たたかいの現場から
874号

31年に及ぶネッスル争議が解決
  日本で初の「多国籍企業行動指針」活用

 31年に及ぶネッスル争議が解決した。地区労オルグ時代は支援対策会議の一員であったし、労働委員としては都労委の支部団交拒否事件の救済命令に参与した立場から、組合員と関係者の皆さまに深い敬意を表する。世界中に労働組合つぶしの悪名を轟かせたネスレ資本が、ついに労働者の闘いに屈した意義は実に大きい。


 かつて食品労連(現・フード連合)傘下のネッスル日本労組は、企業にはっきりとモノを言う原則的な組合だった。会社はそれを嫌い、執行部の乗っ取りを強引にはかり、1982年、事実上分裂した。同労組は少数派に至るも、全国の工場や営業所に400名近くが残り、企業暴力と対決した。だが、工場閉鎖を含む徹底的な組織弾圧で、解決時の組合員は6人であった。


 職場では厳しい闘いを強いられたが、裁判所、労働委員会などでは100件に及ぶ判決や命令を勝ち取っており、その中には最高裁まで争われ、判例法理となった事件もある。またスイス本社への要請を含め、ありとあらゆる抗議行動を展開したが、労働委員会命令に対して司法の緊急命令が下されても、命令に従わずに科料(罰金)を払い続けるほど、会社は解決に一切応じなかった。
 しかし05年に労組側が、経済協力開発機構(OECD)の多国籍企業行動指針に違反すると申し立て、国際的な支援もあり、本年10月1日、ついに和解合意に至った。
 「ネスレ日本は過去の判決等を真摯に受け止め、順守することを表明する」とし、「人権侵害、いじめなどの疑いが持たれる可能性のある行為がないように努める」などとした合意書が交わされた。


 日本でこの「指針」が活用された例は初めてと言われる。多国籍企業に対して、人権、雇用、環境など幅広い分野で、責任ある企業行動に関する原則と基準を定めたものであり、解決にあたっての声明では「今、世界の経済活動が多国籍企業に席巻され、日本企業も多国籍企業化しているときに、少数派労働組合であっても会社と対等な関係を築くことの正当性を勝ち取ったことは、大きな成果」であり「グローバル化が進んでいる情勢下で、この指針が多国籍企業との紛争防止と争議解決の手段として有効であることの先例」となったとしている。メディアはほとんど取り上げないが、画期的な成果と言える。

 

水谷 研次(東京都労働委員あっせん員・team rodojoho)

 

落語もコラボ!フリーランス文化祭2013
  11月4日 今年も音楽・映像、盛りだくさん

 本年も、フリーランスで働く人たちのユニオン・団体による「フリーランス文化祭」を開催する。
 今年は「落語●音楽♪映像★ 間近で欲張り体験」と題し、さまざまなジャンルのプロフェッショナルが技を披露し、語り合う。
 目玉は『tango de 落語』で、タンゴバンドと落語の不思議なコラボレーションに挑戦する。
 その他、「東京マンガのみんなで歌おう懐かしのメロディ」「FLYJAMライブパフォーマンス(三味線・歌)」「きみもニュースキャスター(バーチャルスタジオお仕事体験)」「+JAPAN幻灯 CINEMA 赤い蝋燭と人魚(上映・朗読)」「シンポジウム Imagine 2020 for Freelance(ディスカッション)」「フリーランスギャラリー&マーケット」など。
 フリーランスのための仕事・労働相談も行う。

 11月4日(休) 13時〜20時/
 芸能花伝舎・体育館(地下鉄都庁前駅・西新宿駅5分)
 入場チケット千円/
 問い合わせ tel:03-5909-3457(日本音楽家ユニオン)/
 当日連絡 tel:090-9329-6080(インディユニオン)

 

(編集部)  

「福島を忘れるな!再稼働を許すな!」と
  10.13 No Nukes Day 4万人集会

 10月13日、「福島を忘れるな!再稼働を許すな!」を共通のスローガンにして「原発ゼロ☆統一行動」が行われた。首都圏反原発連合が主催し、さようなら原発1千万人アクション、原発をなくす全国連絡会が共催した「No Nukes Day」行動である。

 

 午後1時から日比谷公会堂で開かれた集会には定員いっぱいの2千人が公会堂を埋め尽くし、多くの人が入り切れず、外の宣伝カーのスピーカーから発言を聞くことになった。さらに公園内には、真夏を思わせる暑さの中で1万人以上の人々がデモ参加のために集まっていた。
 主催者を代表して反原連の操レッドウルフさんは、反原発の意思を大きな運動として可視化させ、安倍政権に突き付ける必要性を強調。原発をなくす全国連絡会の代表は、すべての原発立地で「差し止め訴訟」が始まったことを紹介した。
 福島から、塙(はなわ)町の和田央子さんが鮫川村に建設された放射能汚染廃棄物焼却場の運転に反対する住民の闘いを紹介。広島への原爆投下直後から、米占領軍による妨害の中で被爆者の治療に携わってきた肥田舜太郎さんは、「原発を作った私たち世代は、原発をなくして子どもたちに放射能汚染されない地球を引き継ぐことが義務だ」と訴えた。 大江健三郎さんは安倍政権の下で進む再稼働の流れを押し返そうと呼びかけた。鎌田慧さんが、現在840万筆を集約している1千万人署名の達成など行動提起を行った。
 どの発言者からも「放射能はコントロールされている」という安倍首相のIOC総会でのウソへの怒りが表明された。


 日比谷公園からのデモは霞ヶ関を一周し、東電前も通るコース。しかし例によってバラバラに分断され、デモ出発まで3時間近く待たされるグループもいたほど。

 午後5時からの国会前集会では全国の原発立地の住民らが、再稼働反対への強い意思を語り、参加者の共感を得た。

 この日の集会参加者はのべで4万人に達したことが発表された。


国富 建治(運営委員)

 

日日刻刻  景況感の悪化 (9.25〜10.7)


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