たたかいの現場から

932号

◎耳目集めたサンバ隊先頭のデモ  共生めざし「外国人労働者の春闘」

 3月6日、東京・上野水上音楽堂で、「マーチ・イン・マーチ・移住労働者のコンサート集会&デモ」が開催された。主催は、労働組合や市民団体でつくる「マーチ・イン・マーチ実行委員会」。


 日本で働く外国人労働者が初めて、その労働条件の向上と権利獲得を訴えて闘ったのは、1994年3月。以来、マーチ・イン・マーチは20年以上にわたり、毎年3月に取り組まれる、いわば外国人労働者の春闘である。
 日本で働き暮らす外国人労働者は、現在217万人を超えるが、政府の「国際化」、「グローバル化」との言葉とは裏腹に、日本では外国籍の労働者の権利が守られているとは言い難い。それでも日本は外国人労働者に頼らざるを得ないのが現状だ。
 4〜5万人ともいわれる東京五輪や震災復興をにらんだ建設・造船などの労働者不足には、技能実習制度の見直しで対応する。この春からは、国家戦略特区を使った外国人家事労働者の受け入れや、経済産業大臣の認定事業所による「製造業外国従業員受入事業」が始まっている。


 マーチ・イン・マーチが、今後、移住労働者の生活と権利を日本社会に訴える「外国人労働者の春闘」として、より重要な闘いとなるのは必定だ。
 コンサート集会は「多国籍・多文化共生社会をつくろう」を合言葉に、JAL争議団や朝鮮高校無償化問題などのアピールを交えながら、歌や舞踊が国際色豊かに演じられた。

 

 春先の心配した雨も、デモ行進のときにちょっと道路を濡らす程度ですみ、恒例のサンバ隊を先頭にしたデモは沿道の人々の耳目を集めた。
 とくに上野、御徒町周辺は飲食店で働く外国籍の労働者も多く、軽快なドラムの音にひかれて店から表に出てきた従業員は、母語で書かれたプラカードをスマートフォンなどで写真に収めていた。

 参加した労働者の出身国は十数カ国、それぞれの言葉で、シュプレヒコールをしながら行進して行った。

 

中島 由美子(全国一般東京南部書記長)

 

フクシマ連帯キャラバン出発式  怒りをこめ「切り捨て」許すな

 3月12日、福島県郡山市の開成山陸上競技場で開かれた「原発のない福島を!県民大集会」の後、フクシマ連帯キャラバンが結成された。今年で3回目となるキャラバンは、福島から茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川を通って東京に入り、3月26日の代々木公園での集会に合流する。


 出発式の発言で作家の鎌田慧さんが、「押出し」と呼ばれた田中正造と鉱毒農民の上京闘争にキャラバンをたとえた。 キャラバン隊は行政への申し入れ、各地での集会やデモ、フィールドワークなどをしながら、東京に入ってからは経団連や東京電力などへの抗議行動や省庁交渉を展開する予定だ。


 政府は東京オリンピックにむけて「復興」「帰還」キャンペーンを進め、福島を「終わったこと」「解決したこと」にしようとしている。もちろん、現実は政府や東電がいう以上に深刻だ。地域住民の生活再建、健康被害のこと、新しい産業や雇用をどうつくるか。課題は山積している。「福島切り捨て」はゆるされない。
 福島の人たちの怒りや願いと共に、キャラバンは東京をめざしている。

 

渡辺 学(全国一般東京南部)

 

◎高校生がコンビニと労働協約を締結  1分単位での給料支払いかちとる

 埼玉県内の男子高校生(Aさん)が、労働組合・ブラックバイトユニオンを通じて、県内で「サンクス」を5店舗運営する(株)Y&Nと労働協約を締結した。
 きっかけは、昨秋にユニオンがAさんの通う高校で労働法教育の出前授業を行ったことにある。授業の後、Aさんから、給料が15分単位で切り捨てられていること、レジの違算金を自己補填させられるとの相談があった。


 そこで、(株)Y&Nに団体交渉を申し入れ、交渉にはAさんと彼の高校の先生も参加した。ユニオンは、団体行動権を背景に有利に交渉を進め、3回の団交を通じて、以下の4点の改善を労働協約の形で実現した。
(1)今後は給料を1分単位で支払うこと

(2)今後はレジの違算金を自己補填させないこと

(3)過去2年分の未払い賃金(全従業員70人分:約500万円)を全額支払うこと

(4)過去のレジの違算金を全額返還すること。


 また、ユニオンは、団交の中で、給料が15分単位で切り捨てられていた原因が、フランチャイザーである(株)サンクスの提供する勤務管理システムにあることを突き止めた。そのシステムは、「15分・10分・5分」の単位で給料を切り捨てられるよう予め設定されていたのだ。
 そこで、(株)Y&Nとの労使紛争が解決してすぐに、ユニオンは(株)サンクスに対し、同社の加盟店(約6350店舗)で使用されている勤務管理システムにおいて、「15分・10分・5分」単位での給料切り捨て設定を廃止し、全ての加盟店で給料を1分単位で支払うことを求める公開要望書を提出した(現在は回答待ち)。


 このように、一人の高校生が勇気を出して声を上げたことで、彼が勤める会社店舗で大きな改善が得られ、さらには「サンクス」全体やコンビニ業界の労務管理にまで波紋を広げつつある。

 

青木 耕太郎(ブラックバイトユニオン執行委員)

 

◎日日刻刻  生産性革命本部設置 (2.28〜3.15)

 

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