たたかいの現場から

947号

◎南スーダンに自衛隊を送るな  青森集会 氷雨の下、いのち守る熱気

 冷たい雨が、顔をぬらす。気温は10度以下だろうか。しかし、青森駅前の広場は、まるで蒸気が上がるような熱気に包まれた。


 南スーダンのPKOへ、新たに青森第9師団第5普通科連隊を主力にした部隊が派遣されることになった。戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会と戦争法廃止を求める青森県民ネットワークは、「南スーダンに自衛隊を送るな!いのちを守れ!10.30青森集会」を開催した。

 総がかり行動実行委員会の高田健さんは、南スーダンの実態は内戦状態にある。政府のごまかしを許してはならないと強く訴えた。


 270人ともいわれる死傷者を出した7月7日からの政府軍と反政府軍との戦闘について政府は、戦闘ではなく「人を殺し、ものを略奪する行為」だとした。

 戦車や機関銃を持った強盗殺人事件などあるのか。白を黒とごまかしてまで、駆けつけ警護と集団防衛という新任務を付与し、自衛隊を南スーダンへ送りたいのだ。
 そう主張しつつ、稲田朋美防衛相は、「7月のような事態は、わが国の部隊が駆けつけ警護できるような状況ではない」と述べている。

 戦闘行為ではないが駆けつけ警護できる状況にはないという、明らかな矛盾。混乱の中で新任務を付与されても、現場自衛官は戸惑うばかりではないか。


 集会では、民進、共産、社民の各党の代表も顔をそろえ、先の参議院選挙で野党統一候補として勝利した田名部匡代さんも発言しその存在感を示した。
 現役自衛官の母親も参加し、母と子の葛藤の中でも子を思う母の真情を吐露し、ママの会@青森からも「いのち」の尊さを訴える発言があった。

 田名部さんも含め、女性の「いのち」「平和」への圧倒的思いを感じた。

 

藤本 泰成(戦争をさせない1000人委員会)

 

◎「サンケン電気は解雇撤回を」 韓国子会社の労働者らが来日

 サンケン電気が100%出資する子会社、韓国サンケン電気の労働者たちが解雇撤回を求めて来日した。


 10月19日から、出勤時間に合わせて埼玉県新座市の本社門前で訴え、その後座り込み。最寄り駅でも情宣し、毎週水曜日には池袋にあるサンケンの海外営業部への要請行動などを行っている。


 韓国サンケンは外資企業として優遇を受けながら、主にLED照明器具などを生産、最盛期には約900人が働いていた。

 会社は経営悪化を理由に今年3月31日、生産部門を廃止し営業専門会社として再編するために、4回にわたり希望退職を強要。「緊迫した経営上の必要性」も「解雇回避の努力」もないまま9月30日、残った労働者(35名、全員組合員)を整理解雇した。


 この整理解雇は労働協約に違反するもので韓国の労働委員会は不当労働行為と認定。国会でも追及されているが、韓国サンケン電気は9月30日以降、団体交渉に応じていない。
 韓国ではらちが明かないため、労働者たちは来日した。組合の代表団は、「解雇が撤回されるまで韓国に帰ることができない」と言っている。

 

尾澤 邦子(韓国サンケン労組を支援する連絡会準備会)

 

◎ストップ!TPPも総がかりで 暮らしの安全求め大阪でパレード

 国会での強行採決が迫る中、2016年10月29日、大阪市で「ストップ!TPP緊急行動 御堂筋大パレード」が行われた。

 西区の靭(うつぼ)公園には、全日農や保険医協会、消費者団体連絡会、食と暮らしの安全を求める市民団体、労働組合など約300人が集まり、世間にはよく知らされていないTPPの問題点、一度批准すれば後戻りできないTPPの怖さを訴えた。
 野党4党(民進党、自由党、社民党、共産党)も、「総がかり行動」の流れを汲んで登壇、国会で批准させないことに全力を尽くすと表明した。


 集会ののち、トラクターを先頭に、急遽駆けつけた山本太郎参院議員ら参加者がむしろ旗を掲げてTPP批准反対を訴え、御堂筋をデモ行進した。
 「TPPで医療が壊れる」「TPPで雇用がなくなる」「食品表示もなくなる」「TPPはいりません」「民営化は時代遅れ」とテンポよくコールしながら、人があふれる道頓堀からなんばへと3キロのコースを元気よく歩いた。


 全労協の組合の中でも、TPPはあまり知られておらず、緊急行動であったため参加もまだまだ。
 グローバル企業の利益のために、農業分野のみならず日本社会の様々な領域を脅かすTPPへの関心を高め、気がついたらトンデモない社会になっていた、ということがないように、労働組合の課題に入れていく必要を感じた取り組みだった。

 

但馬 けいこ(大阪全労協)


◎日日刻刻  (10.17〜10.28

10月17日(月)

■厚生労働省の2016年1月から9月末までの労働災害発生状況では、死傷者数7万5,752人(前年同期比1,046人増)、死亡者数586人(同72人減)。

■日本産業カウンセラー協会の「働く人の電話相談室」(連合と協力)では、「職場の悩み」が全体の約35.2%、内訳は「人間関係」39.8%、「パワハラ」21.4%など。


18日(火)

■経団連の「主要政党の政策評価2016」で政党の政策を評価。自民党は「新たな成長機会の創出に向けた規制改革」で、「国家戦略特区における制度整備、規制改革会議において、岩盤規制をはじめ、困難な課題に取り組んでいる」とし、今後の課題としては、「目標を定めたロードマップ方式に基づく、生産性向上に資する規制緩和の早期実現、行政手続きの簡素化・IT化の一層の推進、国家戦略特区での取り組みの早期全国展開」などを挙げている。

■帝国データバンクの「最低賃金改定に関する企業の意識調査」によると、最低賃金改定を受け給与体系を「見直した(検討している)」企業は35.0%。


19日(水)

■第2回「働き方改革に関する総理と現場との意見交換会」で安倍首相は、日本は人口が減少していくわけで、伸びていく社会保障費に対応するために生産性をあげていかなければいけない、などと述べた。


24日(月)

■経団連の榊原定征会長は記者会見で、統計を担当する政府の要員がこの10年で大幅に減少し、予算も微減するなど統計作成のリソースが限られている。また、社会の大きな変化やニーズに統計が追随できていない、と述べた。


25日(火)

■厚生労働省の2013年3月卒業の新規学卒者の離職状況調査によると、卒業後3年以内の離職率は、大学 31.9%(前年比0.4ポイント減)、高校40.9%(同0.9ポイント増)、中学63.7%(同1.6ポイント減)。


28日(金)
■総務省の「労働力調査(基本集計)」(速報)によると、2016年9月の完全失業率は3.0%(前月比0.1ポイント低下)。男性は3.3%(同0.1ポイント低下)、女性は2.6%(同0.1ポイント低下)。
■総務省の2016年9月の全国消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合指数で99.6(前月と同水準、前年同月比0.5%下落)。

 

 

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