たたかいの現場から

961号

原発労災
  あらかぶさん裁判、来年4月まで4回の期日決まる

 7月28日、東電と九電を相手に原発労働による白血病労災の損害賠償を求めた裁判の第3回口頭弁論が開催された。前回までの法廷から大きな103号法廷に変わったが、法廷は満杯に埋まり、傍聴できない人も。

 

 原告側は今回、第1準備書面と第2準備書面を提出。

 第1準備書面では被告東電の答弁書に対する認否・反論を行い、個人線量計を持たずに作業が行われていたことによる被曝の問題、鉛ベストの下のみに線量計を付けるなど電離規則違反の管理が行われていた事実、α線、β線内部被曝を無視している点、鉛ベスト着用箇所以外は放射線防護がされていないことなどの事実を指摘した。また九電の作業でも放射線教育の不備があったこと、被曝線量が過小評価されていた点を指摘した。

 第2準備書面では主に低線量被曝による発がん性を示す文献を多数引用し、東電の主張する100mSv/年では他の発がん要因影響によって隠れてしまうため放射線による発がんリスクを証明することは難しいとしている主張に対する反論を行った。
 いずれの準備書面についても弁護団からその要旨を口頭にて説明し、裁判官への理解を促した。

 裁判所は本件裁判について次回の10月13日以降、12月15日、来年2月22日、4月19日と4回先まで期日を入れるという熱心さ。今後も法廷を埋めつくしたい。

 集会後、参院会館にて報告集会を行ったがこちらも会場は満席。弁護団からの準備書面の解説と温品(ぬくしな)淳一氏(放射線被ばくを学習する会代表)から低線量被曝でもがんが増えることについて具体的文献、研究結果を引用した説明がなされた。


 今も福島第一原発では廃炉に向け、毎日6千人近い労働者が働いている。被曝線量管理が実際の現場においてきちんとなされているのか不安は大きい。
 2次下請け以上は認めないと言いながら、実際は4次、5次下請けで働く労働者は多数い
る。放射線教育がきちんと行きわたっているのかすら不明だ。いつ、次の労災被害者が出ないとも限らない。

 あらかぶさんは「私に続く方のためにもこの裁判を頑張る」と決意を述べている。
 100mSv/年以下なら因果関係はわからないから損害賠償の責任はないとして、労災認定された労働者を切り捨てる東電を許さず、裁判闘争を支えていきたい。

 

瀧 秀樹(全労協脱原発プロジェクト)

 

最賃
  「8時間で暮らせる水準に」とアピール行動

 7月25日、潮流を超えた労働組合でつくる「最低賃金大幅引き上げキャンペーン2017」
は、東京・中野区で開かれた中央最低賃金審議会目安小委員会に向けてアピール行動をおこなった。プラカードを掲げながら「いますぐどこでも時給1000円に!時給1500円をめ
ざして」「地域間格差をなくせ」[当事者の声を反映させろ」と訴えた。全労連もアピール行動をともにおこなった。


 この日の審議会で、地方ごとの最賃引き上げの目安が決定された。Aランク26円、Bランク25円、Cランク24円、Dランク22円と発表された。全国加重平均では25円。引き上げ率は昨年と同じ3・0%となる。
 この小さな引き上げ額の水準であると、全国加重平均で時給1000円に到達するにも20
23年までかかる計算となる。あまりに低い引き上げ額だ。
 また、全国加重平均だと時給848円となり、一見、高くなったように見えるが、加重平均というのがクセモノである。最賃水準がもともと高く、また人口の多い都府県の偏差が出るからである。

 現在、最賃の最低額は宮崎と沖縄の時給714円であるが、Dランクの22円しか上がらなければ、時給737円にしかならない。
 最賃の水準そのものが低いのみならず、地方間格差を拡大する目安になっていることも重大である。地方間格差を固定することは、若者が地方から離れて行く要因にもなり、地域経済を疲弊させる要因にもなっている。


 国際的に見ても、日本の最賃が低すぎることは、ILO、OECDなどの指摘によっても明らかとなっている。さらに、隣の韓国では、2018年1月から最低賃金が全国一律で時給7530ウォン(約750円)となることが決まった。現在の日本の最賃で時給750円を割っている県は19県ある。つまり、2018年1月から日本の19県では、韓国の最賃水準を下回ることが確定したということだ。


 低賃金では、長時間の労働がなければ生活は不可能となる。低賃金は長時間労働の要因でもある。運動潮流を超えた労働組合が集まる「最低賃金大幅引き上げキャンペーン」では、「8時間労働でフツーに暮らせる賃金を」「いますぐどこでも最低賃金時給1000円に!時給1500円をめざして」をスローガンにたたかいを継続する。
 9月4日にはファストフード業界など低賃金で働く労働者が最低賃金の引き上げを求めてデモを予定。グローバルアクションにもぜひ、ご参加を。

 

河添 誠(最低賃金大幅引き上げキャンペーン事務局)

 

大阪
  大理生・パワハラ訴訟が勝利的和解

 当労組の争議は多岐にわたるが、大きな争点の一つであった大理生・パワハラ訴訟が2017年7月31日、大阪地方裁判所にて和解が成立した。

 その和解条項1項は「被告(大理生・前常務理事)は原告(大理生労組・委員長)に対し、本件解決金として65万円の支払義務がある事を認める」として、和解の席上で被告から原告へ同現金額の授受が行われると共に、被告から原告への口頭謝罪があり裁判の終結が確認された。

 そもそも本訴訟は、現在は使用者の一員ではない前常務理事が、2016年4月5日付で当労組サイトにアップしている書面の一部が名誉殿損にあたるとして「差止請求及び損害賠償請求訴訟を行なわざるを得ない」旨の内容証明郵便を、代理人を通じて委員長の個人宅に送付してきた事がきっかけになっている。

 このような民事弾圧策動に対して、当労組は弁護団を結成すると共に、逆に過去に前常務理事が繰り返し行ってきた委員長へのパワハラや名誉殿損について、損害賠償請求で訴える事によって反撃してきた。
 しかし被告側をここまで追い詰め、裁判所を味方につけ勝利する事ができたのは、みなさまが毎回の期日に傍聴支援にかけつけて頂いたり、当労組サイト(http://oskunion.org/)への閲覧支援を頂いたからに違いない。みなさまのご支援に、この場をお借りして心からお礼申し上げると共に、当労組の活動が継続する限りは前述した和解条項等、本訴訟の書面と経緯を当労組サイトに掲載し続けるのでお時間のある時に閲覧して頂ければ幸いだ。


 また、本訴訟の訴外である現理事会が前常務理事からのパワハラを防止する策を講じないどころか、積極的に前常務理事の味方をして現常務理事を証人尋問で証言させる等、本訴訟を引き延ばしてきた。この事に対しては、現理事に前述の和解条項等を示し責任を追及する行動をすでに開始している。
 裁判は終わったが今後もパワハラのない職場をめざし、元気に闘い抜いていく。ご支援、ありがとうございました!

 

 

白田 伸樹(大理生労組)

 

朝鮮学校
  民族教育の権利示した大阪無償化判決

 7月30日、東京朝鮮中高級学校で開かれた「東京判決を前に〜広島・大阪判決を考える学習集会」の冒頭、長谷川和男さん(東京朝鮮高校生の裁判を支援する会共同代表11元日教組)は壇上で泣きじゃくった。最初に28日の大阪地裁全面勝利判決の映像が流され、大拍手に包まれたからだ。その4日前の広島地裁判決敗訴と真逆の内容であり、司法反動の中で大阪でもという不安があった中の快挙だった。

 400人を超える超満員の参加者も涙と歓声にあふれた。


 長谷川さんは全国の朝鮮学校を行脚しはじめている。そこであらためて「民族教育の素晴らしさ」を痛感しているという。
 「自分が教員として日本の学校でやりたいと思っていた教育が、朝鮮学校にはあるんです。生きること、一人ではなくつながれば大きな力になるんです」と力説した。


 なぜ同じ趣旨の裁判で、広島は負け、大阪は勝ったのか。広島は、く北朝鮮との国交がないことを理由に支給要件を証明できない〉〈朝鮮総連との関係から支援金が流用される懸念がある〉と、国の主張を全面的に受け入れた。

 それに対し大阪の判決は明快だった。〈下村文科相は、政治的外交的な理由、さらには国民の支持がえられないからとして、朝鮮学校を排除したが、それは教育の機会均等をうたった無償化法の趣旨を逸脱し、違法・無効である(要旨)〉とした。
 広島の裁判官は原告の証人申請を1人も認めず、被告・国の証拠資料は厖大な産経新聞記事であり、これを採用した。初めから法を無視し、提訴内容を斟酌(しんしゃく)せず、棄却ありきで対応した広島の裁判官の姿は、労働裁判でも散見する。


 次は東京の判決(9月13日)だが、東京も大阪と同じ趣旨で主張し、裁判官もそれなりに対応したという。とにかく、世論を拡げ、運動でも勝利したい。

水谷 研次(朝鮮統一支持日本委員会事務局長)

 

新聞奨学生
  改正職安法活用も  新聞労連がシンポ

 8月6日、文京区福祉センターにて新聞労連と傘下の個人加盟労組「新聞通信合同ユニオン」がシンポジウム「新聞奨学生と求人詐欺〜改正職安法は学生をまもれるか」を開催し
た。
 新聞奨学生からの相談が一向に減少の気配をみせないことと、募集時と実態が異なるいわゆる「求人詐欺」が社会問題化し、今国会で職業安定法が改正されたことを受けてのもの。

 パネリストに衆議院厚生労働委員会で参考人として意見陳述を行った法政大学キャリアデザイン学部の上西充子教授らを招き、改正職業安定法を「求人詐欺」にどのように活用すればよいのかを議論した。


 当事者団体である「新聞奨学生SOSネットワーク」からは新聞奨学生の求人詐欺被害の具体例のほか、奨学会主催の卒業式会場前でアンケート調査の結果、「パンフレットどおりだった」と回答した新聞奨学生が15人中わずか3人だったことなど求人詐欺が横行している可能性が高い数字が出たことや、職業紹介事業者らを監督する労働局需給調整事業部の対応の悪さなどが報告された。

 新聞労連の加藤健書記次長からは販売店舗数が減少する新聞業界の背景事情や新聞奨学生の数が激減する中で新聞奨学生からの相談がいまだに続く現状のほか、産別労組の特徴を活かし、発行本社の加盟組合を通して交渉して解決した具体的な事例が紹介された。
 中西教授は新聞奨学会が作成するパンフレットやサイトの給与や労働時間・内容の表示方法が曖昧で不備が多い点を指摘。また新聞奨学会が「職業紹介事業」にあたる可能性が強いこと、改正職安法は求人者(販売店)に罰則が追加されたことなどが解説された。
 また、武蔵野市議の川名雄児さん、清水忠史衆議院議員の秘書など議員関係者も含めた新聞奨学生OBが多数来場した。


 板橋区議の中妻穣太さんは 「自分が新聞奨学生をしていたときには相談をしようという発想なかった。今日のシンポジウムの内容はむしろ、奨学会に知っておいてもらう必要があるのではないか?」と話すなど、自身の体験などを交え活発な意見交換が行われた。

 

村澤 潤平(新聞奨学生SOSネットワーク)

 

 

 

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