たたかいの現場から

987号

ユナイテッド&メトロコマース > 司法は労働者差別するな 300人が怒りのデモ

 前面に「日本の裁判所に物申す!労働者への差別を許さない!」の横断幕。

 東京東部労組メトロコマース支部の4人は、忠臣蔵の討ち入り装束に身を包み白襟には「同一労働同一賃金」の文字が浮かぶ。

 

 10月18日、私たち全労ユナイテッド闘争団は東部労組のメトロコマース支部と共に、不当な差別や解雇を撤回させるため、合同の上野デモを行った。

 デモには300人の仲間が集まり、たくさんの組合旗を立てながら上野の町を行き交う日本人、外国人の方々に訴えることができた。

 

 私たちは、ユナイテッド航空(UA)に解雇されてから3年5ヵ月がたつ。不当解雇撤回を求める訴えは、3月28日、東京地裁により棄却された。

 UAと合併する前、コンチネンタル・ミクロネシア航空(CMI)によって解雇が行われたから、UAには法律上、何ら責任がない。CMIによる解雇は、整理解雇4要件に照らして有効だ、と判断したのだ。

 

 だが、CMIの親会社コンチネンタル航空(CO)がUAの親会社と合併したことで、COとCMIはUAグループの傘下に入った。

 UAの親会社はユナイテッドコンチネンタルホールディングス(UCH)と名称を変え内部の統合を進める一方、アメリカ本国で組織される客室乗務員組合(AFA)との間で、AFAに所属しない乗務員に大きな不利益を負わせる労働協約を締結した。

 そうした合併計画の中、全国一般・全労働者組合に加盟する組合員らが所属するCMI成田ベースだけ「解雇の必要性」が外形的に作り出され、CMIとUAの合併直前に解雇させたのが実態である。

 

 不当判決を覆すために、東京地裁の使用者性判断の誤りとUCHの存在、及びUCHとAFA間の労働協約の影響とUCHグループ全体を見渡した実態と事実から反論した内容の理由書を新弁護団と共に作り上げ、8月13日に高裁に提出した。

 10月11日、東京高裁で控訴審の第1回が開かれ、裁判長が、「一企業に日本の日本と外国の労働組合が存在する場合、組合間差別・不当労働行為はどうなるのか」、過去の判例・命令・文献を提出することを双方に求めた。さらに法人格濫用と否認に関しても適用範囲を踏まえたいと発言した。

 

 控訴審第2回は12月23日(月)15:30~東京高裁825号法廷。
 経団連は地裁でのユナイテッドの判例を「こうすれば解雇ができる」という解雇の指南書のごとく紹介している。

 私たちだけの問題ではなく、他の会社に追随させないためにも、新弁護団と共に解雇撤回、原職復帰を求めて闘う覚悟だ。

 

吉良 紀子(全労ユナイテッド闘争団)

 

NOVA > 講師の労働者性で組合勝訴 社保・有給休暇なしは違法

 戦後最悪の解雇と消費者問題を起こしたNOVAを買収したのが、現在のNOVAである。
 ところが近年、外国人講師らを従業員とせず、「独立自営業者」としてきたため、2016年に6人のゼネラルユニオン組合員が名古屋地裁で裁判を起こし、9月24日に「原告団は労働者」とする、以下の事実認定と判決が言い渡された。

 

 「自営業者」講師はNOVAの指揮監督下で働いていた。講師には、仕事の依頼・指示への諾否の自由がなかった。仕事(レッスン)の量にもとついて報酬が支払われていた。勤務地や時間に拘束があったとの事実認定を踏まえ、従って、6名の原告の労働者としての合法的権利である年次有給休暇取得権や健康保険加入の権利がNOVAによって侵害されたのだから、賠償されねばならないと命令した。

 被告は控訴したものの、年休分の賠償を履行させられた。

 

 ゼネラルユニオンは、大手から中小までの業界・大学・教委など語学産別に基盤を持つ労組として、今回の判決の影響に関心を持っている。

 NOVAのような偽装委託の手口によって、働く者の労働条件を改善しないことが、会社間の歪んだ競争に勝ち抜くための口実となっているのである。

 

 われわれは「独立自営業者契約」で、業界で最後に残ったGABA社において労働者の権利を勝ち取ることをめざすことになる。

 ここは、「委託は違法」としたゼネラルユニオンのホームページに対し5300万円の損賠訴訟をし、会社敗訴になり、ニチイ学館に買収される、という変遷があった。その後も講師全員が委託だったのだが、今回のCoco塾閉鎖でGABAに引き取る講師スタッフは正社員=雇用となったため、「同じ仕事と場所で、雇用と『独立自営業者』が一緒に働く」という珍現象も始まっている。

 

(ゼネラルユニオンNOVA支部)

 

コミュニティユニオン > 姫路で全国交流集会 一人の声にみんな駆けつけ

 第31回コミュニティ・ユニオン全国交流集会が10月5日~6日、姫路市内で開かれ、536人と過去最大の参加で大成功を収めた。
 集会に向けた兵庫県での取り組みを中心に報告したい。

 

 兵庫県での全国交流集会は今回が2回目だった。前回は阪神淡路大震災の翌年、まだ仮設住宅が建ち並び震災の傷跡の残る1996年秋、第8回集会を神戸市で開催し、「被災労働者ユニオン」結成など全国ネットとして取り組んだ成果を確認し合った。これを機に、ユニオン運動が兵庫全県下に広がった。

 

 今回、全国交流集会を兵庫県で受け入れるにあたり、兵庫はもちろん全国のユニオンの仲間に元気がでる集会めざすことを基本に、1.450人以Lの集会、2.地域ユニオンと自治労臨時職員評議会で構成する兵庫県パート・ユニオンネットワークの闘いの紹介、3.憲法改悪問題を考える企画、4.魅力ある全員参加のレセプション、などを課題に準備を進めた。

 

 集会に向け、武庫川ユニオンサンシン部会の猛練習。県ネットの韓国のダンス「カジヨ」の特訓。
 参加者の度肝を抜いたステージバックの制作には多くの組合員が参加した。

 

 集会は松元ヒロ「憲法くん」のソロライブ。

 “どこかで誰かが声をあげれば、みんなで駆けつける闘うネットワークを!”が生まれた「兵庫県パート・ユニオンネットワークのあゆみ」を映像での紹介。

 夜のレセプションは、各ユニオンの入場行進にはじまり、サンシンライブ、ダンス「カジヨ」、インタナショナル全員合唱は年齢構成もあり異様な熱気に。

 韓国非正規労働団体ネットワークの参加は集会に厚み生み出した。

 最後に全日建関西生コン支部への大弾圧を許さない特別アピールと集会宣言を採択した。

 

小西 純一郎(武庫川ユニオン副委員長)

 

香港連帯 > 自由のための闘い 私たちも共に

 中国では建国を祝う国慶節の10月1日、香港市民は一国二制度の危機だとして何度目かの大規模デモで抗議した。

 警察が香港市民に向けて実弾を投げ込んだこの日、都内・新宿の駅前では、民主化を求めて抗議のデモを続ける香港の労働者や市民と連帯するヒューマンチェーンの行動があった。

 

 行動には、東京の大学に留学中の香港の学生や口本在住の香港市民も参加。

 学生の一人は「日本のみなさんが、香港の人たちへ思いを馳せるだけでありがたい」と発言。

 参加者は手をつなぎ、香港市民が団結を表して抗議集会などで歌う『香港に栄光あれ!』を合唱した。

 電柱には、逃亡犯条例の改訂草案に抗議してビルから転落した男性を追悼し、黄色のレインコートも掲げられた。

 

 日本の参加者からは香港の市民と連帯する声明なども紹介され、ともに香港にいる家族や友人たちへ心を向けて、自由のための闘いを遠くから支えた。

 

松元 千枝(team rodojoho)

 

関生弾圧 > 「組合活動を司法が禁止」 院内集会で不当性訴え

 10月10日参議院議員会館で「関西生コンを支援する会」主催による「関西生コン事件―もうひとつの問題点を考える『組合活動を禁止する裁判所』」院内集会が開かれ、100名以上の超満員の中、まったく組合活動ができないと太田健義・宮里邦雄・内田雅敏・海渡雄一の各弁護士と佐高信さんが厳しく司法の不当性を訴えた。

 

 この1年間で述べ79人が逮捕され、未だ5人が拘留されている。

 特に京都地裁は委員長と副委員長に次々と新たな刑事事件を起訴・継続し続け、保釈を認めていない。さらには保釈された場合でも、仲間同士で会ってはいけない、電話もダメ、組合事務所は立入禁止と、まったく組合活動をさせない。

 

 「団結権は踏みにじられている。裁判所もこの弾圧に加担しているのではないか!」と宮里弁護士は強く批判した。

 これらは前代未聞であり、司法にここまで弾圧させるゼネコンと国家権力の、どうしても関生をつぶしたいという意図が見て取れる。

 

 集会では、この報告を受け全港湾、全国一般全国協、全国ユニオン、静岡平和運動センター、国労本部からそれぞれ全力で支援するとのあいさつを受けた。

 

 また福山平和フォーラム共同代表から「この弾圧は闘う労働組合つぶしであると同時に、ゼネコンのコストカットに反対する協同組合運動への弾圧でもある。この刑事弾圧・司法の横暴をつぶさないと労働運動は終わりかねない」との提起があり、「1.支援する会の拡大・強化、2.全国各地域での支援組織結成。3.国会議員や関係組織当への訴えかけを強化し政治化を図る、4.保釈金などのカンパ拡大、5.11・1東京集会、11・16大阪集会の成功」が訴えられた。

 

 最後に菊池全日建委員長の「長期拘留をはね返し、5名の仲間の早期奪還、関生支部刑事弾圧に全労働者の力で勝利しよう」との団結ガンバローで集会を終えた。

 

 各労組からも提起があったが、国鉄の分割民営化と国労解体攻撃に対しては「国家的不当労働行為」として全国で支援が沸き上がった。
 関生弾圧でもあの支援を超える運動が必要とされている。

 さらには国鉄闘争で全国の労働委員会は相次いで救済命令を発したが、司法はそれを覆した経緯を想起する。

 関生に対するこの刑事弾圧で司法をここまで操る勢力は何なのか解明する努力も必要だ。

 

水谷 研次(team rodojoho)

 

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