権利の保障を!

 いま、政府や与党内に「高校無償化」から朝鮮高級学校(朝鮮高校、全国に10校)を排除しようという動きがあります。中井洽拉致問題担当相は、朝鮮民主主義人民共和国への制裁措置の一環として、排除を主張しています。
 朝鮮学校は身近なところにある学校です。東京都の多摩地域では、立川市に西東京朝鮮第一初中級学校(小、中学校)が、町田市に西東京朝鮮第二初級学校があります。そこでは、日本で生まれ育った在日朝鮮人の子どもたちを対象に、通常の学校教育とともに朝鮮語による授業などの民族教育が行われています。子どもたちは、日々、普通の学校生活を送っています。今春、立川の朝鮮中学校からは20人の子どもたちが北区十条の朝鮮高校に進学します。
 そもそも朝鮮学校には、義務教育段階を含めた学校教育を担っているにもかかわらず、国からの助成はい1円もありません。そのため学校は授業料と寄付だけでまかなわれていますが、学校への寄付金に対する税制上の差別すらあります。なお、朝鮮学校の保護者たちが、日本に居住するすべての人と同率の税金を納めていることは言うまでもありません。すでに朝鮮学校への差別的な処遇については、国連の委員会や日本弁護士連合会から是正の勧告が繰り返しなされています。「高校無償化」から朝鮮学校を排除することは、差別の上塗りであり、恥の上塗りです。本来ならば、朝鮮学校に対する差別的な処遇を改め、日本に暮らすすべての人に学ぶ権利を保障することが必要ではないでしょうか。
 わたしたちは「高校無償化」から朝鮮高校を排除するという暴挙に反対の声を挙げることを呼びかけます。また同時に、朝鮮学校を他の私立学校と平等に扱い、国による公的な助成を実現するよう政府に求めることを呼びかけます。

(立川朝鮮学校支援ネットワーク・ウリの会)

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