たたかいの現場から

945号

◎希望としてのユニオン・明日へ  各地のユニオンが広島で交流

 第28回コミュニティ・ユニオン全国交流集会が、10月1日、2日、広島市で開催された。70団体320人が参加。

 スクラムユニオン・ひろしまをはじめ中四国ネットでつくる現地集会実行委員会のご尽力で、今年も1年間の活動、闘いの経験を持ち寄っての楽しく力強い多彩な交流・連帯の場となった。


 今集会では、韓国の「ともに生きる希望連帯労組」の代表ふたりを招き、ケーブル放送の非正規雇用労働者の組織化、100名を越える解雇撤回闘争の報告と、同労組が活動の柱に据える「生産と再生産空間を併せる」「労働と地域の出会い」の実践としての生活文化連帯事業、社会公共性闘争の報告を受けた。熾烈な闘争とともに地域での運動の刺激的な報告だった。


 続くメイン企画として、広島電鉄・私鉄中国広電支部の佐古正明執行委員長が「労働組合は、非正規社員の正社員化をどう成し遂げたのか」を講演した。

 会社との交渉、組合内での議論、全社員の正社員化を実現した闘いの経過と、格差問題は非正規雇用労働者だけの問題ではなく労働者全体の問題であること、労働組合の総体的な力量が問われていることなど、将来を見据えた貴重な経験からの提起を共有化できた。


 闘争報告や緊急の支援要請あり、夜は恒例の交流レセプション、12の分科会討論と時間がたりない盛りだくさんの交流に、福島みずほ議員も駆けつけた。
 労基法改悪・解雇自由化の阻止、最賃引き上げアクションの展開、労働組合への権利侵害を許さない強固な連帯づくりなどの方針を確認。

 来年10月、福岡市で開催される第29回集会での再会を誓いあった。

岡本 哲文(コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク事務局長)

 

◎憲法24条は変えさせない! 新キャンペーンがキックオフ

 今年の7月、参議院選挙により自民党・公明党の改憲勢力が3分の2以上を占める状況となり、自民党は休眠状態の憲法審査会をとにかく再開させたいようだ。同党は改憲のポイントを9条だけではなく、家族と婚姻の基本原則である24条も照準にしている。

 24条は「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」「2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」としているが、自民党はこの「個人の尊厳」を「家族の尊重」に180度転換しようとしている。


 その「改正」に対し、ジェンダー役割を固定化するイエ制度の復活である等の危機意識を持つ有志が「24条変えさせないキャンペーン」実行委員会を立ち上げ、9月2日に上智大学でキックオフシンポジウムを開催した(共催:WAN〈ウィメンズアクションネットワーク〉)。
 基調講演で木村草太さん(首都大学東京)が24条の制定過程と現状を報告。ついで北原みのりさん(作家)との対談で互いに24条の重要性を述べ合った。その後、長年各分野でジェンダーの視点等で活動してきた、このキャンペーンの呼びかけ人、賛同人が発言をした。


 発言者は以下の通りである。

 能川元一さん(大学非常勤講師)、清末愛砂さん(室蘭工業大学)、赤石千衣子さん(しんぐるまざぁーず・ふぉーらむ理事長)、打越さく良さん(弁護士)、大橋由香子さん(SOSHIREN女〈わたし〉のからだから)、戒能民江さん(お茶ノ水女子大学名誉教授)、桜井大子さん(女性と天皇制研究会)、藤田裕喜さん(レインボー・アクション代表理 事)、三浦まりさん(上智大学)。

 多彩な分野からの発言ながら、共通するのは24条がある中でも差別がある状況において、改憲されることへの大いなる危機感だ。
 10月3日現在で団体賛同は15団体、個人賛同は686名だが、同会では今後も賛同を募り、キャンペーンの輪を広げるつもりだ。

 ★同キャンペーン・ブログ https://article24campaign.wordpress.com/

 

渡辺 照子(キャンペーン実行委)

 

◎最高裁で不当労働行為が確定 JALは争議解決の決断を

 9月23日最高裁は、昨年6月18日に出された東京高裁の判決を支持し、日本航空に対して上告棄却、上告不受理の決定を下した。
 この決定により、日本航空の更生管財人であった企業再生支援機構のディレクターらが乗員組合ならびにキャビンクルーユニオン(CCU)の両組合に対して行った発言が、労働組合の運営に対する支配介入の不当労働行為(労働組合法第7条3項違反)に該当するという高裁判決が確定し、会社の敗訴が決定した。


 高裁判決は、憲法28条にも触れ、争議権投票は組合の在り方そのものを問う極めて重要な活動であり、管財人の行った労働組合への介入行為は違法であると断罪している。
 乗員組合とCCUの両組合と乗員・客乗争議団はそれぞれ声明を出し、JALに解決交渉を行うよう求めた。

 

 JALはパイロットや客室乗務員たちの乗務時間の延長を提案し、人員不足を糊塗しようとしているが、職場はどこでも人員不足で疲弊し、サービス上や安全上でさまざまなトラブルが生じている。 

 JALは羽田などに「今後このような行為を繰り返さないよう留意します」とのポストノーティスを貼りだしたそうだが、この決定を真摯に受け止め解決の決断をする時だ。


 JAL争議の支援共闘と争議団は11月4日(金)にパレードとJAL本社前大行動を企画している。争議解決は、支援者であり利用者でもある私たちの意思であることを示していこう!

柚木 康子(JAL闘争を支える会事務局長)


◎日日刻刻  (9.07〜9.23

9月7日(水)

■東京商工リサーチの調査によると、2016年1〜8月の「老人福祉・介護事業」の倒産件数は62件(前年同期55件)。最多原因は「販売不振」。


13日(火)

■人事院の昨年度における一般職国家公務員の「仕事と家庭の両立支援関係制度利用状況調査」によると、育児休業取得率は、女性100.0%。男性9.5%(前年度比4.0ポイント増)。

■厚生労働省の「労働経済動向調査」結果によると、2016年8月1日現在、「調査産業計」で正社員等労働者は21期連続、パートタイム労働者は28期連続不足超過。


14日(水)

■経済産業省の2016年7月の「鉱工業(生産・出荷・在庫)指数」(確報値)によると、生産指数は96.5で前月比0.4%の低下。


16日(金)

■連合の「中小企業における取引関係に関する調査(最終報告)」によると、取引において直面する問題では、「仕入れ単価上昇によるコストアップ」をほぼ5割(49.7%)の企業があげているほか、「単価の下落や引き下げ要請」(37.4%)、「取引先からの受注減少や取引打ち切り」(35.9%)が上位を占めている。


18日(日)

■「敬老の日」を前に、総務省が、2016年9月15日現在で、高齢者人口は3,461万人、総人口に占める割合は27.3%、ともに過去最高と発表。また高齢者の就業者数は730万人(過去最多)。


20日(火)

■厚生労働省「平成27年版 働く女性の実情」は、男女雇用機会均等法成立後30年で、M字型カーブの底「30〜34歳」の労働力率は20.6ポイント上昇としている。

■総務省の人口推計(2016年4月確定値)では、4月1日現在の総人口は1億2,699万1,000人で、前年同月比13万6,000人(0.11%)減。日本人人口は1億2,520万7,000人。


23日(金)

■厚生労働省の「介護給付費等実態調査月報」(2016年7月審査分)によると、受給者総数は、介護予防サービス110万8,400人、介護サービス409万8,200人。受給者1人当たり費用額は、介護予防サービス3万6,100円、介護サービス18万6,700円。

 

 

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