たたかいの現場から
803号

120名の来場で、「フリーランス文化祭2010」大盛況!

「職能とプライドをもって文化を創造してきたが、消耗品扱いをされ始めた委託労働者(本誌800号、谷本繁さんの連載参照)」。
 こうした問題に対する社会の認知度を上げ、状況を打破すべく、11月3日、日本音楽家ユニオン、出版ネッツ、映画演劇アニメーションユニオン、インディユニオンの共催で、初の「フリーランス文化祭」を開催した。
 「フリーランスの理想と現実 仕事編」のシンポジウムでは、ゲストスピーカー鎌田耕一教授(東洋大学法学部)が、「裁判所に実態に合った司法判断を求めていくとともに、個人事業主の権利を守る新たな法制度を考えていこう」「同時に、組合の自主的運動が大切だ」と問題提起。MIC(日本マスコミ文化情報労組会議)の東海林智さんは、新国立劇場事件判決など、「司法の反動化」を訴えた。
 音楽ユニオン青谷充子さんからは「音楽は、余裕のない時代に必要とされるかどうかだが、長い歴史を経て受け継がれてきた。ぜひ、文化関連予算増額の署名にも協力してほしい」とのメッセージ。出版ネッツ杉村和美さんは、請負代金不払いに関し、今後フリーランス同士の共闘が提案された。映演アニメユニオンの緒方承武さんは、カメラマンの労災認定の経験を踏まえ、「組合側が裁判官に労働実態を理解させる努力を払っているのかも重要」と語った。
 「『私は労働者じゃない』という人もいるのでは」との問いに、筆者は「社員を切りにくくなった企業が、最下層の調整弁、消耗品として委託労働者を利用していると感じざるを得ない」「正規雇用にしてほしいわけではないが、純然たるアーティストは多くない。実態はみな労働者」と応じた。
 ゲストに鈴木京子さんを迎え、農的生活も取り入れた新しい(オルタナティブな)生き方や、恋愛・結婚についても語り合った「フリーランスの理想と現実 生き方編」は、楽しく白熱したしゃべり場となった。
 そのほか、クラシック、ジャズ、テクノミュージックなどを楽しむライブ、映像上映とトーク、イラストレーターやアーティストによる作品展、労働相談、書籍・CD・DVD等の販売もにぎわった。

 ……インディユニオン=連合ユニオン東京・委託労働者ユニオン執行副委員長
小林蓮実

改めてJR各社への雇用獲得を決意した団結まつり

 今年で24回目を迎えた団結まつりは、メインスローガンとして「政府の責任でJR各社をはじめとする全ての雇用実現を!つくりだそう 戦争と貧困のない社会を!」を掲げて実施された。
 昨年は工事中のため使えず、2年ぶりに亀戸中央公園に里帰りした団結まつりは、お天気にも恵まれ、主催者発表では1万8千人の参加を得て賑やかに開催された。とりわけ74の出店団体での販売品は順番待ちの行列をなし、目玉商品の新巻鮭、カニ足、ジャガイモ、玉葱などはたちまち売り切れ御免となってしまった。
 国鉄闘争も24年目にしてJR会社などへの雇用問題を残しながらも、6月末には最高裁を挟んで和解協定に調印した。そうした闘い半ばながら一定の到達点にこぎ着けたという安堵感が、多くの参加者達の表情に表れていた。
 その国鉄闘争の大きな牽引力となってきた国鉄闘争共闘会議・二瓶久勝議長は、主催者を代表して「当事者・家族の頑張り、4者4団体の結成とその団結、政治家の先生方の努力の3つの力によって作り上げた」と、総括しながらも「解決案は金銭と雇用がセットであり、万が一JRが拒否した場合は大衆行動に取り組む。雇用を獲得するまでは闘いは終わらない」と、手綱を引き締めた。
 民主党の代表選挙やその後の内閣改造などによって、中断せざるをえなかったJR会社などへの雇用問題は、6月15日に一旦提出したJR各社へ184名の雇用などを求めた「国鉄改革1047名問題の政治解決(雇用問題)の要請書」を、改めて10月13日に民主党・社民党・国民新党・公明党の幹事長に宛てて提出した。
 まつりにも参加した多くの争議団に、闘うことへの自信と確信を持ってもらうためにも、JR会社をはじめとする雇用問題に決着をつけることが求められている。

……本誌副編集長 岩崎松男

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