たたかいの現場から
810号

解雇が有効なら使用者は誰でもいい!?

 自転車・釣具で有名なシマノの専属下請企業である岡本技研は、多くの日系外国人を雇用している。岡本技研では、ブラジル人課長代理が気に入らない外国人労働者を適当な理由で解雇するなど、法律を無視し、好き放題にやっている。
 あまりに酷い現状に我慢できなくなったブラジル人労働者が、「法令順守」を求めてゼネラルユニオンに加入した。2009年2月、ゼネラルユニオンは岡本技研へ「労基法を守れ」と要求し組合を公然化した。  すると、岡本技研は組合員だけ残業や休日出勤をさせず、組合員に「脱退しなければクビにする」と脅かし、組合員の就労を拒否し、朝礼で社長やブラジル人課長代理が組合批判を繰り返すなどなど、「組合つぶし」の不当労働行為を始めた。
 組合公然化以前、岡本技研は組合員の一人に、「不良品を作った」との理由で解雇を通告していた。ゼネラルユニオンは「組合つぶしをやめろ」と抗議するとともに、「解雇撤回」を要求したが、岡本技研は解雇を強行し、その他の組合員へは残業差別・就労拒否を続けた。
 解雇された本人は岡本技研で就労してきたので、当然「自分は岡本技研の労働者」と思っていた。しかし、組合に加入してから判ったのが、被解雇当該の給与明細には名前を聞いたことがない「三原精工」と記されていた。
 私たちは、「三原精工は実態がない。岡本技研が真の使用者だ」と、「解雇無効」を求め、岡本技研を被告として大阪地裁堺支部へ提訴した。
 大阪地裁堺支部(裁判長・山田知司)は、岡本技研側証人の陳述書や証言を鵜呑みにし、2011年1月14日に「解雇有効」との不当判決を下した。
 そして、使用者性については「解雇が有効だから、岡本技研もしくは三原精工のいずれが使用者か、判断するまでもない」と切り捨てたのである。解雇したのが誰かを判断せずして、どうしたら「解雇有効」との結論に行き着くのか。
 労働法の初歩すら判らない裁判長の法律知識には、呆れ果てるばかりだ。こんな酷い判決が確定すると、これからはどんな理由であっても労働者を解雇できるようになってしまう。
 私たちは、労働者の権利を踏みにじるこんな不当判決を断じて許さず、大阪高裁へ控訴した。
 大阪高裁で逆転勝利を掴むべく奮闘する決意であるし、未だ「組合つぶし」を止めない岡本技研に対しても闘争を貫徹する覚悟である。

友延秀雄(ゼネラルユニオン書記次長)

日本郵政は経営責任を転嫁するな!
非正規社員雇い止めホットライン開設

 昨年末から郵便事業会社の赤字報道が度々行われている。昨年12月31日の東京新聞を皮切りに、つい最近では2月12日「日本郵便大量雇い止め」「3月末非正規数千人規模か」というもの。なかでも1月8日に報じられた日本郵政齊藤社長の記者会見で明らかにされたのは以下の通り、@JPEX継承後赤字が膨大なものになっている。A500億円〜1千億円のコスト削減を計画している。B計画より超過している人件費のカットを計画している。C期間雇用社員を削減するD労働組合に社員の給与及び一時金のカットを提案する等というものである。
 今職場では、赤字を脱却し収支改善をするためと称して人員整理が進められようとしている。
 希望退職募集・配置転換・勤務時間や日数の減とその上での雇止めの通知(全国)、3時間雇用パートタイマーの全員雇止め通知(東海)、65歳以上高齢社員の9月末雇止めの半年前倒し(近畿)。雇用期間の切れ目である3月末の1ヶ月前、2月末における「雇止め予告通知」の可能性が生まれている。
 今期の赤字は採算性の見通しも無くペリカン便との統合を進め、時期も見誤り大量遅配を生み出した経営責任である。民営化しても肥大化した管理部門を維持しているためにその経費はヤマトの5倍、日通の2.5倍にも上る。しかし、赤字といいながら日本郵政、局会社、郵便会社合わせての内部留保金を8.5兆円も抱えているのだ。
 郵便事業会社の赤字の責任は経営にある。現場の期間雇用社員への犠牲転嫁は許さない。郵政ユニオンは、一方的な雇い止め解雇を許さないために「郵政非正規社員雇い止めホットライン」を開設して、「一人で悩むより、まず相談を!」電話相談を全国一斉に実施する。さらに3月3日、日本郵政本社前集会(11時45分〜12時30分)、院内集会(衆議院第2議員会館14時〜15時)を郵産労などと「全国共同会議」として取り組み、「正社員化・均等待遇署名」と非正規社員の声を大きく届けていく。

郵政労働者ユニオン中央本部

★郵政非正規社員雇い止めホットライン
電話相談日
 2月27日(日)、28日(月)、3月1日(火)
東日本エリア;03-3837-5391(3日間連続 13時〜20時)
西日本エリア;079-222-0738(3日間連続 13時〜20時)

地方別電話番号
☆東京・関東 ;03-3837-5391(3日間連続 13時〜20時)
☆東海     ;053-450-3818(3日間連続 13時〜20時)
☆近畿     ;06-6323-2601
(2月28日、3月1日 13時〜20時)
          079-222-0738(3日間連続 13時〜20時)
☆四国     ;090-5915-5085(3日間連続 13時〜20時)
☆中国・岡山 ;086-232-3741(2月27日 14時〜20時)
 岡山県以外 ;082-244-7719(3日間連続 17時〜20時)
☆九州     ;095-828-1953(3日間連続 13時〜20時)

たたかいの現場から バックナンバー
たたかいの現場から 投稿について
「たたかいの現場から」の原稿を募集しています。各地での闘いの様子を原稿にしてお送りください。字数は800字前後でお願いします。
協同センター・労働情報 東京都千代田区三崎町2-13-5 影山ビル501号 Tel.03-6675-9095 Fax.03-6675-9097