たたかいの現場から

983号

シャープ > 生きさせろ! フィリピン人労働者がスト

 6月2日、シャープ三重工場で働くフィリピン人労働者80人が生活できる賃金を求め、24時間ストライキを決行し、松阪の中心街と雇用主である派遣会社の社長の自宅のある同市魚見町でデモ行進した。

 

 ストに立ったのはユニオンみえ・シャープピノイユニティ(シャープで働くフィリピン人労働者の組合組織の意味・略称SPU)の組合員。

 シャープがいきなり減産を発表し、下請け会社・派遣会社がフィリピン人労働者の出勤日数を大幅に減らし、しかも減らした日数の賃金補償を一切しないことに抗議した。

 前日に通告、2日の日曜日午前9時半から開始された。

 

 夜勤明けの組合員、当日日勤の組合員、当日夜勤の組合員、それに休み番の組合員が午前11時に住まいの近くの公園に集結、ユニオンみえの仲間や全国ユニオン事務局長の関口さんらが駆け付け、ストライキの意義、第2次シャープ闘争が4年前の第1次闘争以上に困難な闘いになるが第1次闘争同様、ジャスティスのため、勝つまで闘うことを確認しあった。

 話の後、美味しいフィリピン料理がふるまわれ、英気を養った上で、デモの出発地・松阪駅に結集。

 

 午前中に名古屋でコミュニティ・ユニオンの催しに参加した名古屋ふれあいユニオンやきょうとユニオンなど各地のユニオンの仲間や社民党三重県連合の仲間も駆け付け、総勢120名が松阪市中心街をデモ行進した。

 デモでは、日本語とタガログ語でユニオンみえ・シャープピノイユニティは勝つまで闘う・ラバン!と皆で声を上げた。

 

 ユニオンみえはグローバル企業シャープとの闘いと位置づけ、8月に台湾で開催されるレイバーノーツアジアの集会にも闘争団を派遣し、アジア各地の労働組合との連帯の力でシャープ闘争を進めていく。

 

(ユニオンみえ)

 

最賃 > 「1500円」参院選の争点に院内集会で切実な発言

 6月6日、「最低賃金大幅引き上げキャンペーン委員会2019」がよびかけられた。同委員会は、全労協全国一般全国協、郵政産業労働者ユニオン、下町ユニオンが連絡先となり、昨秋から生協労連も正式に参加する、ナショナルセンターなど所属を超えた最賃大幅引き上げをめざす運動体だ。

 中央最賃審議会での地域別最賃審議や7月参院選を前に「最賃全国一律・いますぐ時給1000円。そして1500円に!」を政策課題、政治的テーマに押し上げようと集会を企画した。

 

 「東京、埼玉でチェーン展開するクリーニング会社で、時給が最賃水準のため同じ仕事をしているのに90円近く差があり、店舗間異動に際し退職してしまうケースもある」「生協では商品の値段は全国同じなのに賃金に地域間格差があるのはおかしい。最賃額で生協商品を購入すると、東京では朝食に7品買えるが、鹿児島では4品」と現場からの報告。

 政党からは、立憲民主党・初鹿明博衆議院議員、共産党・大門実紀史参院議員が駆けつけ、社会・経済政策として全国一律1500円の実現が訴えられた。

 

 同委員会は、中央審議会での「目安」審議や地方審議会での審議に合わせた運動展開をよびかけるとともに、参院選に際し各政党にアンケートを行う(FBなどで公表予定)。秋以降の全国的な運動展開も追求する。

 

岡本 哲文(下町ユニオン副運営委員長)

 

JAL > 大衆行動で解決迫る 株主総会でも訴え

 2010年日本航空の経営破綻に乗じて行われた165名のパイロットと客室乗務員の組合潰しの不当解雇事件については、昨年5月に日本航空から2020年の格安航空会社設立に伴い解決に向けた協議を開始すると説明され、労働組合からの要請により日本航空に対する抗議・宣伝行動を自粛して交渉の行方を見守ってきた。

 しかし、会社の対応は経験者再雇用や格安航空会社の募集に対する応募のみで、優先雇用や解決金など解決策は示されなかったために2月から行動を再開した。

 

 各駅・空港での宣伝行動を皮切りに4月にはJALプラザ前での4日間の座りこみ行動を行い、5月20日から30日はJAL争議の早期解決をめざす関東キャラバンがJAL中部共闘(東京中部地域で結成されているナショナルセンターの枠組みを超えた支援組織)を中心とした実行委員会の主催で行われた。

 のべ参加者数は1、000名を超え、配布したチラシは約11、050枚、要請には26団体に伺った。

 5月30日のJAL本社大包囲行動には約650名が結集、立った幟は約150本。皆で日本航空に「早期に解決せよ!」と怒りの声をぶつけた。

 

 私たちは各地でJAL争議をご自分の問題としてとらえ、連帯してくださる多くの支援者と出会い、そして共に行動することによって大きな勇気をいただき、支援と連帯の輪を確信することができた。

 6月10日、12日~14日にはJAL国民支援共闘による本社前での座り込み行動を行った。18日には株主総会があり、昨年誠心誠意話し合うとの植木会長回答を実現させるために、総会会場前での宣伝行動と総会での追及を行った。

 

 私たちの要求は希望者全員の職場復帰である。今後もJALを大きな世論と大衆運動で包囲し、争議団全員の納得のいく解決を決断させるまで戦っていく所存である。更なるご支援をお願いしたい。

 

鈴木 圭子(JAL不当解雇撤回争議団)

 

移住連など > 移住者と連帯するフォーラムに900人

 6月1~2日、「移住者と連帯する全国フォーラム・東京2019~出会う、感じる多民族・多文化共生社会いっしょに考え、ともにつくろう~」を開催しました。

 約20年ぶりの東京での全国フォーラム開催でしたが、全国フォーラム実行委員会とNPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)との共催企画は約900人もの参加者を迎え、盛況のうちに無事終えることができました。

 

 日本教育会館を会場に2日間にわたって開催されたフォーラムでは、1日目メインプログラムにサヘル・ローズさんと矢野デイビットさんをスピーカーに迎えダイアローグ「わたしたちはここにいる~多民族・多文化共生社会の今、そしてこれから~」を開催しました。

 その後、15の分科会に分かれて個別テーマでの報告と討論を行い、交流会も開催。2日目には、2019年4月施行の改定入管法に関連した「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」と共催団体である移住連が発表した「移民社会20の提案」に関する報告を行った後、「どうなる、どうする移民政策~移動、定住、永住する人々の視点から考える」と題し、すでに移民社会である日本に求められる移民政策について議論を行いました。

 

 今回のフォーラムの開催においては、まずは移民として日本で暮らすうえでの困難や多様な人々が共に生きることの素晴らしさ、より良い移民社会の実現に向けて「移民政策」を制定することの重要性を伝えることが目標の一つでした。

 参加された多くの方から「とても良かった」、「とても充実していた」といった感想をいただいたことを踏まえると、そうした重要性を少しでも共有できたのではないかと思います。

 また、登壇者も含め、若い世代や移民当事者の方々の参加が多く、多様な層の参加がえられたことも一つの成果でした。

 

 今回の全国フォーラムの開催により、改めて移民・外国人労働者の方々が直面する課題への認識の広がりを実感しました。こうした変化は、より多くの方々が議論や活動に参加するようになったという良い面があります。

 一方で、これまでの活動のなかでめざされてきた人権の視点に基づいた多民族・多文化共生社会の達成という目標を、そうした方々とどのように共有していくのかという課題も明らかになったと言えるかもしれません。

 

 これからも多様な人々と連帯を深め、ともに考え、一人ひとりを大切にする多民族・多文化共生社会の実現に向けて活動を進めていきます。

 

崔 洙連(全国フォーラム・東京2019実行委員会事務局)

 

 

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