たたかいの現場から

980号

知る権利 > FIGHT FOR TRUTH 官邸前行動に参加して

 首相官邸の記者会見における特定記者への質問妨害や妨害行為(記者へのハラスメント行為)などに抗議し、記者会見のあり方をテーマに掲げた集会「FIGHT FOR TRUTH! 私たちの知る権利を守る3.14首相官邸前行動」が3月14日首相官邸周辺(東京都)で開かれた。

 主催は、マスコミ文化情報労組会議(=MIC、新聞労連、民放労連、出版労連、全印総連、映演労連、映演共闘、広告労協、音楽ユニオン、電算労で構成)で、マスコミ関係者や市民約600人が集まった。

 

 集会の第1部では、国会で質問妨害について質問している政治家数人がスピーチ。第2部では、すでに抗議の声明文を出している「日本ペンクラブ」の梓澤和幸弁護士や「メディアで働く女性ネットワーク」代表世話人の林美子さん、「国境なき記者団」日本特派員の瀬川牧子さんがアピールした。

 

 林さんは「質問内容をあらかじめ事実じゃないと決めつけるなど、ジョージ・オーウェル(の著作「1984年」で描かれた全体主義国家)の世界だ」と批判。瀬川さんは「政府高官は国民に奉仕するよう求められており、記者の質問を選別する権利はない」と抗議した。

 

 第3部では、MIC議長である南彰新聞労連委員長が司会を務め、記者同士の分断を生み出すことがないよう、現役記者らが記者や市民に連帯を求めた。

 中国新聞の石川昌義記者は「根っこにあるのは記者の連帯を分断しようとしていること。この先にあるのは、社の中や外で物が言えなくなることだ」と主張。

 元新聞労連委員長で共同通信の新崎盛吾記者は「ジャーナリストの組合として問題が起きた時に発言し、連帯を呼びかける。これがジャーナリズムの連帯につながる。記者を孤立させないでほしい」と呼びかけた。

 このほか、歴代の新聞労連委員長や現役記者、フリージャーナリストのメッセージが寄せられた。

 

 この集会で、私自身も新聞労連からの要請で、女性記者の立場から個人的見解を述べた。

 私は昨年4月に開かれた新聞労連の女性集会の運営メンバーだったことを契機に、メディアのセクシュアルハラスメント(セクハラ)問題に係わるようになり、実態アンケート作成や省庁への申し入れなどに携わってきたことを踏まえて発言した。
 官公庁などの取材先から記者が受けたセクハラ実態が浮き彫りになったことで、業界全体でジャーナリズムと権力との関係を確認した矢先に、再びジャーナリズムと権力とのバランスを脅かす問題が起きたことについて危機感を抱いている。ネタのために、取材先との関係性を保つために、組織のために、権力側からの人権侵害に耐え続けてきた女性たちが、勇気を出して自分の被害を語ってくれた思いを考えると黙ってはいられなかった。

 この集会をきっかけにセクハラと同様、記者の労働環境やジャーナリズムの問題として、引き続き仲間たちと共に考えていくことになるだろう。

 

吉永 磨美(毎日新聞記者)

 

JAL > 納得いく解決めざし、抗議・宣伝行動を再開

 2010年日本航空の経営破綻に乗じて行われた165名のパイロットと客室乗務員の組合潰しの不当解雇事件については、昨年5月に日本航空から2020年の格安航空会社設立に伴い解決に向けた協議を開始すると説明された。

 乗員組合・キャビンクルーユニオンから協議開始に伴い日本航空に対する抗議・宣伝行動自粛が要請される中、今年の2月までに9回の協議が行われ行方を見守ってきた。

 

 しかし、会社が提示したのは客室乗務員については過去日本航空で乗務経験のある者を対象とした経験者再雇用制度(1年契約4回更新まで、年収130万円以内)の募集、パイロットについては格安航空会社の経験者募集(労働条件明示なし)への応募、そのほか関連会社地上職への応募(労働条件明示なし)だけであり、採用にあたっては他の応募者と同様に扱う、被解雇者の優先雇用はしないというものだった。

 

 応募した数名もパイロットの嘱託地上職に1名が採用されたのみ。

 これでは争議解決にならない。私たちは職探しをしているのではない。不当な解雇だったのだから希望者全員を職場に戻せと要求しているのである。

 

 こうした状況を踏まえ、今年の1月には今後日本航空への抗議宣伝行動自粛要請はしないとの両組合名の文書が出された。
 これを受けて宣伝行動が再開され、2月25日に横浜、27日には立川、28日には釧路で独自の宣伝行動、東京では28日にJAL不当解雇撤回支援共闘主催の都内六カ所駅頭宣伝を再開し、合計で約230人が結集、約3000枚のビラを配布した。

 3月9日には羽田空港JAL国内線の到着階外側通路にて「不当解雇NO!」「日本航空は解雇争議を解決しろ!」のプラカードを持って旅客にアピールする行動を行い、約200人が参加し、約1100枚のビラを配布した。

 

 争議団が納得のいく解決目指して今後も尽力する所存である。皆様の更なるご理解とご支援をお願いしたい。

 

鈴木 圭子(JAL不当解雇撤回争議団)

 

郵政 > 「希望持って働きたい」 均等待遇、本社に迫る

 3月4日、冷たい雨の中「郵政リストラを許さず労働運動の発展をめざす全国共同会議」(事務局団体:郵政ユニオンと郵倉労)は「19春闘勝利!非正規雇用労働者の正社員化と均等待遇を求める本社前要請行動」を行った。

 

 3月4日集会の前段「非正規社員の正社員化と均等待遇を求める」署名2万5858筆を日本郵政グループに3人の非正規社員が代表で提出した。
 本社前集会では、公務労組連絡会の猿橋均議長、全労協の渡邉洋議長が連帯・激励のあいさつを受け、各地の非正規社員から「内部留保を使えば非正規社員の時給は引き上げられる」(東海)、「12年間働きながら試験を受けても正社員登用されない」(近畿)、「希望者全員を正社員化することが会社の責任だ」(四国)、「19万人の非正規がなくては事業が回らない。低待遇を改善すべき」(中国)などと訴えと怒りの声を本社にぶつけた。

 

 東京の女性組合員が集会アピールを紹介し、最後に「共同会議」の構成団体である郵政倉敷労働組合の川上さんから「8時間働けば普通に暮らせる社会実現という当たり前の要求実現に向け立ち上がろう」とのまとめが提起され、決意を固め合った。

 

須藤 和広(郵政ユニオン)

 

八坂神社 > 神職が組合加入 解雇無効の仮処分得る

 福岡地裁小倉支部は、2月27日、北九州市小倉北区城内にある八坂神社の新代表役員と称する林氏が、昨年5月1日に全国一般八坂神社分会の波多野分会長に対して行った解雇は無効で、一審判決まで毎月金員を支払えという仮処分を決定した。

 

 八坂神社で働く職員の労働条件は、休日は月5日のみ、年休なし、残業代なし、深夜手当なし、休日出勤手当もなしと労働基準法が全く守られておらず、神社は雇用契約書も締結せず就業規則もない。
 このような中、波多野分会長は八坂神社の労働条件等の改善を提言し、また各方面からの神社正常化の声に応える活動を熱心に取り組んでいた。

 

 ところが、18年4月7日、林氏は福岡県の認証を受けていない規則により八坂神社臨時総代会と責任役員会議を急遽開催し、その中で波多野分会長を責任役員から外し、新代表役員に林氏自らを選出した。
 その直後の同年4月30日、林氏は波多野分会長に対して「明日から来なくてよい」、「翌日に解雇の書類を出すから取りに来い」、「裁判でもやってこい」と5月1日付けの解雇を通告してきた。

 

 波多野分会長は、まったく常識が通じない相手だと考え、全国一般労働組合に相談し組合に加盟して闘うという神職では珍しい決断をした。
 波多野分会長は、不当な解雇後も毎日八坂神社に出勤するという就労闘争を行う傍ら、地位保全の仮処分の申立を福岡地裁小倉支部に行った。

 

 福岡地裁は仮処分決定の中で、波多野氏は八坂神社とは雇用関係にある労働者の地位であること、新規則によって選任された代表役員の林氏は新規則自体が所轄庁である福岡県知事の認証を受けていないことから林氏を代表役員に選任した八坂神社の議決は無効であること、代表権を有さない林氏による波多野氏の解雇も無効であること、代表役員・責任役員の地位をめぐる紛争を解雇により解決すべきでなく、仮に林氏に権限があったとしても本件の解雇は合理性を欠くものであって無効であること、八坂神社は一審判決まで毎月仮処分の金員を波多野氏に支払うことなどを決定した。

 

 この八坂神社の代表者と称する林氏が行った今回の解雇事件については、波多野分会長の雇用関係をめぐる紛争以外に、林氏が代表役員が代表ではないことも裁判所の決定で明確になった。

 

 この仮処分勝利決定を踏まえ、全国一般労働組合及び波多野分会長は、1日も早く不当解雇を撤回させ、職場復帰を勝ち取り、八坂神社の正常化と包括宗教法人への復帰活動を再開していく決意だ。
 今後も、引き続き、八坂神社不当解雇撤回闘争及び八坂神社正常化の取り組みにご支援・ご協力を切にお願いしたい。

 

山岡 直明(全国一般労働組合福岡地方本部北九州支部執行委員長)

 

マーチ・イン・マーチ > 多民族共生めざし、冷雨ついて歩く

 3月3日、上野水上音楽堂で「ここにある多文化・多民族共生社会マーチ・イン・マーチ2019」が開催された。

 マーチ・イン・マーチは毎年3月(March)の春闘期に開催される海外からの移住労働者のコンサート集会とマーチ(March)だ。

 

 集会は、ボサノバの演奏と2名の司会者のあいさつの後、けんり春闘全国実行委員会の渡邉洋共同代表が主催者あいさつに立ち「日本で生活するすべての労働者の生活を改善するために春闘に取り組む」と力強いあいさつをした。

 

 日音協東京都支部、移住連、APFS労組、全統一労組、争議団(JALとFAユナイテッド)、カラカサン、神奈川シティユニオンの人たちが、それぞれの国の歌や舞踊を披露したり、スピーチをして訴えた。メインは稗田隼人さんのギター演奏。

 集会後、冷たい雨が降りしきる中、御徒町界隈を元気にマーチした。

 

 週明けの5日には参院会館で、生活と権利のための外国人労働者総行動実行委員会と移住連の省庁交渉が取り組まれた。

 

 今、日本社会には100万人を超える海外からの移住労働者が世界中から集まり働いている。移住労働者の仕事は、日本人の生活と密接に結びついている。

 4月から新たな在留資格が施行される。日本政府は少子化による慢性的な労働力不足を外国人労働者の力を借りて補うとしつつ、外国人労働者の権利については知らん顔をしているのが現状だ。

 移住労働者との連帯・共生をさらに強めていきたい。

 

渡辺 学(全国一般東京南部)

 

 

 

 

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