たたかいの現場から

921号

◎差別解消法等施行にむけシンポ  障がい者自らが発言――沖縄

 障害者差別解消法、改正雇用促進法の施行を半年後に控え、シンポジウム「障がいと働き方―『障害者差別解消法』施行に向けて」(主催・沖縄大学地域研究所、沖縄労働問題ネットワーク)が那覇市の沖縄大学で9月7日開催され、一般聴講で約100名が耳を傾けた。


 これらの法律のキーコンセプトは、「合理的配慮」にある。「合理的配慮」とは、障がいや社会的障壁による困難を環境調整や直接支援により取り除き、誰もが対等に社会参加できるようにすることである。
 障がい者雇用の分野で考えれば、これまでの雇用機会の拡充から一人ひとりの働き方に着目するものである。いわば、量から質への転換といえよう。


 シンポジウムでは、障がい者雇用に取り組んでいる会社代表の砂川惠治さんが報告した。スケジュールの明確化や丁寧なコミュニケーションなど、障がい者の働きやすい職場環境をつくることで、従業員全体が働きやすい会社へ変化したという。
 実際に従業員も発言し、学校時代は障がいゆえにからかわれることもあったが、今は自信を持って働いていると語った。その生き生きとした姿に涙をぬぐう聴講者もいた。


 また、聴覚障がい者であり、聴覚障がい児の学びの場「ゆいまーる寺子屋」を運営している桑江彩子さんは、雇われる働き方だけでなく自ら仕事をつくることを提唱。障がい当事者のニーズを大切にした働き方を提案した。
 同じく聴覚障がい者で沖縄大学障がい学生支援コーディネーターの平良悟子さんは、障がい学生の就職活動の特殊性を指摘し、就業後も周囲に困りごとを伝えられるようになるまで1年かかったと話した。

 そして、東京で社労士事務所を構える三平和男さんは、障がい者雇用において、外部機関との連携で問題解決や雇用の定着につながる、と関係機関の可能性に言及した。


 改めて考えると、このシンポジウムの意義は当事者が発言したことにあったと思う。これまで、障がい者雇用を企業や専門家の視点から語られることは多々あった。しかし、働く障がい者が何を思い、どんな仕事をしたいのかは顧みられておらず、当事者からの発言もほとんどなかったのではないだろうか。
 桑江さんの「安易に障がいのある人と障がいのない人を『同じ』で済ませず、その文化の『違い』に注目してください」という指摘は、合理的配慮を考える際に非常に重要である。

 障がいを含め様々な背景のある人が共に働くことは、せめぎ合いの連続である。しかし、そのせめぎ合いの中に、新たな働き方や新しい価値の種がある。当事者に寄り添うコーディネーター役や相談窓口など、組織的な整備も必要となろう。

 数日後、沖縄大学の私の職場に社労士の方が「私もお手伝いしたくなりました」、保護者の方も「息子の就職について目が開ける思いでした」と訪ねて下さった。
 あらゆる人が「共に働くこと」を大切にしたい、としみじみと考えさせられるシンポジウムであった。

横山 正見(沖縄大学障がい学生支援コーディネーター/首都大学東京特任研究員)

 

◎戦争法案などに反対、全印総連 京都地連が産別ストライキ行動

 「日本人はいつ抵抗するんだ」―。そんな言葉が海外の知人からよく寄せられるが、8月30日、国会周辺に結集した人々の姿に、戦後70年間ずっと抵抗してきた形が見えた。

 

 9月9日全印総連京都地連では「労働法制改悪阻止・戦争法廃案」の産別ストライキ行動を決行しました。この行動はストライキ権を確立した京都機関紙労組、個人加盟支部(ユニオン京)、繊研労組、大光印刷労組が、スト権を地連執行部に移譲したのを受けて、京都地連の産別行動として実施されました。
 ストライキに先立つスト通告は5社に対して行い、「印刷産業の礎は平和、平和を守るストに理解を」と訴え、経営からも「理解できる」「意義深い」とエールを送られました。


 当日は早朝のJR向日町駅・きかんし印刷社前宣伝に続き、12時30分からきかんし印刷でストライキ決行集会を開催しました。
 ここに指名ストライキの個人加盟分会員や年休闘争の組合員が合流して、13時から近隣の国道でR171アクションを時間内食い込みストで実施。さらに15時から京都府庁正門前で釜座アクションを行い、夕方市役所広場で開催された集会からデモと終日のスト行動となりました。


 集会は、京都では初めて1000人委員会との共同開催となり、市民団体・連合組合も多数参加。労働組合を代表して筆者が連帯あいさつを行い、「今こそ労働組合はストライキ権の傘を広げよう」と訴えました。延べ20名以上がこのスト行動に参加しました。

 

井上 俊幸(全印総連京都地連副委員長)

 

 

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