たたかいの現場から
877号

「全国スラップ訴訟を止めよう!」と 高江、上関、経産省前テントがシンポを開催

 11月23日、「全国スラップ訴訟を止めよう!シンポジウム」が、東京・早稲田大学で開催された。
 最初に、「スラップ訴訟とは何か」と題して、フリージャーナリストの鳥賀陽(うがや)弘道さんが基調講演。鳥賀陽さん自身も、スラップ訴訟の被害者とのこと。米国での取材に基づき、以下のような話をされた。


 アメリカでは、1992年頃にスラップ被害防止法ができ、現在50州のうち28の州と地域(人口比72%)でスラップ対策法がある。アメリカの他にも、カナダ、オーストラリア、南アフリカなどにもある。
 スラップとは、口封じ訴訟とも言える。批判者や都合の悪い意見や情報を公にした者を攻撃し、精神的、肉体的、金銭的に負担を負わせることで相手を疲弊させ止めるのを待つ。「言論の自由」の死、それがスラップ訴訟の一番恐ろしいところだ。
 アメリカでは、スラップは「公に意見表明する権利」を侵害する「合法」の人権侵害であり、また裁判制度の悪用である。裁判への不信を抱かせ、結果として裁判制度を壊すものとされている。
 そして、裁判で負けても反対運動の正当性が否定されたのではないのに、否定されたかのような誤解が広まり、主張や運動が後退していく。その上、本質的な問題を放置したまま、些末な問題の是非にすり替えられてしまう。


 カリフォルニア州では民事訴訟法を制定し、裁判を起こされた方がスラップだと訴えると2〜3ヵ月で審査し、認定されれば裁判は棄却され、申請すると被告側の弁護士費用をスラップだと訴えた側が保障しなければならない。また、裁判により生じた損害賠償請求ができるなど、スラップ訴訟を抑制する構造になっている。だから、アメリカではスラップ訴訟を起こされることはほとんどない。
 日本でスラップ被害を止めるには、「スラップ訴訟防止法」の制定しかない。フェイスブックやツイッターでの発信など、誰しもスラップ訴訟を起こされる可能性がある。スラップ訴訟された人のかけ込み寺が欲しい、作っていこうと思うと鳥賀陽さんは締めくくった。


 そして、主催団体である、「高江ヘリパッドいらない住民の会」、「上関原発阻止被告団」、「経産省前テントひろば」などから、それぞれの運動の紹介と現状報告が行われた。

 

浅井 真由美(本誌編集部)

 

資料 那覇市議会で採択された意見書

 辺野古沖移設を強引に推し進める政府に対して激しく抗議し、
 普天間基地の県内移設断念と早期閉鎖・撤去を求める意見書

 

 私たち沖縄県民は、普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念、垂直離着陸機・オスプレイ配備撤回の県民総意を文字通り“オール沖縄”でまとめあげてきた。
 本年1月には、県内41市町村のすべての首長と議会議長、県議会議長などが署名した「建白書」を安倍晋三首相に手渡した。9月には、県内の行政・議会の5団体(県議会、県市長会、県市議会議長会、県町村会、県町村議会議長会)が、オスプレイを強行配備した日米政府を糾弾し、全機撤去を求める抗議声明を発表した。


 然るに、日米両政府はこの県民総意を無視して、「辺野古移設」を「唯一の解決策」として力ずくで押し付けようとしている。
 国土面積の0.6%にすぎない沖縄に米軍専用施設の74%が集中する異常な実態に対する県民の憤りは、いまや限界点をはるかに超えている。
 本市議会は、これまでも沖縄の過重な基地負担の問題解決を求め、全会一致で意見書を可決してきた。
 私たち沖縄県民は、米軍占領時代から保革をこえた島ぐるみのたたかいで、土地取り上げに反対し、祖国復帰を実現してきた。いま、求められているのは沖縄のアイデンティティを貫き、県民の心をひとつに県民総意の実現へ頑張り抜くことである。


 よって、本市議会は、沖縄への圧力を強め、政治家に公約の変更を迫り、「県民総意」を分断し、県知事に新基地建設のための公有水面埋め立て申請の許可を迫るなど、子や孫の代まで米軍基地を強要しようとしている日本政府のやり方に、激しい怒りを禁じえない。
 同時に、市民、県民の生命と安全を守る立場から、辺野古沖移設を強引に推し進める政府に対して激しく抗議し、県民総意である普天間基地の県内移設断念と早期閉鎖・撤去を強く求める。


 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

平成25年(2013年)12月2日
那覇市議会
あて先 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣官房長官、外務大臣、防衛大臣、沖縄及び北方対策担当大臣、沖縄防衛局長

 

 

全統一井上眼科病院不当解雇撤回闘争
  組合つぶしのに反対し「福井寿さんを支え、職場に戻す会」結成

 10月23日、井上眼科病院(JR御茶ノ水駅前)で、公然化まもない全統一井上眼科病院分会の福井寿分会長に対する不当解雇が強行された。


 井上眼科病院は創業140年、日本の眼科治療の草分け的存在で、御茶ノ水のほか江戸川区西葛西にも病院を開設、メガネ販売会社も経営する。近年、三井住友銀行からの出向者が相次ぎ、セクハラ・パワハラを繰り返すなど、職場環境が急速に悪化していた。
 解雇の理由は、福井さんが社会保険労務士試験に合格したことを契機に支給されてきた資格手当について、福井さんがこれを「詐取した」というものだ。まったくの事実無根であり、病院はまともな事実調査もせず、本人に弁明の機会すら与えずに一方的な解雇に及び、さらに福井さんに対して「極めて悪質」「刑法犯たる詐欺」などと誹謗した。


 また、病院代理人早川修弁護士は、組合の抗議行動に対して、「不当解雇と主張することは『虚偽の風説の流布』であり刑法犯罪だ」と恫喝するなど、組合敵視の態度をむきだしにしている。不当解雇の狙いは、三井住友銀行出向者らの横暴に抗議し、分会結成の中心となってきた福井さんを標的とした組合つぶしであることは明白だ。


 福井さんは東京地裁に解雇無効と名誉毀損の損害賠償を求めて提訴。組合は連日、御茶ノ水駅前で抗議の宣伝行動を行い、11月29日には全労協金澤議長、中小ネット中村共同代表、ひまわり診療所平野所長、全統一田宮委員長が呼びかけ人となり、「井上眼科病院不当解雇撤回!福井寿さんを支え、職場に戻す会」結成集会を開催、支援連帯の環を広げ、解雇撤回まで闘う決意を確認した。

 

佐々木 史朗(全統一労働組合書記長)

 

 

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