たたかいの現場から

954号

◎分会長襲撃に会社関与の疑い  連帯ユニオン、怒りの無期限スト

 2013年7月、エム・ケイ運輸(奈良県大和郡山市池沢町)で働く11名の労働者が連帯ユニオン近畿地区トラック支部に加入し、公然化をおこなった。会社は職場の問題を解決することなく、15年6月、ヤクザを介入させた。分会長を大阪市内のファミレスに呼び出し、「300万円払え」などと脅迫、組合脱退強要をおこなった。それが、エム・ケイ運輸闘争の始まりだ。


 同月、組合は第1弾ストライキを決行。この事件は、会社が不当労働行為の事実を認めて謝罪したが、会社は新たに関西圏で有名な労務屋を雇い入れ、確認事項をすべて反故にしてきた。
 第2弾のストライキ、組合員のみ就労させない攻撃、約20日間の出勤闘争と、就労実現といった経過のなか、殺人未遂事件がおきた。16年11月30日早朝、大型トラックに乗務する分会長が長距離業務を終え、車庫に戻ったところ、突然襲撃に遭い全身打撲と肋骨3本骨折で、全治2ヵ月以上の重傷を負わされた。


 分会長が車庫に帰ってくる事を知り得たのは、一部の経営者と配車係だけ。事件後、姿をくらました会社幹部もいる。

 組合は経営者が関与しているとしか考えられないとして、翌日の12月1日から第3弾目となる無期限ストライキを決行(=左写真)。会社は団体交渉を拒否している。


 組合が長時間労働の是正を要求し、奈良労基署も是正指導をくりかえしていた矢先の今年2月2日には、長距離運送業務に従事する運転手が会社事務所で倒れ心肺停止で救急搬送され、その日の夜亡くなった。
 ストライキは今も継続中。また、連帯ユニオンの組合員は総決起して闘争を継続している。

 

柳生 和美(全日本建設運輸連帯労働組合 近畿地区トラック支部 副執行委員長)

 

◎プリントパック争議 中労委で和解  健全な労使関係で彩りある職場へ

 プリントパック争議で2月13日、中労委で、賃金を是正し解決金を支払い、労働時間短縮に向けた勤務体制の改善をする等を骨子とする和解が成立し、争議は解決した。
 「ブラック企業大賞業界賞」の受賞に「組合が働きかけた」として分会長・書記長に「出頭を命じる」呼出状を交付し(全印総連の抗議で中止)一時は和解も危ぶまれたが、委員・代理人・労使の懸命の努力で和解に至った。ご支援頂いた関係各位に感謝したい。


 プリントパックは「印刷通販」の創業企業で、今や雇用労働者800名を超す。急成長の過程で悲しい死亡労災事故を起こしたが、あくまで自社設備での自社生産にこだわる企業で、縮小を続ける印刷産業にあって貴重な存在でもある。

 労働者が仕事に誇りを持って働き続けるには、双方向の労使関係として労働組合の存在を活かし健全な労使関係を築く事が肝要で、それが今後の企業成長の礎になる。


 分会長も書記長も美術や映画を志望する青年で「色に関わる仕事がしたい」と印刷業プリントパックに入社した。生活と人生に彩りを与える仕事に就く労働者が、また彩りある職場で仲間と共にいきいきと働き続け、企業が健全に成長する事で印刷産業の裾野を広げることを切望して争議解決の報告とする。


 全印総連は3月25日、東京・文京区民センターで和解報告市民集会を開催する。多くのみなさんの参加をお願いしたい。

 

井上 俊幸(全印総連京都地連ユニオン京支部長)

 

◎平和なくして男女平等なし 女たちの安保法違憲訴訟始まる

 2月10日東京地裁で安保法制違憲訴訟・女の会の第1回口頭弁論があり、180名を超える人々が傍聴券を求めて並んだ。103号法廷はバーの中も傍聴席もいっぱい。最初に、原告側からの意見陳述が始まった。


 中野麻美弁護士が「平和なくして男女平等なし」「男女平等なくして平和なし」との市川房枝さんの言葉を引用し、安保法制の審議中、一人の女性も参考人等で意見を聞かれることなく強行採決され、原告らに大きな被害を与えたことなど、この裁判の意義を訴えた。


 二番手は「女たちの戦争と平和資料館」wam館長の池田恵理子さんが、2000年の「女性法廷」に対するNHKの番組改ざん裁判の中で安倍晋三副官房長官(当時)の関与が明らかになったこと、あの戦争は「アジア解放の正しい戦争」とする彼が首相となって安保法制を強行し、wamには爆破予告の脅迫状が届き、ジャーナリストとしての仕事、「慰安婦」支援やwamの運営の取組を否定された思いを陳述した。


 次いで沖縄からかけつけた高里鈴代さんが、1995年9月に起こった3米兵による少女強姦事件と沖縄の人々の積年の怒り・痛みが結集した8万5千人の県民集会、沖縄は戦後71年間軍隊の支配下にあり、米軍人による女性へのレイプ・絞殺事件は9ヵ月の乳児や5歳の幼児まであらゆる年齢に及んでいること、安保法制はこれまでの活動を振り出しに押し戻されたような屈辱感を感じ、安保法制の撤回を求めると訴えた。原告2人の陳述はとても感動的だった。


 最後は角田由紀子弁護士が、安保法制制定で原告らが体験した苦痛や恐怖や不安は原告らが生きることの根幹にかかわること、すでに被害を受けており、司法は憲法によって付与されている責務を果たすべきと訴えた。


 終了後、参議院議員会館で報告集会がもたれ、130名を超える参加があった。次回は6月16日15時から103号法廷。

 

柚木 康子(原告・本誌発行人)

 

◎日日刻刻  要介護認定者数630万人 (1.31〜2.14)

1月31日(火)

■総務省の「家計調査報告」によると、2016年12月の二人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は31万&488円(前年同月比実質0.3%減)。


2月1日(水)

■政府の第6回「働き方改革実現会議」は「同一労働同0賃金」「長時間労働是正」について議論。

■厚生労働省の「仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する検討会」が、論点整理を公表一「マネジメント、業務プロセス、人事評価等の改革」「企業のコンプライアンスと法の執行」「規制の在り方について、1.時間外労働の限度 2.労使の役割 3.情報の公開」「下請け等の取引慣行への対応、意識改革」など。

■日本商工会議所の「時間外労働規制に関する意識調査結果」によると、36協定を締結している企業のうち、限度時間を超える特別条項について、約半数(50.6%)が「有り」。


7日(火)

■経済同友会の「ダイバーシティと働き方に関するアンケート調査」結果によるとLGBTに対応する施策を実施している企業は39.7%。

■厚生労働省が今通常国会に提出した法律案は「雇用保険法等の一部を改正する法律案」「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」。


8日(水)

■内閣府の2017年1月の「景気ウォッチャー調査」では、街角の景況感は7カ月ぶりの低下。■東京商工リサーチによると2017年1月の「人手不足」関連倒産は32件(前年同月24件)。「後継者難」型24件、「求人難」型6件、「従業員退職」型2件など。


9日(木)

■厚生労働省の「介護保険事業状況報告」(2016年11月末現在・暫定版)によると、要介護(要支援)認定者数は630.6万人。男性196.1万人、女性434.5万人。


14日(火)

■政府の第7回「働き方改革実現会議」は「長時間労働是正」「高齢者雇用」について議論。

■厚生労働省の2016年の労働災害発生状況によると、死傷者数は11万Z,os7人(前年同期比1,009人〈0.9%〉増加。死亡者数は874人(同35人〈3.9%〉減少)。

■リクルートキャリアの「兼業・副業に対する企業の意識調査」(対象は正社員)によると、兼業・副業を容認・推進している企業は全体の22.9%。

 

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