たたかいの現場から
806・087号

組合つぶしに奔走する大阪産大  学生大会決議も無視

 12月14日、大阪教育合同労働組合大阪産大支部は48時間のストライキに入った。組合はアパレル産業コース教職員の8割を組織している。
 大阪産大(本山美彦学長)は9月に組合が支部結成を通知すると、翌日に客員教員である支部長及びコース責任教授から授業を取り上げ、翌々日には自宅待機命令を出してきた。団交で理由を尋ねると、「労働条件ではない」と団交議題にすることを拒否した。これは当然、府労委送りとなった。
 他方、支部長の後任教員は授業担当能力がなく、休講が相次いだ。支部長らの授業を受けたいと熱望する学生たちは、休講やイベント中止の理由も明らかにされないため、自主的に学生大会を開催し、大会決議を理事長・学長に届けた。しかし、大学は「嫌なら退学すれば」という回答で対応したのであった。
 学生・教職員の授業再開の願いを受けとめ、組合はスト権を確立して団交で授業正常化を求めた。しかし、大学は要求をのむことを拒否した。スト突入である。
 この日は、奇しくも赤穂浪士討ち入りの日。大阪産大正門前には組合旗が林立し、マスコミも賑やかに取材に入ってきた。しかし、スト通告は下級職制に受け取らせ、責任者は出てこない。理事長・学長は建物に隠れたままである。
 スト集会には、授業をボイコットした学生が合流してきた。組合のマイクを持って、「先輩が受けてきた授業を受けたい」「後輩に同じ授業を受けさせたい」「大学は誠意を見せてほしい」と口々に訴える。それでも、大学は反応しない。
 闘いは越年する。

(大阪教育合同労働組合副委員長 山下恒生)

成田プロジェクトが国交省申し入れ

 12月9日、成田プロジェクト(「いま成田空港で何が起きているのか」プロジェクト)が国土交通省への申し入れを行った。
 2010年3月からの年間発着回数22万回化によってB滑走路は主に着陸に使用されるようになった。この結果、南側の東峰地区での航空機騒音が拡大。騒音限界値65〜70デシベルを大幅に上回る90〜100デシベルを超える航空機騒音が1分半から2分ごとに降りかかり、住民の人権、生存権が脅かされている。にもかかわらず、成田空港は10月の四者協議会で、羽田国際化に対抗した年間30万回化の方針を正式決定。騒音を更に拡大しようとしている。
 成田プロジェクトは現地で騒音調査を行い、声明「人権・生存権を侵害する航空機騒音をただちに止めるべきです」を出し、全国に賛同を呼びかけた。
 9日は午前に、服部良一衆院議員の仲介で国土交通省航空局空港部首都圏空港課成田空港整備調整推進室への申し入れを行った。同室の松本洋専門官、箱田厚課長補佐が応対。最初に大野和興さんが声明、呼びかけ人・賛同人・発起人の一覧(計225人)、添えられたメッセージなどを手渡した。
 国交省とのやりとりでは中里英章さんらが騒音データを示し、1966年以来国家権力を乱用して進められてきた空港建設、黒野空港会社社長(当時)が東峰区への手紙(05年5月9日)での「今後皆様の生活環境や人間としての尊厳を損なうようなことは二度とやってはいけないとの強い決意でおります」という約束を反故にし滑走路延伸を強行してきたことが問題の原因であることを認め、住民の生存を脅かす航空機騒音を直ちに止めるように求めた。
 これに対して、国交省は東峰の島村家の騒音が「限度を超えていることは認識している」と、騒音を低減する責任があることは認めた。それでも、北側国交相(当時)の指示で国交省の役人が地元農家への訪問はしないことになっているとして、「成田空港会社に話し合いを指導している」と空港会社だけの責任であるかのような口ぶり。しかも、移転が唯一の解決といわんばかりの対応だ。更に30万回化によって騒音が一層拡大するという指摘には、発着時間を拡大しなくても30万回は可能という、とても信じられない回答だった。
 これらに対して、羽田空港では大田区議会の要望に応じて、早朝の騒音を80デシベル以下とする規制を守るために、10月以降、早朝の飛行便数を削減するなどの運用を国交省も関与してとっている。なぜ成田空港では90デシベル以上もの騒音を低減するように南側は着陸しないなどの運用をしないのかと追及。そして、申し入れへの文書回答を求めたが、文書回答は行っていないと拒否された。  続いて、一行は丸の内にある成田国際空港会社東京事務所を訪れた。来意を告げたが、中に入れようとせず、押し問答に。結局、受付で戸井東京事務所長に声明等を手渡し、生命の危険を冒す航空機騒音を直ちに止めることを申し入れ、本社地域共生部部長からの回答を約束させた。
 成田プロジェクトは、引き続きこの問題に取り組んでいく予定だ。

(「グローカル」編集部 繁山達郎)

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