たたかいの現場から

968号

北九州> パート社員が通勤手当 差別支給の闘い勝訴

 2月1日、卸売市場で深夜2時から6時まで4時間働くパート社員の全国一般労組組合員4名が、正社員と同じ作業をしているのに通勤手当(正社員月額1万円、パート社員月額千円)に格差があることや、パート社員のみ皆勤手当を会社が減額したことは労働契約法に違反するとして、未払い分など計120万円の支払いを求めた訴訟の判決が福岡地裁小倉支部であった。

 「通勤手当の相違は不合理」として請求をほぼ認め、会社側に計112万円の支払いを命じる勝利判決だった。


 この全国一般九水運輸商事分会のパート組合員の闘いは、2013年9月から始まった。
 会社は、パート社員には一切年休を与えず、皆勤手当月額5OOO円を深夜手当の割増算定基礎に算入していないという労働基準法違反があった。さらに会社は、新たなパート社員の求人募集の時給を既存のパート社員より高い時給で募集していた。
 これらの改善に向け、4名のパート社員は、全国一般労組に加盟し分会を結成し、年休取得はもちろんのこと、労基法違反の未払い賃金は過去に遡及し支払わせ、パート社員の時給も改善させた。

 しかし、会社は、正社員との通勤手当の差額千円については是正を拒否。正社員の皆勤手当1万円を5000円減額したことなどを理由にパート社員の5000円の皆勤手当までも減額してきた。

 

 全国一般労組は、会社前や社長自宅周辺での抗議行動を毎月行いながら、裁判闘争をたたかってきた。
 福岡地裁判決は、原告パート社員が自家用車で25分~40分かけて通勤するのは正社員とは変わらず、通勤実費は月額1万円を超えていたと認定。「実際の通勤手当費用を考慮せず、一律に半額を支給するの差異は不合理」と指摘した。その上で、労働契約法20条の規定が施行された2013年4月から通勤手当の格差があった19ヵ月分として一人あたり9万5千円を不法行為による損害と認定した。

 2014年の就業規則改定で月額5千円だった皆勤手当をパート社員のみ廃止したことについても労働条件の不利益変更についての要件を定めた労働契約法10条に違反するとし、37ヵ月分、一人あたり18万5千円の支払いを命じた。

 

 この判決は、NHKニュースで放映され新聞各社も大きく報道し、社会的な影響は極めて多い。判決後労働相談が増え、派遣社員の交通費不払い問題も、組合加盟して会社に差額の支払いを行わせた。
 現在、中小企業では、労働組合の組織率は1%を切っており、労働契約法が周知徹底され、遵守されている状況はない。通勤手当については、正社員で通勤手当が支給されているのにパートには支給されていない企業の割合も約2割にのぼっており、雇用が不安定な派遣社員では約20%しか支給されていない。
 このような多くの非正規の労働者が、労働契約法を根拠に会社に通勤手当の格差の支払いを請求することは実際には困難である。この判決は、非正規社員を勇気づけ、会社に格差是正を促す機運になるだろう。

 

 会社は、「業務内容の異なる正社員との相違は不合理とは言えない」として福岡高裁に控訴した。全国一般労組としては、全面勝利に向け、引き続き闘いを強化していくこととしている。

 

山岡 直明(全国一般労働組合福岡地方本部執行委員長)

 

郵政> 「自爆は文化」 管理者の放言に驚き

 3月5日「郵政リストラを許さず労働運動の発展をめざす全国共闘会議」主催の均等待遇と正社員化を求める本社前集会と院内集会が行われた。

 午前11時半から始まった本社前集会には、全国から非正規をふくむ組合員、支援団体など200名の仲間が参加し、集会の前段には非正規組合員の代表4名が署名2万5025筆を日本郵政に手渡した。

 

 非正規組合員を代表して大阪の20条裁判の原告、癬(くぬぎ)恵之さんが「100点満点ではないが、格差是正への風穴を開けた判決だった。正規・非正規の区別がない職場を作っていかなければならない」。

 65歳雇い止め原告の丹羽良子さんは「要員不足なのに定年を理由に解雇するのはおかしい」と訴えた。


 本社前集会後、衆議院第2議員会館に移動し非正規を中心に約100名の仲間が参加して院内集会が行われ、共産党の本村伸子衆院議員、山添拓参院議員があいさつした。
 西日本20条裁判の判決について、水口洋介弁護士からは、「東京地裁での手当額が6割、8割となっていたが、大阪地裁では正社員と同額が認められた。年末年始の勤務手当、住居手当、扶養手当などの格差は不合理なものであると東京・大阪の両裁判所で認められた意義は大きい」と説明した。

 萩尾健太弁護士は65歳非正規雇い止め裁判について報告した。
 全国から参加した非正規労働者12人が発言。異常な営業やパワハラ、悪質な管理者に関するリアルな実態が告発された。

 「部長から営業のパワハラを受けて『自爆営業』をやってしまったことを内部通報したら、自分だけが処分され、翌日から様々な嫌がらせを受けた」「2年で15名が離職。部長は『自爆営業は文化』とまで言っている」「非正規は管理者の顔色を窺って仕事をしている。正社員も1年ももたない」「『配達をしている者の姿や態度が悪いから人が集まらない』などと言う管理者がいる」との発言に会場がどよめいた。

 

須藤 和広(郵政ユニオン)

 

日大> 日大のチグバグな 場当たり的”危機管理”

 日本大学は三軒茶屋キャンパスの新設2年目の2学部(危機管理学部・スポーツ科学部)で17年11月、英語非常勤講師15名全員に年度末での雇止めを通告し、外部の語学学校の委託講師への切り替えを示唆した。
 文科省は、新設した学部では4年間、カリキュラムや教員構成を変えることは容認しおら
ず、大学も当初、4年間の継続担当を講師たちに要請していた。
 文科省はまた、大学が責任をもって教育を実施するためには、教員は直接雇用とする原則を示している。業務委託された講師に対して大学側が指揮命令すれば、偽装請負になってしまう。

 

 講師の質問や組合の追及に対して大学側は次々と説明を変えている。「システム変更だ」、「カリキュラム自体でなく運用法の変更だ」、「委託講師はアシスタントとして専任教員とペアで教えるので丸投げではない」、「専任教員は授業の計画を立て成績評価を行うが、授業時は指揮命令せず観察するだけ」等々。
 元々は4年で雇い止めするつもりだった講師の何名かがすでに以前から日大の他学部でも教えていたため18年4月に無期転換権を得る前に慌てて雇い止めすることにしたが、労働契約法潜脱の意図を隠すため全員をまとめて雇い止めすることにしたのではないかとわれわれは見ている。

 日大当局の場当たり的対応ぶりは一貫している。

 

志田 慎(首都圏大学非常勤講師組合日大ユニオン準備会代表)

 

尼崎> ALTの継続雇用 市教委が回答

 兵庫県尼崎市に雇用されているALT(外国語指導助手)が、約半年間に及ぶ団体交渉の末、60歳以降の継続雇用を勝ち取った。

 

 昨年夏、あるALTが「年齢を理由に、突然今年度で契約は終了と言われた」として大阪教育合同労働組合に加入した。2年前から尼崎市で働き始めた組合員は、採用時、尼崎市教委から委嘱期間に上限があることを正確に伝えられていなかった。
 組合と尼崎市・市教委とは、2OO4年に「組合員の労働条件の変更にあたっては、十分に協議を行っていく」という合意書を交わしている。
 団体交渉ではまず、「尼崎市教育委員会外国人外国語指導助手取扱要綱」の「委嘱」の部分が、組合に報告もなく、いつの間にか書き換えられていた点について追及した。2OO9年の同要綱同条には委嘱期間について定めはなかったが、その後、「60歳未満の者で」と委嘱期間の上限が書き加えられていた。改訂は2015年4月1日に行われ、ALTにも周知されていなかった。

 

 それを重く受け止めた尼崎市教委は、18年2月6日、組合員の次年度継続雇用ならびに、尼崎市で働く15名の60歳以降の継続雇用を約束するという最終回答を、尼崎市・市教委から引き出した。

 今回の尼崎市の英断は、近隣他市、そして全国にも影響を与えることは間違いない。

 

大椿 裕子(大阪教育合同労働組合執行委員長)

 

マーチインマーチ> 除染作業に従事させられた実習生もアピール

 今年も、マーチ・イン・マーチ2018が3月4日に行われた。

 マーチ・イン・マーチは、毎年3月に開催する移住労働者の権利のための行動で、今年のテーマは「ここにある多民族・多文化共生社会」。

 会場となった上野公園水上音楽堂では、移住労働者を組織する労働組合からの訴えやパフォーマンスに加え、朝鮮学校からの高校無償化排除に関するアピールも行われた。

 そして、最後には、川崎を拠点にライブ活動などする在日コリアンのラッパーFUNIが登場。集会後には、参加者総勢約250名が、御徒町公園までマーチをした。

 

 今回のステージでは、福島で除染作業に従事させられていた技能実習生からの訴えも。移民・移住労働者である彼女彼らが、ことばも文化も異なる国で自分の問題を訴えるのはそう容易なことでない。
 市民社会はそれを正面から受け止め、サポートし、共に行動する責任がある。なぜなら、彼女ら彼らは、すでにこの社会の一員であり、その働きや交流によって、この社会はつくられ、動かされ、また、豊かにされているのだから。

 

安藤 真起子(移住者と連帯する全国ネットワーク)

 

下町ユニオン> トラブルメーカーめざし参加型ワークショップ

 2月24日、恒例のユニオンセミナーを行った。昨年11月に米国のレイバーノーツから講師を招いた「トラブルメーカーズ東京スクール」に下町ユニオンから3名が参加したことで、この組織化に向けた参加型ワークショップを企画した。

 

 始めるにあたって討論の基本ルール決めることを学ぶ。「一度に話すのは一人だけ」「一度発言したら譲ろう」など12の見本が示される。そして第一部「無関心に打ち克つ」では、職場の問題に実は無関心な労働者はいないということ、経営側が労働者を分断する方法、組織化に向けた対話の方法をロールプレイで学ぶ。

 第二部「理想的なリーダーを集めよう」では、リーダーの資質・本当の役割を考える。ホテル清掃職場を例に職場の隠れたリーダーを見つけていくグループ討論、職場マップを作成し労働者の関係性を可視化することなど実習する。

 第三部は「課題をキャンペーンにする」では、職場の課題を解決するための計画を作ることを学ぶ。

 どれも実際の労働組合の闘いから考え出されたもので非常に実践的であった。

 

 米国と日本との労働組合の法制度上の違いや米国との文化的な違いで多少の違和感やわかりづらさはあったと思うが、経営者からの攻撃や職場での仲間づくりで何が課題になっているのかなど共通したことも感じられた。特にロールプレイなど実践的な研修方法にはみんな関心を示し、「仲間を誘ってぜひ次回もやりたい」と参加者からも好評価だった。

 

加瀬 純二(下町ユニオン事務局長)

 

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