たたかいの現場から

949号

◎介護の切り捨てアカン! 利用者、家族、介護関係者大集合

 11月25日「介護の切り捨てアカン!本気の大集会」に、介護する家族、被保険者、介護職員・関係者・事業者・団体250名が一同に集まった!

 国は「介護職員の処遇改善」「介護離職ゼロ」のスローガンを掲げながら、その裏では、2015年から要支援者サービスの一部保険外し、2割負担一部導入を開始した。さらに2018年次期改定では、要介護2までを介護保険から切捨て、負担増を拡大、介護報酬引下げを検討している。

 2015年度の介護報酬が大幅引下げで、中小介護事業所は過去最大の勢いで倒産している。これ以上、報酬を引き下げたら、介護事業所はやってはいけない。


 今でも、ギリギリな介護現場はさらに人手不足が進むし、労働条件はさらに悪くなる。介護を利用する側は、介護サービスを受けられないことで、身体の重度化が進むかもしれない。そうなれば、介護する家族は仕事を辞めざるをえない。

 「このまま黙っていてはアカン!」という想いで「安心できる介護を!懇談会」「大阪社会保障推進協議会」、水野博達さん(大阪市大大学院特任准教授)が「介護・福祉総がかり行動」を呼びかけ、そこへ大手団体の「福祉用具国民会議」「認知症の人と家族の会」「ケア21」、介護業界の著名人、ジャーナリスト、国会議員、団体、介護事業所、関係者、労組、個人の賛同によって集会が行われた。

 

 集会では、田部井康夫さん(認知症の人と家族の会)、日下部雅喜さん(大阪社保協)、鈴木寿郎さん(福祉用具国民会議事務局)、水野博達さんからの発言。介護現場からは、介護職員、ケアマネ、障がい者サービス介助者、介護保険料に怒る一揆の会からの発言があった。
 命と隣合わせの介護現場で、いかに経験と瞬時の判断が求められているか。業務量に見合わない給料。介護保険料だけ払ってサービスは受けられない怒りが発言され、「介護・福祉総がかり行動」が正式に立ち上がった。
 今後の行動として、12月1日大阪市申し入れ、5日厚労省交渉を予定している。

 

志賀 直輝(安心できる介護を!懇談会代表)

 

◎君が代めぐり大阪で不当判決  自由取り戻そう 教員ら集会

 大阪では2012年制定の「国旗国歌条例」のもとで、現在までのべ60名を超える教職員が「君が代」不起立(職務命令違反)で戒告や減給処分を受け、うち14名が人事委・裁判提訴している。


 10月24日、奥野さんの減給処分取り消し訴訟の控訴審判決が、地裁に続く敗訴だった。判決では、「国歌の起立斉唱は、慣例上の儀礼的所作」だから、「国旗国歌条例」を含め憲法19条(思想良心の自由)や憲法20条(信教の自由)に違反しない。戒告より重い減給としたことも裁量権濫用には当たらないとした。

 

 東京でも2003年の都教委通達以来478名が処分されたが、12年の最高裁判決以降からほとんどが教員側の勝訴(うち10件で勝訴・一部勝訴が確定)。通達・職務命令は違憲とされていないものの、「累積加重」による減給・停職・再雇用拒否の違法性を、東京高裁や最高裁は認めている。それに比しても、現在の大阪の司法は反動性が際立つ。

 

 「取り戻そう!学校に思想・信条の自由を」11・18集会では、今後も、裁判闘争を粘り強く継続することを確認。

 また3月18日の大阪弁護士会勧告(府立A高校の14年の卒業式での「君が代」強制や処分は人権侵害という勧告)に応じない校長・府教委に対し、全府立校職場と生徒に勧告内容を知らせるビラを配布する等の運動を、市民・労働者とともに拡大する決意だ。

 

山田 光一(「日の丸・君が代」強制反対・大阪ネット事務局長)

 

◎過労死の電通など10社ノミネート  ブラック企業大賞の投票始まる

 2016年ブラック企業大賞のノミネート企業が12月2日に発表され、同時にウェブ投票が解禁された。投票期間は12月23日まで。

 

 ノミネートされたのは、24歳新人社員の過労自死事件で強制捜査の対象になった電通や、国内でもっとも多く非正規労働者を抱えパワーハラスメントを繰り返し、複数の過労死も報告された日本郵便など10社。今年は長時間労働を容認してきた企業が目立つ。

 大賞の実行委員でブラック企業対策弁護団の佐々木亮弁護士は、、最近の傾向として人手不足をあげた。より多くの労働者を集めるために、実態と異なる好条件で求人する”求人詐欺”や、「辞めさせてくれない」という相談も増えている。
 残念ながら、求人票に虚偽の労働条件があっても、入社前にその違法性を判別するのは無理だが、離職率や産休育休取得率などは企業のブラック度を測る指標となる、と佐々木さんは記者会見で説明した。

 

 ここ10年ほど、労働側は「当然」と思われていた不当な慣行を違法行為として掘り起こし、労働問題は「ブラック企業」「追い出し部屋」「マタハラ」など流行語にもなった。
 ノミネートされた格安印刷業のプリントパックで、不当労働行為と闘う全印総連ユニオン京・プリントパック京都分会長の中山悠平さんは、「これを機会に多くの人に(争議について)関心を持ってもらい、会社を社会的に包囲したい」と語った。

 過去にノミネートされたり賞を受賞した、たかの由梨、すき家、ワタミなどでは、労働環境の改善につながっている。

 

松元 千枝(ブラック企業大賞実行委)


◎日日刻刻  勤労者世帯実収入減 (11.17〜29)

11月17日(木)

■厚生労働省の2016年「賃金構造基本統計調査(初任給)」によると、大卒者の初任給は20万3,400円(前年比0.7%増)。

18日(金)

■厚生労働省と文部科学省による2016年度「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」
(2016年10月1日現在)によると、大卒予定者の就職内定率は71.2%(前年同期比4.7ポイント増)。

■厚生労働省の2016年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・内定状況」(2016年9月末現在)によると、高校新卒者の就職内定率は60.4%(前年同期比4.3ポイント増)。


21日(月)

■家計経済研究所の第23回「消費生活に関するパネル調査」によると、26〜35歳で親と同居する女性の10年間の意識の面の変化は、自分の生活程度について「中の中」は2005年の57.9%が2015年には50.3%に減少。「中の下」は、18.1%から25.5%に増加。


22日(火)

■厚生労働省の「21世紀成年者縦断調査(2012年成年者)」の第4回(2015年)及び「同(2002年成年者)」の第14回(2015年)結果によると仕事を「結婚した後も続ける」は44.6(10年前41.8%)。

■総務省の「個人企業経済調査(動向編)2016年7〜9月期結果(確報)」によると、個人企業の業況判断DIはマイナス63.4(前期〈4〜6月期〉比1.5ポイント悪化)。


25日(金)

■厚生労働省の「介護給付費等実態調査月報」(2016年9月審査分)によると、受給者総数は、介護予防サービス108万5,600人、介護サービス409万3,000人。受給者1人当たり費用額は、介護予防サービス3万5,700円、介護サービス19万200円。■連合中央委員会は来春闘での「2%程度基準」の賃上げ要求を決定。連合第1回共闘連絡会議で、最初のヤマ場を3月15日に設定。


29日(火)

■総務省の「労働力調査(基本集計)」(速報)によると、10月の完全失業率は3.0%(前月と同率)。

■総務省の「家計調査報告」(速報)によると、2016年10月の二人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は28万1,961円(前年同月比実質0.4%減)。勤労者世帯の1世帯当たりの実収入は48万5,827円(同実質0.1%減)。

 

 

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