たたかいの現場から
795号

「ゆうパック」未だかつてない混乱
 経営責任は重大

 7月1日、日本郵便は「ゆうパック」と日本通運「ペリカン便」が統合して、宅配便シェア20%へ向けて船出をするはずであった。しかし、現場は案の定大混乱となっている。
 「ゆうパック」と「ペリカン便」の統合問題は、お互いの不採算部門を子会社化して効率化を図ろうと、郵政民営化直後から始まった。私たち郵政ユニオンは雇用確保を中心に、4次にわたる要求書を提出し交渉を重ねてきた。また、既報のように昨年9月には、「JPエクスプレス」への統合を理由とした雇い止め・解雇に対しストライキで闘い解雇予告の撤回を勝ち取ってきた。そして、「政権交代」の中で「JPエクスプレス」への統合計画が破綻し、昨年12月解散。それを日本郵便が引き継ぐ形で「ペリカン便」の「ゆうパック」への吸収統合が両社間で合意され、今年2月、総務省が「事業計画」を認可してきた。
 郵政ユニオンは事業認可を受けて、(1)合意内容の説明(2)要員計画の説明(3)郵便事業会社で働く社員、委託者の雇用確保(4)JPエクスプレスで働く社員、委託者の雇用確保などを本社に強く求めてきた。しかし、この間の統合へ向けた研修、訓練、要員の確保など、いずれも不十分であった。
 7月間近になっても、「7月からペリカン便の人が入るがどういう人かね?」と、現場にはあまり緊張感がない、というより、なにも知らされていないという状況であった。7月1日は、「お中元」の配送開始日であり、「お歳暮」と並び、他の係りも動員する繁忙期である。おまけに今年は、参議院選挙郵便まで重なり、「上は、なにを考えているの?」という状況だった。
 7月1日、区分局では机上シュミレーションはやった筈なのに、次々到着する満載のトラックで保管場所はたちまち満杯になり、会議室や通路と、至る所に荷物の山ができている。大車輪で仕分け区分を行うが「ゆうパック」と「ペリカン便」では、仕様が統一されていない。JPエクスプレス(ペリカン便)から来た社員も今日初めての顔合わせだ。予想を大幅に超える物量と事前訓練・要員配置の不十分さは、経営陣の責任である。
 7月1日配達物量は例年並みか、しかし、午前指定が午後に到着するものもチラホラ現れ、区分局がパンクしているという噂が流れる。2日、噂は本当だった。期日指定を過ぎたものが次々と到着してくる。配達担当社員は、行く先々でお詫びと説明をしなければならない。その場で「弁償しろ!」と罵声を浴びせられることもある。その処理に追われる現場の課長たちは「期日指定のものだけでも優先処理できないのかね!」と愚痴るしかない。
 すでにマスコミでも大きく取り上げられ、総務省が調査に入ったと報じられている。準備不足は明らかだが、現場の声を聞かない官僚体制が招いた愚策である。また、チェック機能を全く果たさない翼賛組織・巨大JP労組の責任も大きい。郵政ユニオンは、会社側の「現場の不慣れ、ミスが相次ぎ」などの責任転嫁を許さず、混乱と信用失墜の経営責任を追及していく。

……(郵政労働者ユニオン 須藤和広)

「ヤスクニ キャンドル行動2010 植民地支配とヤスクニ」で平和の灯をともそう!

 毎年8月に、韓国、台湾、沖縄、日本の4地域から結集して、キャンドルを灯して「ヤスクニNO!」を訴える「平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動」は、2006年に初めて開催してから、今年で4回目となります。日本の侵略戦争を肯定し賛美する侵略神社・ヤスクニの存在は、東アジアの戦争被害国・被支配国の人びとの感情を著しく損なわしめ、そして新たな軍事的脅威を突きつけています。東アジアの恒久的な平和にとって、靖国神社は大いなる負の障壁であり続けているのです。そして靖国神社は、植民地支配下で戦争に徴収され命を落としたアジアの民衆を日本人として合祀することで、死者の尊厳を蹂躙し、遺族に今も癒えぬ悲しみをもたらしています。わたしたちは東アジアの真の平和の構築のために、合祀者遺族・支援者たちと連帯して「キャンドル行動」を展開してきました。
 今年の開催は8月14日(土)14時〜、場所は東京・社会文化会館(地下鉄永田町駅)です。今年は、韓国強制併合100年という節目の年、「植民地支配とヤスクニ」をテーマに、日本の植民地支配の清算とヤスクニ問題の解決に向けて、わたしたちに何ができるかを考えます。集会の第1部はシンポジウム。4地域からそれぞれ発言者の報告を受け、被支配の側からの視点を踏まえて、植民地支配問題とヤスクニ問題を結びつけて議論します。第2部はコンサート&被害者証言。コンサートでは、俳優としても著名な韓国の権海孝(クォンヘヒョ)さん他多くのアーティストが登場し、熱い歌声を披露してくれます。集会の後は恒例となったキャンドルデモで、真夏の夜の闇に多くのキャンドルを煌めかせて「ヤスクニNO!」を道行く人びとにアピールします。  先ごろ首相に就任した菅直人氏は「靖国神社には個人的には何度も参拝しているが、首相在任中は参拝しない」と明言しました。しかし、ヤスクニ問題の本質は何も変わっていません。参拝問題になると政治焦点化されるヤスクニ問題ですが、首相・閣僚の参拝がなくても、靖国神社はその「闇」を日本社会に浸透させんと機能し続けています。
 戦争賛美イデオロギーの発信をこれ以上許さないためにも、ぜひみなさん集会にご参加ください。ともに平和の灯をともしましょう!

……(平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動実行委員 遠藤裕二)

速報「新宿ど真ん中デモ」

参院選投票前の最後の日曜日、多くの候補者が入れ乱れて訴える新宿駅東口アルタ前に、「普天間移設は決着していない」「沖縄差別をやめろ」「日米共同声明撤回」「安保破棄」の訴えが響きわたった。これまで二度の「新宿ど真ん中デモ」を行った沖縄緊急アクション実行委員会と辺野古への基地建設を許さない実行委員会が共催したこの日のデモは、選挙本番とともに人々の関心が「沖縄」から遠のいている現実に一石を投ずべく呼びかけられた。デモには400人以上が参加して、歌舞伎町、繁華街をにぎやかに一めぐり。デモ後の集会には徳之島伊仙町の大久保町長もかけつけ、「沖縄の人々と一緒にあくまで基地に反対する」と訴えた。

……(文・国富建治/撮影・山下一夫 7月4日)

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