たたかいの現場から

941+2号

◎経産省前に立つ脱原発の拠り所(テント) 最高裁決定受け記者会見

 国と経産省が経産省前脱原発テントの撤去と損害賠償を求めた裁判で、被告(テント側)の上告が最高裁で棄却された。テント運営委員らが8月2日、記者会見で発表した。
 棄却決定は想定範囲内。だが、経産省のテントがこれまで市民や労働者の意思によって維持されてきたことが確認された。


 テント共同代表で被告の淵上太郎さんは、昨年10月に東京高裁が控訴棄却を決定したと同時に、国や経産省は撤去を強制執行できたはずだが実行しなかったことを指摘。
 「見えない力が働いているのを忘れてはいけない。国や経産省に動揺があるということだ。やっぱりうしろめたいから。だから余計がんばりたい」と語った。

 テントを自ら撤去することはないと断言する。ただ、テントの運営にかかわるメンバーの年齢と体力と資金源等を考慮すると、「無理をしてまで撤去に抗議することはできないため、頭を使ってとにかく粛々とテントを守り、全国の仲間に脱原発の闘いの継続を呼びかける」


 テントが立った直後に十月十日(とつきとおか)の座り込みをした「原発いらない福島の女たち」メンバーの黒田節子さんは、「ここにはわれわれの想像をはるかに超えた支援があり、あきらめないことを学んだ」と発言した。
 精神的シンボルとしてテントの意義は大きく、脱原発を闘う人たちが結集する場として存続したことで全国に運動が広がった。
 9月11日には、5周年祭りが予定されている。

 

松元 千枝(team rodojoho)

 

◎巨大開発に抗し世直しの旗  三里塚闘争50年の集い開催

 7月17日、三里塚芝山連合空港反対同盟(代表世話人・柳川秀夫)は、文京シビックセンターで「三里塚闘争50年の集い7.17東京集会」を行い、155人が参加した。


 1966年7月4日、政府は三里塚農民に事前に知らせず、三里塚の地に空港を建設することを閣議決定した。三里塚農民は空港反対同盟を結成し体を張った闘いを展開した。集会は、50年に及ぶ農民・人民の闘いの成果、教訓を確認し、現在の第三滑走路建設計画も含め、今後の方向性に向けて発言が行われた。


 柳川秀夫さん(代表世話人)は、「巨大開発で空港がどんどん大きくなっていく。政府がいくら謝ったとしても、この課題は解決できない。世直しというむしろ旗を掲げて闘ってきたが、それは本質的には革命だ。今後も世直しで頑張っていこう」と主催者あいさつ。
 石井紀子さん(成田市川上・農業)は、東峰十字路事件(71年9月16日)で地元の青年たちが不当逮捕され、裁判支援のために家族会を結成。家族会の手紙などを紹介しながら、「三里塚の中で、ものすごく華々しく燃えた若い女たちの闘い」を語った。


 平野靖識さん(東峰地区/三里塚らっきょう工場)は、三里塚闘争の成果として「有機農法、農的価値を掲げた地球的課題の実験村」を取り上げながら、「第3滑走路計画が問題となっているが、農業基盤が弱くなり、農業後継者がいないなかで反対運動の困難性がある」と指摘した。
 加瀬勉さん(大地共有委員会[U]代表)は、総括として、1.農民の主体性の確立と民主主義 2.社会党、共産党、中核派などの「政党公害」の総括 3.社会変革と結びついた三里塚闘争の発展などを強調した。
 後半は、清井礼司弁護士、鎌田慧さん(ルポライター)、高見圭司さん(スペース21)、関西・三里塚闘争に連帯する会などから連帯あいさつが行われた。

 

山下 一夫(三里塚空港に反対する連絡会)

 

◎「非正規切りで郵政職場が混乱」  65歳雇い止め裁判で証言

 日本郵便が1万人を越え65歳以上の期間雇用社員の雇い止めを強行した結果、人手不足に拍車がかかって現場に混乱が生じている。元期間雇用社員9人が雇い止め撤回を求めて提訴した裁判で、郵政ユニオン関東地本の椿茂雄・元副委員長が実情を詳しく証言した。


 15年7月の一審判決は、会社が一方的に定めた就業規則を理由に「雇い止めは有効」としたが、原告側が控訴。東京高裁(水野邦夫裁判長)は慎重な審理を重ね、8月3日、椿さんの証人尋問が行われた。
 椿さんは、60代、70代の非正規多数が郵政職場を支えてきたとし、雇い止めが招いた要員不足が埋まらない実情を証言。雇い止め後の12年には、関東支社だけで労働基準監督署から12件も是正勧告を受け、千葉県内では「配達しきれない郵便物が破棄されたこともある」と述べた。
 人手不足で業務が回らなくなった結果、「65歳で雇い止めした人を6カ月雇用し、1〜3日開けてまた雇用する」「継続雇用が認められなかった正社員退職者を期間雇用で雇い、65歳をすぎて契約を更新した」など、会社自ら「65歳定年」を守っていないケースが多数あることも具体的に明かした。


 ほとんどの期間雇用社員は雇い止めを黙って受け入れたのでは、という趣旨の会社側弁護士の反対尋問に椿さんは、「苦情はいっぱいあった。みんな反対していた」ときっぱり。郵便物破棄は罰則もある違法行為だが、会社側は反対尋問で一切ふれなかった。
 控訴審では、裁判所の勧めで和解協議が行われ、会社はいったんは「金は出せないが雇用なら」としたが、「上層部の反対」を理由に反故にしたため和解は決裂。水野裁判長は、自身の退官予定日直前の10月5日に判決言い渡し期日を指定し結審した。

 

北 健一(team rodojoho)

 

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