たたかいの現場から
816号

橋下知事・大阪維新の会による 「君が代」起立条例(案)に反対

 大阪府において、「君が代」強制の動きが風雲急を告げています。4月の統一地方選で議会の過半数を制した「大阪維新の会」が、5月府議会に卒・入学式における教員の起立義務を定めた条例案を提出しようとしているのです(5月18日現在)。この動きが、橋下知事の意向に沿うものであることは、府幹部に宛てた彼のメールからも明らかです。
 そのメールの中で、橋下知事は、「論理的な問題ではなく、社会常識の問題ですから、最後は政治が決することです。教育の中身の問題ではないので、教育の中立性を振りかざす問題ではありません」と問題をすり替え、「何が社会常識かは、価値判断にかかわること。意見が割れたときには、最後は公選職が決めることです。組織のルールに従えないなら、教員を辞めてもらいます。」と処分を強めることを打ち出しています。事実、最近になって、「複数回の不起立で懲戒免職」という内容を含む教員処分条例案を9月府議会に提出すると発言しているのです。あの石原都政と都教委ですら、できなかった暴挙です。
 14日の新聞報道を受けて、「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪は、緊急に条例案反対のとりくみを呼びかけました。反対アピール、記者会見などで反対の声を拡げるとともに、26日に「それは許せん!『君が代』起立条例反対集会」を府庁近くの教育塔前広場で行う準備を進めています。
 橋下知事の狙いは、秋の知事・大阪市長ダブル選挙にむけた政治的焦点作りにあるとも言われています。さらに彼にとって、自分にあくまで楯突く府職員は絶対に許せないのでしょう。今こそ、橋下知事と「大阪維新の会」に対して、全国から反対の意思表示と抗議を集中させましょう。

寺本勉(大阪教育合同労働組合執行委員/「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪事務局)

STOP!不払いキャンペーン
「フリーランス震災ホットライン」を開設

 社会の仕組みやエネルギーのシフトが求められるこの時に、立場の弱い「労働者」、心ある「アーティスト」、気概ある「クリエイター」に犠牲が強いられるなどということはあってはならない。こうした人々こそが、次の時代を生み出しうるのだから。
 近年、企業の都合に左右され、最下層の調整弁に甘んじてきたフリーランス。この状況を打破すべく、日本音楽家ユニオン、映画演劇アニメーションユニオン、出版ネッツ、インディユニオンといったフリーランスのユニオンでは、昨秋の「文化祭」、ゴールデンウィークの「芸術体験ひろば」などで連帯を重ねてきた。
 しかしフリーランスは震災後、傷口を広げられ、深手を負っている。そこで、次なる「STOP!不払いキャンペーン」の一環として、5月29日日曜日(10〜17時)、「フリーランス震災ホットライン」を開設する。25日水曜日(13時〜)には、厚生労働記者会(記者クラブ)にて、「フリーランス震災ホットライン」に関する記者会見も開く(電話:03−3595−2570)。
 私たちは、震災後の仕事への影響を把握し、苦しむ人の力となるため、ユニオンの経験とノウハウが生かせることを願っている。以下に思いあたる方からも、ご連絡をいただければ幸いである。●イベント自粛に伴う減収●震災を口実にした契約打ち切り●雑誌休刊にともなう仕事減●仕事のストップ●ギャラの発生の有無が不明●大口取引先の被災による受注量の激減●地震を理由とした一方的な値下げ●仕事減による家賃滞納など。
【相談電話番号】03−6304−5773 03−6304−5774
【お問い合わせ】03−5909−3457(日本音楽家ユニオン)

小林蓮実(インディユニオン=連合ユニオン東京/委託労働者ユニオン執行副委員長)

生活者の視点での震災復興と 原発政策からの脱却をめざしたメーデー

宮城全労協メーデー  被災労働者から復興労働者へ
 宮城全労協は4月30日、メーデーを開催しました。地震後初めて顔をあわせた組合員たちもいて、家屋流出など被災の報告、経営難を理由とする解雇通告に直面する組合の状況、全国各地の仲間と継続して取り組まれている救援活動の報告などが行われました。採択された集会決議は宮城全労協のホームページに掲載されています。
 東北全労協対策本部からは、50日間の激闘を振り返りつつ、「被災労働者から復興労働者へ」という問題提起がなされました。次の局面が訪れているとの認識からです。
 第一に福島原発です。一刻も早い「収束」が最大の問題であり「前提」です。しかし、この点をあいまいにしながら政府の復興対策会議が始まっています。被災地では自治体主導の復興計画議論があいついでいますが、結局そこでも「福島原発問題」が問われます。宮城県南三陸町の町長は「原発を切り離して」ほしいと中央復興会議に伝えたということです。南三陸のような被災地と福島の互いに切羽詰った双方が対立させられる事態は、なんとしても克服されねばなりません。
 第二に「規制緩和」や「経済特区」などが盛んに語られていますが、その議論の「右」には経済団体がいて、竹中元大臣のような新自由主義者の主張が後押ししています。「東北農業をTPP対応型に再建する」との主張がその典型です。「新しい町づくり」として委員たちが語っていることにも、例えば「エコ・タウン」構想が原発政策の是非を棚上げしているように、きわめてあいまいなものが目立ちます。
 宮城県村井知事は漁業・水産業の「一時国有化(国営化)」を「経済特区」の具体策として主張してきましたが、数日前、「漁業への民間企業の参入」(つまり漁業権に対する攻撃)を表明し、宮城県漁協は一致して反対することを決定しました。このような矛盾や混乱はいま、現場のいたるところで問題となっています。まさに「復興労働者」としての闘いが求められています。

細川潤一(宮城分局連絡会)

小名浜メーデー  震災復興に向け力強くデモ行進
 5月1日、福島県いわき市小名浜の本町公園に、350名の労働者が結集、第82回の小名浜メーデーが開催された。小名浜地区では、1990年のメーデー分裂以来、連合にも全労連にも行かない組合を中心に独立メーデーを取り組んできた。
 今年は、政党からの来賓は社民党からは服部良一衆議院議員が参加、共産党、民主党も出席し挨拶を行った。労働団体としては、小名浜地区労、国労水戸地本、そして今年は、20年来エールの交換をしてきた大阪の中ノ島メーデーの仲間から、全港湾大阪支部・山元書記長が参加した。
 小名浜メーデーは若者が多い。3分の1が30歳未満の労働者である。デモ行進に入る前にハプニングが。飛び入りで、バンド「マイペース」と森田貢さんが往年のヒット曲「東京」を演奏したのだ。50代の人たちには、なかなかの評判だったようだが、若い組合員はほとんど反応がなかった。
 小名浜メーデーは、5人〜30人の中小組合がかなり参加している。中小組合は、これまではほとんど全員でメーデーに参加して
きた。しかし今回、「自粛」の問題でかなり内部議論が混乱し、一部しか参加できなかった組合も多かった。  「自粛」の問題については小名浜メーデーの主体となっている全港湾でも深刻な討議が4月下旬まで行われた。
 最終的には、復興に向けた団結の強化のために、メーデーを通して労働者が先頭に立つことを全市民にアピールするために、集会とデモに取り組むこととしたのである。とくに、小名浜は地震と津波に加え、原発事故による放射能汚染問題があり、政治責任追及が必要との認識の下に準備が進められてきた。
 集会終了後、約1時間、3`、小名浜市街をデモ行進した。今年は、例年と違ってデモ隊のシュプレヒコールに手をふる市民も多く見られた。震災復興という状況で労働者の団結への期待も出てきているのではないだろうか。
 デモ終了後、恒例の抽選。今年の商品は、震災復興の先頭に立つメーデーらしく、地元商店にのみ活用できる商品券だった。

松本耕三 全港湾書記長

脱原発郡山メーデー  事故を止められなかった悔しさ胸に
 郡山市での「働く者の権利を守る第82回メーデー集会」は、地震による破壊と高い放射線量が続くなか、時期をずらしての5月14日開催となった。会場の郡山教組会館の座席はすぐに満杯となり、床に座っても廊下に立っても入りきらず、テレビ会場が別に設置された。参加者は例年の倍以上の230人余り。  校庭が3.8μSv/h以上で表土を剥ぐに至った学校に勤務する実行委員長の飯塚裕一県教組郡山支部長は、「なんの非もないのに大変な状況に突き落とされた。命と権利、ふるさとを守るために、団結して活動していくことが必要だ。今日はその第一歩」と怒りをこめて主催者挨拶を行った。  社民党の八重樫小代子市議、共産党の神山悦子県議、郡山の未来をつくる会の蛇石郁子市議の連帯あいさつにつづいて、双葉地方原発反対同盟代表の石丸小四郎さん、ハイロアクション福島原発40年実行委員の吉田優生さん、脱原発福島ネットワーク世話人でいわき市議の佐藤和良さんの3人が講演を行った。  各職場・闘う仲間・被災者からの報告として5人が発言。特養ホームエルピス不当解雇撤回裁判原告の関根たつ子さん、自治労郡山市職労臨時保育所不当解雇撤回闘争の井上節子さん、国労郡山工場支部・橋本光一さん、県教組郡山支部・鈴木浩行さん、全自交吾妻分会・阿部利広さんがそれぞれの報告を行った。  そして、郡山市に避難を余儀なくされ、さらにそこから40`の学校勤務(兼務)となっている柴口正武さん(県教組双葉支部長)が、原発事故で教職員も子どもたちも家族もみんなバラバラにされてしまった状況を涙ながらに報告。最後に教組郡山支部女性部長の大山さんが読み上げたメーデー宣言を採択し、国労郡山工場支部橋本委員長の音頭で団結ガンバローを三唱して幕を閉じた。  今集会には、労働組合のみならず脱原発、放射能から子どもたちを守る市民グループ・個人、放射能汚染のなかでどうしたらいいのかと悩み少しでも希望を見出そうとする人々が参加した。

中路良一(郡山分局)

静岡県中部地区メーデー  浜岡原発即時停止、震災便乗雇用破壊許さない
 静岡県中部地区メーデーは、静岡県労働組合共闘会議(静岡県共闘)、静岡中部地区労などを中心とした実行委員会形式により、5月1日、静岡市の中心部の青葉公園で労働者・市民200名の参加で開催された。  今年のメーデーは、3月11日に発生した東日本大震災対策が重要課題であることは全国共通のことである。特に福島第1原発で発生した事故により原発の安全神話は崩壊。原発の立地する地元住民はもとより、多くの国民を恐怖に陥れた。静岡県には東海地震の発生源とされる活断層の真上に浜岡原子力発電所がある。世界で最も危険といわれる原発である。  労働組合の多くは、労働者の権利拡大・擁護の運動は当然のことであるが、さまざまな市民運動との連帯にも大きな力を注いできた。その中で危険きわまりない浜岡原発との闘いは、赤字タレ流しの静岡空港問題とともに、重要課題として長期間取り組んできた経緯がある。そして、福島原発事故発覚以来、連日のごとく浜岡原発の危険性を県民・市民に訴え活動してきた。  地区メーデーでは、ごく自然に「浜岡原発即時停止」、「震災に便乗した雇用破壊を許さない」、がメインのテーマとなった。浜岡原発即時停止を訴えるデモ隊に対し、市民からの激励の声などもあり、福島原発事故が市民に与えた影響の大きさを痛感した。  5月6日、菅総理は浜岡原発の停止を中部電力に要請し、浜岡は全号機停止している。なぜ、浜岡だけなのか、なぜ廃炉ではないのか――など課題は山積しているが、脱原発、クリーンエネルギーへの転換に向けて大きな一歩であることは確かである。静岡の地でも今後とも奮闘したい。

増田和明(静岡県共闘)

日比谷メーデー  脱原発・反戦・平和 国際連帯を強調
 日比谷野外音楽堂の壇上に、「東日本大震災の被災者の救援・復興にともに連帯し全力をあげよう!」「すべての原発を即時停止し廃炉へ、原発依存のエネルギー政策の転換を!」のスローガンが掲げられた第82回日比谷メーデーは、1万2千名が参加して開催された。被災地から駆けつけた宮城全労協・大内忠雄議長は、「この震災で新自由主義の矛盾が明らかになった。現地では公務員リストラの影響で、医療や福祉労働者が限界に達している。メーデーのスローガンは、今後の復興のスローガンになる」とアピールした。
 また、主催者挨拶を行った国労東京地本・石上浩一委員長や、連帯挨拶にたった都労連・武藤弘道委員長からも、脱原発、再生エネルギーへの転換、労働者派遣法の改正、辺野古への新基地建設反対などが強調された。
 来賓には社民党・福島みずほ党首などがかけつけ、祝辞を述べた。決意表明を行った争議団・争議組合に加えて、ステージに登壇した外国人労働者たちが4ヵ国語で合唱、多民族・多文化共生を謳ってきた全労協らしさを披露した。

岩崎松男(本誌副編集長)

中之島メーデー  熱気と元気が開場にあふれ
 今年も5月1日、大阪・中之島公園剣先ひろばにて「第82回中之島メーデー」を開催しました。当日はあいにくの小雨混じりでしたが、千人を超える参加者の熱気が冷めることはなかったようです。式典は東日本大震災犠牲者の方へ黙祷から始まり、ユニオンネット代表垣沼氏、大阪労働者弁護団大川先生、各議員の皆様、各組合での争議報告・アピールが力強く行われました。その後、趙博さんのミニライブと震災支援・救援に関するアピールも聞かれました。式典最後は定番、みんなで肩を組みインターナショナル大合唱、団結、連帯をあらためて誓い合いました。そしてデモ行進、参加者各々の思いをシュプレヒコールに乗せ、大盛況のうちに閉会しました。  本年、新たな試みとして大阪労働者弁護団による「無料労働相談」が併設されたり、クラッカーの一斉発射などを行いました。労働者の祭典らしく元気で力強いメーデーが実現したと思います。

林郁雄(大阪全労協)

京都メーデー  震災支援・復興 原発政策転換
 京都総評を中心とした実行委員会主催の第82回全京都統一メーデー大会は今年も5月1日、二条城前広場で8千人の参加で開かれた。今年のメーデーの特徴は、「働くものの団結で生活と権利、平和を守ろう」のシンボル・スローガンとともに、「東日本大震災の支援・復興を。全原発の総点検と自然エネルギーへの転換を」などをメイン・スローガンとして掲げた。
 来賓の新社会党京都府本部・池内光宏書記長は「復興のためと称する消費税増税や復旧に名を借りた日米共同軍事訓練は許せない。制御不能の原発を即刻廃止を」と訴えた。JAL不当解雇撤回争議団の小森啓子さんは断固闘う決意を表明し、東北全労協や東北三県からのメッセージが紹介され、3コースに分かれ都大路をデモ行進した。

稲村守(京都総評)

京都地域メーデー  核廃絶の紙芝居も登場
 「やめろ戦争!許すな貧困!私たちが社会を変える!第21回京都地域メーデー」が三条河川敷で開催された。日曜日ということもあり240名という例年より多い参加者だった。
 集会では来賓のあいさつや、フィリピンのKMUからのアピール、東北全労協からの「私たち東北全労協は、被災地住民の絶望と希望を共有し、前に向かって進みます」というアピール等が読み上げられた。多くの争議が報告され勝利を誓った。沖縄や岩国の闘いへの連帯、在日の仲間の闘い、在特会に対する闘い、野宿者排除の空き缶条例反対の闘いなどが次々に報告された。メーデーらしく核廃絶の紙芝居がおこなわれ、恒例の参加者全員でのインターナショナルが斉唱された。
 原発反対のアピールのあと5月2日〜5日まで全労協の遠野市のボランティアセンターを拠点に活動するユニオンネットワーク京都の5名の仲間が紹介され、カンパ要請がおこなわれた。カンパは7万円弱もあつまった。集会終了後、円山公園までデモがおこなわれた。

田村隆洋(洛南ユニオン)

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