たたかいの現場から

916号

◎川内原発再稼働阻止! ゲート前大行動に結集を!

  8月10日に川内原発1号機が再稼働されることが決まった。7月10日には核燃料の装填が完了し、地域住民をはじめ原発の再稼働に反対する多くの人々の間には、嫌が応にも緊張が高まっている。

 

 世界一安全だと言う、何の根拠もない新規性基準によって秘密裏に審査や検査が行われ、火山の爆発による影響や活断層の疑念、ずさんな避難計画など、誰もが抱く疑問や不安への説明責任を一切果たさない規制委や九州電力の不遜な態度には、怒りを禁じえない。


 しかし、私たちはすべての原発を廃炉に追い込むまでは絶対に諦めない。
 川内原発の再稼働を認めたのは、川内市長と鹿児島県知事だけであり、大多数の県民は同意していない。大飯判決で示されたように、企業の利益より人間の生存権が優先されるのは当たり前のことで、正義はわれわれの側にある。

 私たち3・11実行委は、川内原発の再稼働を止めさせるために以下の行動を決定し、全国の仲間たちに活動への参加と、活動資金カンパを呼びかけている。


向原 祥隆(ストップ再稼働!3・11鹿児島集会実行委員会・事務局長向原祥隆)

 

【起動日前集会】
 8月9日(日)13時〜17時 久見崎海岸(原発そば)

【起動日集会】
 8月10日(月)7時〜 川内原発ゲート前
*起動日延期の場合は、8/10(月)の起動日集会は延期。8/9(日)の起動日前集会は実施します。
*原発に隣接する久見崎海岸にテントを持参の上、自由にお泊まりください。
*8/8(土)12時〜8/9(日)12時 川内ウェル亀ロックフェスinぐみざきビーチを開催。


■川内ゲート前基金(目標1千万円)振込先
(郵便振替口座)
 川内原発再稼働をさせない基金
 口座記号番号:01740−7−128775
(ゆうちょ銀行)
 川内原発再稼働をさせない基金
 口座番号:(普通)32031161

 

 

◎緊急作業の被ばく上限引き上げ 省庁交渉で問題点が浮き彫りに

 7月7日、原子力資料情報室など6団体による、原子力規制庁・厚生労働省・経済産業省との交渉が行われた。

 

 今年1月に発生した福島第一原発および第二原発での死亡労災事故に関連し、東電の死傷病者報告と労災保険請求のデータを突き合わせることを求めた私たちに対し、厚労省は突き合わせ作業の有無も答えず、従来明らかにしてきた労災発生状況も「公表したことはない」とシラを切った(後者については後に謝罪)。

 

 過酷事故などの対応作業に入る緊急作業者の被曝上限値は電離放射線障害防止規則(電離則)で100mSvと定められているが、規制庁と厚労省はこれを超える特例緊急被ばく線量限度250mSvの導入を進めている。
 今回の交渉では、国が過酷事故を楽観視している上、「原子力防災要員」は労働法と矛盾し国際基準にも合わないことが明らかになった。
 追及に対し担当職員は黙り込んだ。
 要請書は全国安全センターのサイト(http://joshrc.info)参照。

 

なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)

 

◎安倍の雇用破壊許すな! パソナ本社前で抗議行動

 安倍政権の雇用破壊に反対する共同アクション」は、7月17日、大手人材派遣会社パソナ本社前で、産業競争力会議民間議員である同社の竹中平蔵会長に対する抗議行動を行なった。

 

 竹中会長は、人材ビジネスの経営者でありながら、産業競争力会議で「労働移動支援助成金」の予算を2億円から一気に300億円に増額させるなど、労働に関連した"我田引水"を行っているとされている。


 この日のアクションは、「正社員をなくせ」「賃金を低くしろ」などと声高に発言している竹中会長に怒りをぶつけた。

 集会は、DNPファインニ重偽装請負・解雇争議の橋場恒幸さん(全印総連)をはじめ、間接雇用に苦しむ労働者の発言が続いた。
 橋場さんは、派遣法改悪は、貧困層の若者を作り出し、戦争法案とセットで経済的徴兵を作り出す、と訴えた。
 民放労連の安部昌男さんは、派遣の専門業務が拡大され、放送業務に携わる派遣労働者が増えたが、こんど専門業務の枠がなくなると、さらに低労働条件で働く人が増えると表明した。
 いすゞで派遣と期間社員を交互にさせられた挙句切られ、裁判中の五戸(ごのへ)豊弘さん(JMIU)は、竹中会長は人材ビジネスの私利私欲で、労働市場を滅茶苦茶にしていると抗議した。

 

 こうした派遣労働者の声に、ひとりの勇気あるパソナ社員が、社内から「がんばって」とエール。水戸黄門に扮した参加者が、「労働者を食い物にするな」とパソナに印籠を見せると拍手が沸いた。

中島 由美子(全国一般東京南部)

 

◎違法派遣でも地位確認は棄却 日産事件でも続く不当判決

 日産自動車本社で派遣で働き雇い止めにされた女性Uさんが、専門業務を偽装して働かされたと地位確認や損害賠償を求めた裁判の判決が7月15日、東京地裁であった。
 判決は専門業務偽装など数々の違法行為があったことは認めながらも、請求をすべて棄却した。

 派遣労働者の雇い止めを巡る多くの裁判と同様、ここでも違法行為を認めながら、労働者の救済はしないという酷薄な結果となった。


 Uさんは派遣会社のアデコに登録し、03年10月1日から日産本社で専門26業務の事務用機器操作で働き始めた。だが、実際には専門業務の割合は低く、タクシー券の使用申請手続きや社員に貸与される携帯電話の管理、コピー取り、弁当の発注など庶務的な仕事をこなした。
 一般事務の派遣は1年ないし3年を超える派遣は違法となるのだが、専門業務を偽装したためUさんは5年8カ月、派遣として働いた。
 この間、Uさんは働いていた部署で正社員を募集していることを知り、正社員雇用を要請したが拒否された。また、09年4月には東京労働局に専門業務の偽装で申告。東京労働局は調査の上、違法行為を認め、直接雇用を含め、Uさんの雇用の安定を図るようにとの指導を行った。


 しかし、日産はその指導を無視。東京労働局は「本人と直接話せ」とも指導しているが接触もせず、Uさんが加入する首都圏青年ユニオンとの団体交渉も拒否し続けた。そして、同年5月末には雇い止めにされてしまった。
 東京労働局はUさんに「指導はあくまで指導であり、(日産に)強制はできない」と言われ、裁判に最後の願いを託した。しかし、法違反、国の指導にも従わない、繰り替えされる不条理を、司法も救わなかった。


 判決後、Uさんは「本当に自分は弱い立場にいるんだなと改めて実感した。悔しい。けれど、自分は自分の権利のために闘った」と涙をこらえ胸を張った。
 不条理な判決の根底には「派遣法が保護する利益は労働者の利益ではない。派遣市場の利益である」との判断がある。
 派遣法はどこまでも労働者を使い捨てるのだ。

 

東海林 智(team rodojoho)

 

◎労働法制、戦争法反対でスト権 全印総連東京地連など

 7月18日、全印総連東京地連は、定期大会で「労働法制改悪反対」「戦争法阻止」のための産別ストライキ権を確立した。すでに、北海道地連はスト権を確立。今後、京都、大阪が定期大会で議論する。

 

 東京地連は、春の臨時大会で「集団的自衛権行使容認反対」「労働法制改悪反対」でスト権を確立しているが、定期大会で改めて確立した。執行委員会、中央委員会、単組代表者会議、職場討議を経て、確立に至った。

 議論では、政治ストは組合員の理解を得られない、違法ストではないのか、経営との関係はどうなるのか、小さな産別が確立しても効果があるのか、等々、様々な意見があったが、今回ほど真剣に議論したことはなかった。


 安倍政権が進める雇用破壊と戦争法案に対して、何としても食い止めるには労働組合は何をすべきか、何ができるのかを議論し、定期大会でのスト権確立提案になった。

 私たちのほか、全日本金属情報機器労働組合(JMIU)、出版労連も戦争法案に反対するスト権を立て、医労連もスト権を提案するという。
 今後、加盟組合で批准投票、政権与党へのスト権確立の通知、経営への理解と要請の通告などを行い、集会や国会前行動、デモなどにストライキで参加し、何としても、「アベ政治を許さない」闘いをしていく決意だ。

 

是村 高市(全印総連中央執行委員長)

 

 

日日刻刻  社会保障に狙い(6.29〜7.8)

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