たたかいの現場から

934+5号

★最賃アップ世界同時アクション  潮流こえ人間らしい生活訴える

 最低賃金引き上げで生活底上げを実現するために、世界40カ国300都市で同時アクションがあった4月15日、東京・渋谷でも若い労働者らがセンター街を練り歩きアピールした。
 「あたり前の生活、人間らしい生活を時給1500円で実現させよう」と、ロナルド・マクドナルドの着ぐるみや、1万円札をデザインしたチラシなどを配布しながらの呼びかけに、通行人や外国からの観光客が呼応する場面もあった。


 このキャンペーンは、最低賃金の大幅増額だけでなく、職場での違法な労務管理を訴えて、働く環境を改善するために労働組合への加入を促すことも目的とする。
 首都圏青年ユニオンの神部紅委員長は、若者と女性の二人にひとりは不安定な仕事を選択せざるをえない現状に触れ、残業代未払いや1分単位の賃金計算がされていない企業の不正によって、時給907円の東京でさえ労働者が搾取されている構図を語った。
 「こうした違法行為を是正し、あたり前を実現していこう」と労働組合への加入を呼びかけた。


 北海道のさっぽろ青年ユニオンから参加した病院勤務の女性(25)は、正社員だが、時給換算すると1500円には届かない給料で生活する苦しさを訴えた。
 「北海道の最低賃金は764円。マクドナルドのようなファストフードやコンビニでのおにぎりなどの値段は全国変わらないのに、地方の最低賃金が低いのはおかしい。年収300万円は私にとって夢のよう。これから結婚や子育てのことを考えると不安しかない」と渋谷の街頭で語った。
 このキャンペーンは、労働組合の潮流をこえて取り組まれ、世界アクションとも連動している。5月17日には、院内集会を開催予定。

 

松元 千枝(team rodojoho)

 

◎コンビニの低賃金や一人勤務  全国一般全国協が本部に改善要請

 コンビニに働く労働者の待遇改善は待ったなしの課題になっている。全国一般労組全国協議会は4月12日、コンビニ大手のセブンイレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマート3社にそれぞれ「求人募集賃金引き上げの要請」をおこなった。


 長野一般労組が昨年12月23日、ファミリーマート松本インター店で一人勤務(ワンオペ)の解消を求めて時限ストライキ(本誌928号既報)を行ったファミリーマート本部への申し入れでは、管理本部総務人事部と営業本部店舗運営業務部の3名が対応し、全国協と長野一般の申し入れ書を受け取った。
 ストライキ後の長野一般と運営会社との交渉では、スタッフの募集賃金が750円(長野県の最低賃金は746円)と安く人材が集まらないことや、仕事に慣れてきたスタッフが賃金の比較的高い同業他社に引き抜かれてしまうといった問題は「加盟店の裁量では解決できない」という認識で一致。労使共同して本部に改善を求めることで合意した。


 この日対応した総務人事部は、最低賃金を下回るなど法違反を除いて、「加盟店の裁量に任せている」と回答。改善に向けた前向きの回答はなかったが、一人勤務や24時間営業など、本部が責任を持って改善策を講ずるよう強く申し入れた。

 全国協では4月22日、エリア本部にも同様の申し入れ行動を行う予定だ。

 

荒井 宏行(長野一般労組執行委員長)

 

◎都立高生徒の自衛隊駐屯地「訓練」  市民ら追及、15年度は実施できず

 安倍政治の「軍拡」政治姿勢に伴い教育現場では児童生徒を自衛隊に接触させ、時には、軍事色の強い教育の例が頻発している。特に、東京都では「防災訓練」を名目にして自衛隊駐屯地で訓練させる例が現れた。

 2013年度は都立田無工業高校生が朝霞駐屯地へ、14年度では都立大島高校生が神奈川県にある武山駐屯地で訓練をさせられた。また、都立練馬工業高校では教科「奉仕」の授業の一環として練馬駐屯地に行かされた。その他さまざまな名目で、自衛隊との連携の教育が行われてきている。


 ところが、生徒・保護者には「防災訓練」としての文書を出していながら、防衛省には「隊内生活体験」の「申込文書」を出していたのである。そもそも、自衛隊には「防災訓練」のプログラムは存在しないことを、防衛省自身が明らかにしている。
 また、練馬工業高校の例では、「奉仕」の体験を受け入れた防衛省側では、「自衛隊に対する親近感を醸成する」ことを目的とする内部文書を出していて、「防災」は全くの虚偽表示なのである。

 そこで、都教委に、この点を質したが、「あくまでも防災訓練だ」の回答でしかなかった。


 この都民を馬鹿にしたような対応に対して、4月7日、再々度の都教委要請を実施した。小松久子都議会議員(生活者ネット)の参加での要請であった。
 再三にわたる指摘の結果、15年度の自衛隊駐屯地での訓練を阻止することに成功した。また、6年間続いてきた練馬工業高校の練馬駐屯地での「奉仕」も中断させた。

 

 頑迷な都教委と校長であったが、新聞報道もされ継続を断念したようだ。このような生徒・保護者へのだましによる自衛隊訓練の責任追及は今後も続ける。

 

永井 栄俊(都立高元教員)

 

 

◎日日刻刻  派遣労働者4.6%増 (3.31〜4.11)

 

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