たたかいの現場から

886+7合併号

●NTT各社に対し各組合がストライキで対抗

《西日本》 本社前攻防 新人組合員ら40数名が初のストライキ

 3月24日午前8時、NTT西日本本社ビル前に、200名以上の労働者が結集した。大阪全労協、おおさかユニオンネットの14春闘の統一行動である。本社正面玄関前には、色とりどりの組合旗がストライキを歓迎するかのようになびいていた。

 この日、NTT西日本の社員である大阪電通合同の40数名の組合員が、半日または1日のストに突入した。結成からの現職組合員は1人を数えるだけで、ストに突入した組合員は経験もない新人組合員である。


 本社正面玄関前では、電通合同が包囲・突入・占拠といった攻防を繰り返してきた。その攻防をビデオでしか見たことのない「新人組合員」の顔は緊張し、何が起きるのかわからない不安を漂わせていた。そして「会社が不誠実な対応をすれば、全員で突入する」という本部指示に、一歩も二歩も下がった位置をキープし続けていた。
 最大の緊張場面である本社への申し入れ行動に、大阪全労協、おおさかユニオンネット、大阪電通合同の代表者が正面玄関から向かう。会社は、丁重に代表団を会議室に案内した。残念!何事もなく、申し入れ行動が行われ、社前では出発集会を続ける。その中で一番安堵の表情を浮かべたのが新人組合員であった。


 この日、NTT西日本の本社ビルに勤務する労働者は、通常の勤務時間より1時間以上早い出勤を強要された。組合旗や横断幕、正面玄関に張られるステッカー(セロテープで張り付ける)を見せたくなかったのか、突入を予期したのかは不明であるが、本社ビルで働く労働者の前に登場できなかった悔しさが残った。
 次回のストライキは一時間早く登場し、アピールしたいものである。

 

山崎 秀樹(大阪電通合同労働組合)

《全 国》 各支部がまやかしの「政労使合意」に反対してスト

 「経済の好転を賃金につなげる」一方で、労働者側には「多様な正規労働者の実現・普及」「柔軟な働き方の実現に向け労使で積極的に話し合う」「労働者は、職業能力を向上させ、生産性を高める努力を」とする「政労使合意」で始まった14春闘。
 「給料の上がりし春は八重桜」、安倍首相が主催の桜を見る会で詠んだそうである。法人税減税や復興税前倒し廃止を前提に、経営側に賃上げを要請し、アベノミクスによる好循環を演出する「パフォーマンス春闘」に乗っ取られようとしている。
 電通労組は、このような春闘解体と労働の規制緩和を狙う「政労使合意」に反対し、労働組合が闘いを通して生活を守るために、同一価値労働同一賃金を基本とした非正規労働者や中小企業労働者をはじめ、労働者全体の大幅な賃上げの獲得を掲げて、3月12日、首都圏、宮城、福島、青森の各支部がストライキで闘った。


 首都圏支部は、東日本本社前でN関労、東京労組の三労組共同の闘いと全労協や解雇と闘うJAL労働者など地域の仲間の支援を受けて、ストを展開。
 「大企業が内部留保を巨額に溜め込んでいる。NTTも9兆7千億円を超える内部留保を社会に還元せよ」と訴え、労働法制の改悪反対と東日本大震災の復旧・復興をともに闘うことをNTT労働者に訴えた。
 宮城支部では、五橋ビルで宮城全労協の仲間の支援を受けてストを貫徹。労働の規制緩和反対!同一価値労働同一賃金を原則とした均等体遇の実現を、14春闘を復興連帯、脱原発社会実現に向けて闘うことなど訴えた。
 福島、青森支部も組合員全員がストを展開した。とりわけ青森支部は、業務があるにも関わらず廃止提案がされている弘前センターの廃止撤回を求めて闘っている。NTTは、業務委託先の会社にその業務をする技術と人員がいないことから、NTT労働者を「特定派遣」でその会社に派遣して業務を進めるという。地方切り捨てと労働者犠牲転嫁など、やりたい放題の業務集約は許さない。


 3月12日、NTTは1600円の有額回答を示した(うち700円が扶養手当)。しかしその内容は、課長や主査、本社労働者などのエキスパート職のみに限定した回答であった。大多数の一般職、自社採用労働者、非正規労働者は賃上げなしの実質ゼロ回答である。

 組合の追及に、成果を上げている部分に応えるためだと平然と言っている。

 職場の労働者の怒りは増大している。電通労組は、差別の拡大と成果主義強化の賃上げ回答に抗議し、闘いを継続している。

 

日野 正美(電気通信産業労働組合)

《東日本》 大幅賃上げ、非正規社員の正社員化を求め二波の時限スト

 東日本NTT関連合同労働組合(N関労)は、14春闘にあたり「賃金・生活実態アンケート」の取り組みからスタート。数年来のベアゼロ回答により、組合員の生活改善要求は切実なものとなっていた。加えて、消費税増税や社会保険料などの引き上げによる家計負担増。長期デフレからの脱却は、労働者の賃上げによる内需拡大が最も有効であり、政府も財界へ賃上げを喚起する異例の春闘でもあった。


 要求内容は、主に一律5万円の賃上げ、年間ボーナス基準内賃金6ヵ月分支給、成果・業績主義制度廃止、非正規労働者の均等待遇など。

 生活改善には「消費税増税と物価上昇を含めると最低5%は必要」と団交の席上強く迫った。

 

 NTT東日本は、持株会社(NTT)の、9兆7千億円の内部留保金の取り崩し、株主優遇(100株で1万6千円)などを改めることなく、NTT労働者への還元には曖昧な態度に終始。

 ゼロ回答が続く中、3月12日と13日に二波の時限ストに突入した。

 大手組合の集中回答日、NTT東日本より7年ぶり平均1600円の有額回答が示された。中身は、ベースアップにはほど遠く、組合員の殆どが所属する一般資格で0円、エキスパート資格で平均35円の賃上げとなった。配分で成果主義思想により、物言う一般資格者と従順なエキスパート資格者の差別支配の拡大を許す事になり、今後に大きな課題を残す結果となった。


 茨城支部では、スト突入集会後、支援の仲間と共に茨城労働局に出向いた。登録型派遣社員として6年以上も働かされてきた沼田組合員の雇い止めに関連し、NTTの派遣法違反(専門26業種)の調査結果について、半年間もかかっている理由について2時間半にわたり説明を求め、「早急に本省に出向き協議し、3月中に結果を出す」との答えを引き出した。その後3月26日の「許すな正社員ゼロ・生涯派遣!」に抗する参院・院内集会で訴え、3月30日に茨城新聞、1面に掲載された記事などを通し、会社が派遣社員をどのように扱っているかを暴露し、問題を明らかにしてきた。

 

野中 保夫(全労協全国一般東京労働組合)

◎三波の統一行動を背景に14春闘第二波では2組合20名がストで参加

 春闘に先駆け、2月9日〜10日に合宿を行い、3月7日には単組代表者会議で春闘統一要求(賃上げ等8項目)と統一行動(3波)を決定した。


 3月14日の第一波統一行動は、NTT木下争議解決申し入れ行動→フジビ偽装倒産抗議集会→少年写真新聞春闘集会→メトロセルビス要請行動を約100名の組合員が闘い抜いた。また、フクシマ連帯キャラバン行動の一環として取り組まれた、前田建設工業社前集会とけんり春闘主催の経団連前抗議闘争にも、約30名が参加した。
4月4日の第二波統一行動(ストライキ行動)は、15時からの総決起集会をメインに、争議支援や職場で厳しい闘いをしている組合への支援行動を取り組んだ。

 三幸タクシー社前での解雇撤回を求める抗議行動→合併による労働条件の不利益変更等と闘う西武バスグループ分会の西武本社前抗議集会→不況による事業所縮小による人事異動や賃上げゼロ回答に対する平河工業分会の要請行動→NHK地域スタッフの削減に反対するNHK本局前抗議集会と渋谷駅周辺のデモ→総決起集会を取り組んだ。


 総決起集会には、組合員180名が結集(2組合の20名がストで参加)。印刷・製造、交通・運輸、教育・福祉、流通・サービス等の業種から20組合が闘いの決意表明。
 4月18日には第三波統一行動を予定。最後に、東京労組は春闘の取り組みと同時に、安心して暮らせる社会を目指し、3月8日福島現地集会と3月15日脱原発集会への積極的参加とともに、組織内で「沖縄に行こう実行委員会」を組織し、沖縄平和行進に20数名が参加する。

野中 保夫(全労協全国一般東京労働組合)

 

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