たたかいの現場から
885号

組合敵視を続ける宮古毎日新聞 第7次宮古総行動で反撃

 非正規社員の契約更新交渉で組合員を差別する労働条件を提示したあげく「自宅待機」を命じる―。組合敵視を続ける沖縄県の宮古毎日新聞は3月末、このような乱暴狼藉に及んだ。これに対し宮古毎日新聞労組は、会社の姿勢を団交や労働委員会などの場で徹底的に追及し、当該組合員(2人)の職場復帰を早急に勝ち取る決意だ。沖縄県マスコミ労働組合協議会、新聞労連も宮古毎日労組を全面的に支援していく。


 契約社員の組合員は現在3人。みな10年以上勤務しており、組合はすでに「期間の定めのない雇用」になっているとして正社員化を求めている。しかし会社は毎年3月末の契約更新で異職種への配転や労働条件の切り下げを提示。団交では「人員は余っているが解雇回避努力をしている」などと暴言を繰り返し、徹底的な組合敵視を続けている。
 会社側は今回、2月末に新たな労働条件と仕事を提示した。しかし3月下旬になって3人のうち2人に示した集金業務でバイクを使うよう指示。組合は「これまで社有車で行ってきた集金業務をバイクでさせるのは労働条件の切り下げ。正社員が業務でバイクを使っている例はなく、明らかに組合員差別」「一昨年に中労委が示した『新たな労働条件は一ヵ月前までに提示する』という和解勧告に違反する」などとして会社に撤回を求めた。
 これに対し会社は「バイク使用は労働条件ではない」などと主張。組合側は契約更新の期限が近づいていることからバイク使用の条件などは別途交渉を提案したものの、会社はバイク使用に拘泥し、3月31日夜に開かれた団交で「自宅待機を命ずる」と宣言。一方的に席を立った。


 年度末ぎりぎりの交渉に合わせて新聞労連と沖縄マス協は31日から4月1日にかけて宮古島で第7次宮古島総行動を開催。全国から65人が集結し、31日夜まで断続的に開催される団交を、別会場で集会を開催しながら見守った。
 総行動の参加者は一方的な「自宅待機」通告と団交放棄を受け4月1日朝、宮古毎日新聞社の社屋前で抗議行動を開催。「自宅待機は認められない」などとシュプレヒコールで強く抗議した。
 宮古毎日新聞労組の恩川順治委員長は「宮古島の気候を考慮すればバイクでの集金業務は労働条件の切り下げそのもので到底受け入れられない」と話している。

 

日比野 敏陽(新聞労連委員長)

東芝うつ病解雇で最高裁判決 安易な過失相殺に歯止め

 東芝深谷工場でうつ病となり、不当解雇された重光由美さんに対し、3月24日、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は東京高裁の賠償額減額判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻すとした。
 重光さんは、液晶生産の技術部門プロジェクトリーダーとして休日・深夜の長時間勤務により、2001年にうつ病を発症。04年に休職期間が満了したとして労災にもかかわらず解雇された。東芝による過酷な長時間労働と解雇、さらにはここまで争い続ける企業体質がもっとも悪質だが、何ら手を差し伸べなかったのみならず、会社と一緒になって見捨てた東芝労組や労災補償をしなかった労基署も許し難い。それと同時に、今回の最高裁判決は、東京高裁の不当判決を断罪するものだった。


 08年、東京地裁は解雇無効を認め、未払い賃金と損害賠償計約2800万円の支払いを命じたが、東京高裁は重光さんが神経科への通院を会社側に申告していなかったことなどを理由に賠償額を減らしたのだ。しかし最高裁は、重光さんが会社側に体調不良を訴え、欠勤していたことなどを理由に「会社は業務軽減措置をとることは可能だった」と判断した。
弁護団は、00年の電通事件最高裁判決に触れ「安易に過失相殺・素因減額を適用した原判決の誤りを正したもので、働くもののいのちと健康を守り、療養中の労働者の権利を守り発展させるうえで極めて重要な意義を有する。近時、下級審の中で安易な過失相殺を行う判決が生まれているが、本日の判決は、この傾向に歯止めをかけるものとなる」とのコメントを発表した。


 また重光さんも「『うつ病は心のかぜ、気軽に精神科を受診しましょう』と言われているのに、一回程度の精神科の受診歴があることを持って、私の過失やうつ病のなり易さとした高裁の裁判官には、社会問題への認識不足を感じます。うつ病は誰もがなる病気ですし、適切な対応でよくなります。今日の判決で、社会のメンタルヘルスが向上することを期待します」と訴えている。
 今最高裁判決は、東芝が重光さんに過重で過酷な労働を課したことを長文で詳述しており、その視点から損害賠償論を述べている。「このことは被害者の救済とともに、職場での労災予防のためにも重要な意義を有する」と弁護団も指摘している。


水谷 研次(元東京都労委労働者委員)

 

 

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