たたかいの現場から
829号

こんな骨抜き「派遣法」でいいのか! 議員会館前で抗議のパフォーマンス

 08年のリーマンショックによる大量派遣切りを可視化させた派遣村、そして新自由主義政策を推進してきた自民党への反発から起きた政権交代だった。しかし「辺野古回帰」から「消費税増税」と次々期待を裏切られ、最も切望された「派遣法改正」法案すら日本経団連の要望に添った形で大幅に骨抜きされ、近日中に成立する可能性が出てきた。
 その内容たるや、@登録型派遣と製造業派遣「原則禁止」規定の削除、A日雇い派遣の原則禁止の緩和、B違法派遣の場合の「労働契約申込みみなし規定」の法施工から3年後への延期と、とても「改正」とはいい難い代物となっている。
 民主・自民・公明3党による法案の修正理由として、「震災後の厳しい雇用情勢下では、規制強化は雇用をさらに悪化させる」、「継続審議より一歩前進」「派遣法を早くあげて、有期労働法制やパート労働法の改正に進む」などがあげられているが、こんな法案が通れば、これまで以上に低賃金不安定雇用に拍車をかけるばかりか、今後の有期契約やパート労働法の見直しにも悪影響を与えることは否めない。一説には、今は派遣禁止業務になっている医療業務解禁の狙いがあるとまでいわれているが、押しまくる政府・財界に対して、、オンナ・ハケンの乱のメンバーや全労連の国会前緊急行動が12月6日から8日にかけて行われる。(12月6日記)

(本誌編集部)

4ヵ国との原子力協定承認を許すな 原発輸出に反対し12・1首相官邸前行動

 野田政権は国会会期末を目前にして、原発輸出のための原子力協定の国会での承認を強行しようと動きだした。しかもヨルダン、ベトナム、韓国、ロシアとの協定を一挙同時に短時間の審議で承認を求めた。12月2日に衆院外務委員会で審議・採決が行われ、民主、自民両党の賛成で可決された。
 ヨルダンとの原子力協定については、延長された8月の通常国会で、参考人として招致された「環境・持続社会」研究センター(JACSES)の田辺有輝さんが、冷却水の供給、事故になった場合、建設予定地周辺の100万人の住民の事故時避難が困難であること、テロのリスクも高いことなどを説得的に語ったことにより、採決が見送りになっていた。こうした問題に何の解決もないまま、原発商戦に乗り遅れるなという理由で、福島原発事故を引き起こした日本が原発輸出を行うことは「事故・被害の輸出」そのものだ。
 12月1日、国際環境NGO FoE Japan、JACSES、メコン・ウォッチが呼びかけ、福島原発事故緊急会議などの賛同で緊急の抗議声明が出され、午後6時から首相官邸前で抗議行動が行われ、90人が参加した。官邸前行動では、まず田辺有輝さんが「ヨルダンで作られるという原発では、冷却水の供給が下水処理場からしかなされない。しかもヨルダンはシリア・アフリカ断層の上に立ち地震国だ」と問題点を指摘した。
 社民党の服部良一衆院議員が国会状況を報告した後、メコン・ウォッチの木口由香さんがベトナムへの原発輸出について「ベトナムの人々に真実が伝えられていない。事故が起きたらカンボジア、ラオス、タイなどにも深刻な被害を及ぼすことになる。こうした原発建設に日本の公的資金が使われることは間違いだ」と語った。
 続いてこの日から再び経産省前での座り込みを始めた女性たちから椎名千恵子さん、佐藤幸子さんが「命を生み、育てる女性として福島の悲しみ、苦しみを海外に押し付けることはできない」と発言した。

国富建治(本紙企画編集委員)

脱原発をめざす女たちの会キックオフ集会 4月と6月にも大集会を計画

 11月23日、東京杉並区にある「座・高円寺」で410名の女性たちが集まって「脱原発をめざす女たちの会 11・23キックオフ集会」が開かれた。この会は小山内美江子さんや山崎朋子さん、原発立地地域、NGOの女性たちの呼びかけで発足した。
 キックオフ集会は、幅広くタレント活動をしている中学生・藤波心さんの開会宣言から始まった。藤波さんは「原発があるから日本が支えられているのではなく、何も知らない私たちが原発を支えていた。第2の福島をつくってはいけない。脈々と受け継がれる命を大切にしていこう」と自分の言葉で宣言。加藤登紀子さんは震災6日後に作詞作曲した「今どこにいますか」などを歌ってメッセージを伝えた。高校生のアイドルグループ「制服向上委員会」は「ダッ!ダッ!脱原発の歌」の歌とダンスで会場を涌かせた。
 「現地からのアピール」は、大間、六ケ所、福島、浜岡、福井、もんじゅ、上関、島根、玄海から。脱原発のために活動してきたNGOからは、大林ミカさん、平田仁子さん、山口泰子さん、赤石千恵子さん、崎山比早子さん、富山洋子さん、アイリーン・美緒子・スミスさんが発言。
 俳優の岩崎加根子さんは詩を朗読し、新谷のり子さんも歌でアピールした。
 各界からの発言も続く。宇梶静江さんは「アイヌは水や大地を汚すことは神を冒涜すると考えている」と話し、自作の詩“大地―東日本大震災に寄せて”を朗読した。田中優子さん(法政大学教授)は、「第5福竜丸の事件で、先ず立ち上がったのは主婦であり女たちだった」と話した。福島みずほさん(参議院議員)は「原発がなくても電力は間に合うことをひろめ、来年の夏までに政府の政策を脱原発に変えていこう」と呼びかけた。  「女たちの脱原発宣言」はシンガーソングライターで制服向上委員会会長の橋本美香さんが提案、確認された。最後に吉武輝子さん(評論家)が「原発も戦争も後始末ができない。脱原発と平和な社会を次の世代に残そう」と閉会宣言を行った。呼びかけ人の約半数が出席して、それぞれの思いを発言。
 なお同会は4月と6月にも大集会を計画している。

土井登美江(許すな!憲法改悪・市民連絡会)

アメリカへ米軍基地に苦しむ 沖縄の声を届けよう(カンパ要請)

 私たちは、米軍基地に苦しむ沖縄の声をアメリカへ届けるために、市民団体や個人が参加して「アメリカへ米軍基地に苦しむ沖縄の声を届ける会」を立ち上げました。そして、来年1月に訪米要請行動を行うことにしました。県民並びに平和運動団体や民主団体などの賛同を得て、より多くの声を携えて訪米要請行動を行ないます。
 周知のとおり、普天間基地の「辺野古移設」については、民主党の政権公約とその後の全ての選挙において、また、県民大会、全会一致の県議会決議において、県民に「ノー」と突きつけられ、決着済みのことです。
 しかるに、民主党政権は、この民意を否定し、破綻した「辺野古移設」を担ぎ出して躍起になって推進しています。この民主党政権の行為は、民主主義を根底から否定する暴挙であり絶対に許してはなりません。
 ところで、今、アメリカにおいては、イラク・アフガン戦争等で膨れ上がった財政赤字の削減をめぐって、権限のある連邦議会で攻防が展開されています。その焦点の一つが国防費の削減で、グアム移転・辺野古移設に絡む米軍再編もその渦中にあります。すでに、米国連邦議会上院軍事委員長は辺野古移設は困難であると判断しています。このような中で、米国連邦議会やアメリカ国民に沖縄の民意を直接伝えていくことは非常に重要であり、沖縄県民の要求を実現する千載一遇の機会といえます。
 本来なら、日本政府が沖縄の民意に則って対米交渉すべきですが、到底期待できません。沖縄の未来に関わる「新たな米軍基地の建設」という不条理をただすために、沖縄は大同団結して、県民大会で確立された意思「国外・県外」を掲げて、独自に米国連邦議会と米国の世論に訴えていくべきだと考えます。沖縄県、沖縄県議会、市町村、市町村議会の要請団の編成と派遣が必要ですが、私たちも住民の立場から、要請団を編成し、米国連邦議会や市民へ「沖縄の声」を訴えることにしました。
 多くの皆さんがこの活動にご理解・ご賛同され、会への参加及びカンパのご協力を心から訴えます。
(アメリカへ米軍基地に苦しむ沖縄の声を届ける会)
【カンパ送り先】
◎郵便振替 口座番号
01790−1−141587
◎名称
「アメリカへ沖縄の声を届ける会」

がくろう神奈川への弾圧 不起訴をかちとる

 2年半も前の校長交渉を「強要未遂」容疑として不当逮捕・拘留した、がくろう神奈川に対する刑事弾圧(11月2日釈放―本誌827号参照)のその後だが、11月28日、横浜地検は、私たち4人全員を「起訴猶予処分」の不起訴とした。
 同じ不起訴でも「嫌疑なし」や「嫌疑不十分」ではなく「起訴猶予」というのがむかつく。しかも、この決定は本人には一切通知されないのだ。翌日の新聞報道で初めて知り、弁護士が検察に照会して事実確認するというひどい話だ。「起訴しなかったのだから御の字だろ!」とでもいうべき傲慢な態度。
 公務員である私たちは、起訴されれば起訴休職処分として職場から引きはがされ、執行猶予がついても有罪なら失職だ。
 こんな不当逮捕がまかり通れば、あらゆる労働組合の交渉が「犯罪」になるし、政治弾圧ともいえる違法・不当な警察権力の行使は、頻発する脱原発デモなどの現行犯逮捕と同様、社会運動全体に与える影響も大なのだ。
 しかし、あまりにずさんな不当逮捕・拘留ゆえに、起訴しても公判が維持できないという判断があったのではないだろうか。私たちのこれまでの運動と広範な支援が弾圧をはねかえした。労働運動や市民運動の仲間たち全体の力で早期の不起訴を勝ち取れたことを素直に喜びたい。
 権力の横暴にも「ハシズム」にも負けない!私たちはそんな気概でこれからも活動を続けていきたいと思う。とりあえずは一段落。みなさんの友情に感謝! ほんとうにありがとう。

京極紀子(学校事務職員労働組合神奈川=略称・がくろう神奈川)

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