たたかいの現場から
817号

「モノづくり日本」に貢献する労組
 事業仕分けされた事業を受託・復活させたJAM

 国際競争力や働く者のモチベーションを含めて、「日本のモノづくり」が国内外で注目をされている。そうした背景を受け、政府の事業仕分けによって2009年度をもって廃止された「業界等が取り組む熟練技能者を活用した技能継承の支援・促進事業」を、労働組合が受託・復活させる画期的な取り組みが始まった。
 この厚生労働省が所管する委託事業を受託したのが、中堅中小の金属関係労組で組織されたJAMだ。すでに今年5月より工業高校等へ熟練技能者が派遣され、実技指導が実施されている。
 この委託事業の受託に至る経緯として、機械金属産業の「ものづくり基盤」を維持するためには、熟練技能の継承によるものづくり人材育成支援は不可欠として、組織を挙げて事業の復活を求めてきた。
 また、調査の段階でJAM北関東・東海・大阪などでの協力体制を取り付けたことや、工業高校等からのニーズの大きいことも明らかとなり、3月に応募して選定を受け、4月25日に厚生労働省との間で委託契約を結んだ。
 具体的にはJAM熟練技能継承推進室が中心となって、関東・東海・近畿に拠点を設置し、工業高校・中小企業などに年間延べ日数400日間、熟練技能者を派遣し実技指導を行う。
 JAMの河野和治会長は、「派遣労働の拡大で技術継承が困難となり、熟練技能者が外国に流出している。そうした人たちに国内での活躍の場を提供し、若い人には技能士検定を目指してもらいたい」と、日本のモノづくりの維持と再生に向けた熱意を述べた。

岩崎松男(本誌副編集長)

「大阪全労協20周年の集い」を開催

 5月22日(土)大阪南御堂会館にて「大阪全労協20周年の集い」を開催しました。
 東京より、金澤全労協議長、全石油昭和シェル石油労組瀧中央執行委員長、服部良一衆議院議員に出席いただきました。
 また、大阪より大阪ユニオンネット垣沼代表、全港湾大阪支部大野委員長、大阪労働者弁護団より大川弁護士、関西共同行動より中北弁護士、京都総評より稲村さん、阪神合同労組より大江副委員長、そして「労働情報」編集長浅井さんなど、20周年記念イベントにふさわしい、豪華な来賓の方々にお越しいただきました。
 冒頭挨拶では金澤議長より祝福の挨拶をいただき、全石油昭和シェル労組瀧中央執行委員長からは、長きにわたって闘われた組合間差別に関する訴訟の勝利的終結報告と、いっそうの団結、連帯が語られました。
 前議長、前田さんの音頭による乾杯。そして我ら青年部が作成したドキュメンタリー映像「大阪全労協20周年の歴史」が上映され、結成当初から参加している方々は昔を懐かしみ、私たち青年部層では、大阪全労協の歴史を学習することができました。
 その後の来賓挨拶では、服部良一衆議院議員より、東北大震災の報告があり、反原発問題では「最初から一貫して原発反対を表明しているのは全労協だけであり、今日その役割は今まで以上に大きくなっている」と激励のお言葉をいただきました。
 最後に石田議長から「これから大阪全労協30周年に向けて、より若手の団結連帯が大切になってくる、大阪ユニオンネット、全港湾、大阪全労協三者の若手が手を取り合い、新たな労働運動を創り上げてほしい」と締めくくられました。
 大阪全労協では次の30周年に向け、いっそう、支援共闘の輪を広げていきたいと思っています。結成以来20年間ほんとうにありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いいたします。

林郁雄(大阪全労協)

脱原発社会のうねりを創る集い

宮城全労協メーデー  被災労働者から復興労働者へ
 5月28日、成田プロジェクト(いま成田空港で何が起きているのかプロジェクト)は、「空港と原発―巨大科学技術を考える」集いを行い、90人が参加した。
 成田プロジェクトは、福島第一原発事故の甚大な被害が拡大している事態に直面し、成田空港問題とともに巨大な科学技術が民衆に何をもたらし、今後どのように歩んでいくのかを模索していく場として設定した。  中里英章さん(成田プロジェクト)は、「服部良一衆院議員(社民党)の協力で政府に東峰地区の騒音公害を中心にした『質問主意書』を提出した(3月4日)が、その答弁(3月15日)で東峰地区を『成田空港の範囲内に存する地域であるから航空機騒音の測定は実施していない』などと述べている」と報告し、東峰地区で人権侵害が続いていると告発。
 伴英幸さん(原子力資料情報室共同代表)は、「福島原発で何が起きたか」というテーマから(1)原発震災その時何が起きたか(2)各地の空間線量の変化(3)第一原発の今(4)過酷な被曝労働問題などについて提起し、脱原発を訴えた。
 平野靖識さん(地球的課題の実験村)は、東峰地区で「らっきょう工場」を営む立場から騒音・環境破壊、政府・空港会社の農民・住民無視の歴史について提起。
 鎌田慧さん(ルポライター)は、「巨大科学技術の時代」について講演。原発開発が巨額なカネを投入し買収構造、利権システムを作り上げてきたことを暴き出し、「原発をつぶしていくプランを具体的に出していこう」と呼びかけた。
 後半は大野和興さん(農業ジャーナリスト)の司会でパネルディスカッション。前半の報告者とともに柳川秀夫さん(三里塚の農民)、石井紀子さん(三里塚・東峰の農民)も参加。  反原発・空港、放射能拡散と測定活動、被曝問題などを論議し、脱原発社会のうねりを創り出していくことを誓った。

山下一夫(成田プロジェクト)

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