たたかいの現場から

971号

ユナイテッド航空解雇争議 > 「やるか、絶対やるか」決意みなぎる6.1集会

 不当解雇から2年。6月1日、東京・文京区民センターで「裁判勝利・不当解雇撤回・原職復帰、6.1ユナイテッド闘争総決起集会」が開かれ、200名を超える参加があった。

 

 これまでの行動のビデオ上映、当該の経過報告、荒木昭彦弁護士、近藤昭雄・中央大学名誉教授による裁判報告に続き、以下の各団体・職場から力強い連帯あいさつがあった。
 全労協・金澤壽議長、全国一般労働組合全国協議会・平賀雄次郎中央執行委員長、東京東部労組・菅野存委員長、国労千葉地方本部・加藤晃一書記長、東水労・諸隈信行書記長、郵政ユニオン・日巻直映委員長。
 続いて、当該が決意を表明。
 「今この4人にある選択は、やるか、絶対にやるかです」「解雇された2年前は悲しくて、悔しくて。でも支援の温かさに毎日ふれ貴重な時間を過ごしている」「不安はありますが、支援してくださる方々とともに、自分たちの働く権利を取り戻します」「向かい風が追い風に変わったと肌で感じている」当該4人の訴えに、温かな拍手と声援で会場が包まれた。

 

 ユナイテッド航空は一昨年5月、日本で採用された日本の労働組合に所属する日本人乗務員のみを、合理的な理由もなく解雇した。会社の経営は史上最高黒字を上げるなど大変順調で、米国では全乗務員の大幅な昇給、3千人以上の新規雇用を続けており、組合差別、国籍差別によるこの解雇は明らかな不当労働行為だ。
 ユナイテッド航空は、「この解雇は合併前の旧コンチネンタルミクロネシア航空が行ったもの」と責任逃れしているが、私たちの仕事を取り上げて人員余剰にしたのは紛れもなくユナイテッド航空である。

 トランプ大統領が唱えるような、米国の雇用を守るべく、米国組合員のみを尊重し、他者の生きる権利を切り捨てるユナイテッド航空のやり方は断じて許されるものではなく、明らかに日本の、そして米国においても労働法違反である。

 

 東京地裁での裁判では証人調べ期日も決まった。解雇撤回、原職復帰をめざし、自分たちの意思を固め現場闘争を強化していく。

 

吉良 紀子(ユナイテッド闘争団)

 

原発労働 > 命食う現場の実態共有 新たなユニオン結成へ

 5月26日、東京・文京区民センターで「原発労働者は団結して要求する!5.26春闘集会」が68人の参加で開かれた。

 福島原発事故が起こる以前から全国各地の原発で働く労働者は劣悪な作業環境の下、被ばくによって命と健康を脅かされ続けていた。この日の集会は、原発労働の問題を共有化しながら、現在闘われている原発労働者の裁判への支援を訴えるものだった。

 

 集会では、まず主催者「被ばく労働を考えるネットワーク」を代表して、福島原発で3年前まで廃炉作業に従事していた池田実が開会のあいさつ、つづいて福岡から被ばく労災裁判をたたかう原告の梅田隆亮さんの決意表明があった。

 裁判は地裁、高裁とも「原発労働と心筋梗塞の因果関係は認められない」と労災を認めず、現在は最高裁に上告中である。

 現在82歳の梅田さんは足腰が弱くなる中、支援を訴えるため東京に駆けつけ「闘いますので裁判支援をぜひお願いします」と力強くあいさつ。つづいて梅田裁判弁護団の池永修弁護士が裁判の経過を報告し、先日最高裁へ「被ばく労働が憲法で保障された健全な労働と言えるのか」という主旨の上告趣意書を提出、「厳しい裁判ですが支援をお願いします」と訴えた。

 

 次に東電と九電を相手取り損害賠償裁判をたたかっているあらかぶさんと地元で支援している北九州ユニオンの見口要さんから裁判支援の広がりの報告と決意表明。
 つづいて福島県での除染作業に技能実習生が従事させられていた問題についてこれを追及した全統一労働組合の佐々木史朗さんから経過報告があり、今後被ばくの拡散と健康安に対しどう向き合うのか考えていきたいと提起された。

 

 配管工として各地の原発で働き1981年に初めて原発下請労働者組合を結成した元分会長の斉藤征二さんからは、組合結成への決意とその後の様々ないやがらせの実態が述べられ「人の命を食いものにする原発は1日も早く無くさなければならない」と熱く語られた。

 

 最後に、新たな「原発関連労働者ユニオン」結成へのよびかけを「被ばく労働を考えるネットワーク」中村光男さんと「よこはまシティーユニオン」の川本浩之さんからそれぞれ受けた。
 「情報を発信し、共通の目標をかかげつながりを求めていきたい」と中村さん。「組合を作って走りだせば何とかなる、新しいユニオンぜひ協力していただきたい」と川本さんが訴えた。

 

  質疑応答のあと、司会の東東京労働安全衛生センターの飯田勝泰さんから、梅田裁判とあらかぶ裁判への支援の輪をさらにひろげながら、全国の原発労働者の安全、待遇改善を求めるためのユニオン結成への協力要請を確認し終了した。

 

池田 実(被ばく労働を考えるネットワーク)

 

労契法20条裁判 > 最高裁判決うけ集会 到達ふまえ職場で闘う

 6月7日、全日建建設運輸連帯労組の主催でハマキョウレックス事件と長澤運輸事件の最高裁判決報告集会が東京・連合会館で開かれた。

 

 冒頭の主催者あいさつで菊池進委員長は「最高裁のハマキョウレックス事件判決は契約社員ドライバーの不当な格差を是正する大きな意義をもつ、この判決を各地で活用し、組織化につなげよう」とよびかけた。

 一方、長澤運輸事件では、定年後再雇用者を別格扱いし、同一業務なのに労働条件格差を事実上認めたこと、都労委命令を無視したことなどを強く批判。「非正規格差撤廃を実現する闘いを展開する」と強い決意を語った。

 

 集会ではNHKが当日30分にわたって報じた映像も流された。長澤運輸の労組活動に密着し、また他社では定年再雇用でも労組の要求で同じ給料を保障したところ、かえって社員のモチベーションも生産性もあがった例も紹介された。

 

 宮里邦雄弁護士の「判決内容と意義及び批判」報告に続いて、当該2労組が決意を表明。
 ハマキョウレックスの池田さんは、「正社員と私たち契約社員の年収差は200万円以」。
判決を活用し、これまで以上にオルグ活動を強め仲間を増やしていく」と決意を表明。

 長澤運輸の鈴木さんら3人は「大変残念な判決だが、これだけ多くのメディアに取り上げてもらった。私たちの職場の正社員は年齢や勤続年数に関係なくほぼ同じ賃金で働いている。仕事も乗る車も労働時間も定年前と後でまったく同じなのに賃金だけ大幅に下がった。変えるまで闘う」と怒りをぶつけた。

 

(関連特集10P~)

 

DNP争議 > まいた種、一筋縄の道に 9年の闘いが和解

 2OO9年、大日本印刷の連結子会社、DNPファインエレクトロニクスを雇い止め―解雇された橋場恒幸さんは、自らの働き方が二重偽装請負という違法状態にあったことを知り、さいたま地裁に対して、雇用契約の地位確認と損害賠償を求めて提訴した。たった一人からの闘いだった。

 

 その後、全印総連の個人加盟ユニオンに加入して、地裁では、5年有余に及ぶ裁判闘争を続けたが、判決は職業安定法44条違反、労働基準法6条違反の事実を認めながら、地位確認と損害賠償は退けた。東京高裁に控訴したが、地裁が具体的事実によって認めた二重偽装請負の事実をも否定する極めて不当な判決があり、最高裁に上告したが、不当な棄却で裁判闘争は終結せざるを得なかった。

 

 全印総連では、東京都労働委員会に対して大日本印刷とDNPファインの2社を団交拒否による不当労働行為救済を申し立て、話し合いによる争議の解決をめざしてきた。
 都労委申し立てから2年が経過した6月6日、都労委の和解案を双方が受け入れ、争議を終結することになった。裁判では敗訴しても、闘いの場を労働委員会に移し、大衆行動を粘り強く行うことによって、一定の条件で争議を終結させることができた。

 

 非正規雇用という理不尽な働き方に対して、毅然と立ち上がった橋場さんの撒いた種は、労働契約法という均等待遇への道筋に開花した。そして、大日本印刷久喜工場内に個人加盟ユニオンの芽が出る、という結果をもたらした。
 長期の闘いを続けてきた橋場さんの不屈な頑張りに敬意を表するとともに、9年の長きにわたって全力でこの争議に寄り添い、物心両面で支援して頂いたすべての仲間の皆さんに感謝します。

 

是村 高市(全国印刷出版産業労働組合総連合会〈全印総連〉中央執行委員長)

 

過労死110番 > 国・企業の責任問い30年 事態の改善なお遠く

 毎年「父の日」の前日に設けられた過労死110番が今年、30年を迎えた。6月16日、全国33都道府県で実施した電話相談には合計103件の声が寄せられた。長時間労働にかんする電話は35件ともっとも多く、次に労災補償(死亡または療養)についての問い合わせが27件。国家公務員、医療、運輸、建設と業種を問わず長時間労働が広く横行している実態が浮き彫りになった。

 

 相談は、労働者自身よりも配偶者(特に妻)や親からのものが目立った。
 ある父親は、40代の息子が9時から5時の通常勤務を優に越して日々働き、早くても夜9時にしか帰宅しないことを心配して電話をかけたという。また、教員の夫が午前1時や4時などに帰宅するときもあり心配だという妻からの相談や、看護師の娘(30代)が朝8時から夜中2時頃に帰宅するような勤務実態で、休みの日は疲れて寝てばかりいて子どもの世話もできていない。そのうえ残業代も一部しか払われていず、夫や自分からも辞めるよう話しても聞かないという母親からの訴えもあった。

 

 初回から毎年欠かさず過労死110番を受けてきた、居酒屋ワタミ過労自死事件を担当した玉木一成弁護士は、電話相談や家族の会の運動などにより、過労死や過労自死が自己責任ではなく国や会社の責任だという社会的認識が定着してきたことは大きな成果だと話す。

 ただ、中高年男性の過労死が多かった80年代から2000年と比較すると、ここ10年ほどは若者たちの過労自死が増加傾向にあり事態が改善していると言いがたい、と指摘する。

 

松元 千枝(team rodojoho)

 

 

 

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