たたかいの現場から

988号

長崎 〉性暴力許さない フラワーデモとシンポ

 長崎市幹部から性暴力を受けた女性記者が市に謝罪と賠償を求める裁判の第3回公判が11月18日長崎地裁で開かれるにあたり、事件の被害当事者を全面的に支援する新聞労連が同市長と市議会に対して抗議した。

 

 新聞労連と「長崎市幹部による性暴力被害者を支える会」が共催するフラワーデモが行われた。

 前日には、労連主催のシンポジウム「#MeTooメディア 私たちは変われるか」が開催され、100人以上が参加。メディア業界における性暴力やセクシュアルハラスメントについて、作家の北原みのりさんらが登壇して議論した。

 

 市や市議会への抗議文は、被害に遭った記者の名誉回復に向けて具体的な対応を求める内容で、労連の特別中央執行委員が人事課長や議会事務局長に対して、読み上げて手渡した。

 人事課長に対しては、組合員が直接、被害に遭った女性記者に対する市長の姿勢や調査内容について問いただした。

 

 フラワーデモには市民や組合員ら約70人が参加。神奈川新聞記者の松島佳子・特別中央執行委員は、業務の一環のようにして性被害に耐えることを求められてきた女性記者の状況を告発し、性被害の根絶に向けてさらなる連帯を求めた。

 また、参加者が原告の女性記者のメッセージを代読し、「裁判の中で、これ以上、私を侮辱しないということを望んでいます」と訴えた。

 

 シンポジウムでは、パネリストで原告代理人の中野麻美弁護士が、「女性記者に対する性暴力は報道の萎縮につながるため、報道の自由を侵害する民主主義の問題として考えるべきだと主張。

 さらに「ハラスメントの撲滅は平和と民主主義の不可分な課題であり、長崎市が平和を求める町であるなら一日も早く解決のための努力をするべき」だと訴えた。

 

松元 千枝/吉永 磨美(team rodojoho)

 

佐野SA〉「ストは働く人の武器」 ネクスコの関与、焦点に

 8~9月のストライキで注目を集めた佐野サービスエリア(佐野SA)で11月8日、再びストライキが行われた。

 

 当初のストは、運営会社ケイセイ・フーズの信用不安から取引先が納品を絞り、売店の営業が困難に陥ったのが発端だ。

 代金を前払いすることで仕入れを確保しようとした加藤正樹総務部長(当時)に岸敏夫社長(当時)が反発。加藤氏を解雇したことに対し、従業員が組合を結成し加藤氏の解雇撤回等を求めてストを打った(加藤氏は昨年10月から組合執行委員長)。

 

 会社はスト破りも試みたが組合員らが頑張り、9月22日に職場に戻り24日から通常営業を再開。社長は岸氏から福田紳一氏(栃木県佐野市で建設会社を経営)に交代した。

 一件落着にも見えたが、10月31日の団交で会社は「加藤氏が会社を辞めなければ、組合役員を相手にストの損害賠償を求める訴訟を起こす」と桐喝。11月6日には加藤氏に自宅待機を命じた。

 こうした攻撃をはね返し安心して働ける職場にするため、11月8日、20人の組合員らはレストラン限定の時限スト(午前7時から1時間)に立った。

 

 東北道を管理するネクスコ東日本が、来年3月末で切れるケイセイ・フーズとの契約を更新するかどうかは不透明だ。

 組合はケイセイ・フーズへの指導と再契約をネクスコに求めると同時に、それがかなわずSAの運営委託先を変える場合には、今の従業員の雇用を新会社に引き継がせるよう求めている。

 

 加藤さんは「雇用を守る事が組合の最大の要求です。スト前は100人いた従業員は約20人減りました。台風19号の被災で9人は出勤できずもう限界です」と苦境を訴える。

 

 同組合は当初、連合栃木に相談していたが未加盟。連合栃木は関与を終え、かわりに勝手連的な支援が拡がっている。

 加藤さんは「子どものころ、国鉄のストを見て過激だなと眉をひそめていた。これまで労働運動とは無縁の生活を送っていたが、たまたま、全株支配するワンマン社長のブラック企業に入社してしまった。実際問題として、働く人の武器があまりに少ない」と話している。

 

(編集部)

 

北九州 〉健康食品のコスモプラス 暴力と借金潰けの経営告発

 健康食品販販売のコスモプラス(本社・福岡市)で、営業職として勤務してきたSさんは、長年にわたる会長・社長からのパワハラを受けた結果、うつ状態となり自殺まで考えるようになり、ユニオン北九州に駆け込んだ。

 

 コスモプラスが営業社員に強いてきた現実は驚くべきものであった。

 営業ノルマを達成するよう店長らに強要し、それができない社員に対しては、毎月の営業会議で、暴力を含めたつるし上げが見せしめ的に行われる。

 それを避けようと、店長らは架空の売り上げを計上し、売上の辻褄を合わせるために銀行や消費者金融等への借金を重ねる。

 「商品代」等の名目で、毎月の給与から10万近い金額が差し引かれ続ける。

 

 Sさんは、ふくれあがる借金返済の中で、銀行や消費者金融だけではなく、実家からも借金し家族にも迷惑をかけることとなった。

 

 また店長は、毎日3回売掛金の回収状況を本社に報告する義務が課せられ、川島会長からは「目標達成」「達成できないものは自弁」「休日返上せよ」等、自筆で書かれたファックスが各営業所に連日送られていた。

 

 組合は、Sさんの治療が先決であるとして病気休職を申請し、会社との交渉に取り組んだ。

 また、新卒から入社して、20年以上にわたって受けてきた管理職らの暴力・暴言への慰謝と、賃金からの一方的控除の返還、残業未払い賃金を求めて裁判への準備を進めた。

 

 準備を進める中で、元熊本営業所の責任者と、元宮崎営業所の責任者たちがユニオンに加入した。彼らも、いずれも架空売上を強要され借金を重ね、退職後も会社から損害賠償を請求されたり、刑事告訴されそうになった。

 

 2019年8月、ようやく福岡地裁小倉支部に提訴し、Sさんと元宮崎の責任者Uさんの裁判闘争を開始した。裁判と並行して団体交渉も再開し、本社に対する抗議行動も取り組んでいく。

 社員を搾取するブラック企業を許さず、解決を勝ち取っていきたい。

 

末永 弘美(全国一般ユニオン北九州)

 

関生弾圧〉大阪府労委が救済命令 広域協主導の排除に風穴

 関西生コン弾圧事件の流れが変わり始めた。
 そのひとつは10月21日、株式会社徳島という大阪市内の生コン輸送会社の不当労働行為事件で、大阪府労働委員会が組合勝利の救済命令を下したことだ。

 

 徳島は大阪広域生コンクリート協同組合(大阪広域協組)のいくつかの生コン工場の輸送業務を請負っているが、実態は常用雇用の運転手たちに日雇い手帳を持たせていた。

 3年前に関西地区生コン支部の分会が結成され、労働条件改善交渉がすすんでいたが、昨年(2018年)3月以降、大阪広域協組の「関生支部排除」方針に従って、関生支部の日々雇用労働者を就労させず、団体交渉も拒否に転じていた。

 

 大阪府労委は、これら会社の行為を労働組合法7条1ないし3号違反の不当労働行為と認定。① 組合員2名を雇用、就労させること、② 就労させるまで賃金相当額5割の支払い、③ 団交応諾、④ ポストノーチスを命じた。

 同様の不当労働行為事件は徳島以外にも10数件にのぼり、年末から年明けにかけて順次命令が下される見込み。

 府労委命令は徳島1社にとどまらず、大阪広域協組が主導してきた「関生支部排除」という大がかりな不当労働行為政策に風穴をあける一撃という意義をもつ。

 

 ふたつめは11月7日、大阪府豊中市の木村真市議ほか、粟原富夫(神戸市議)、井奥雅樹(高砂市議)、大島淡紅子(宝塚市議)ら近畿圏の市議12人が呼びかけた、「民主主義の危機です!連帯ユニオン関生支部への大弾圧に反対する自治体議員の声明」が発表されたことだ。

 北海道から鹿児島まで26都道府県の府県議9人、市区町議112人が賛同(11月2日の時点)。現在も賛同人がふえていて、翌日の朝日新聞(大阪版)は声明の内容と記者会見の様子を大きく取り上げた。京都新聞も同様の記事を書いている。

 弾圧事件を批判的に扱った報道が主要紙に掲載されたのはおそらく初めて。

 

 だが、こうした変化をぶち壊すかのように11月14日、18回目の逮捕劇がおきた。それに対し11月16日、「声を上げよう!弾圧許すな!11・16全国集会」が大阪で開かれた。

 平和フォーラム共同代表の藤本泰成さん、甲南大学名誉教授の熊沢誠さん、ジャーナリストの竹信三恵子さんらが呼びかけた実行委員会が主催して1200人が参
加。沖縄平和運動センター議長の山城博治さんらが熱烈に連帯を訴え、市内をデモ行進した。

 

*ポストノーティス

 不当労働行為について労働委員会が発する付加的救済命令。 本来の救済内容を記した命令書または労働委員会が命じる趣旨の文章 (不当労働行為の事実を認め,かつ今後そのような行為をしないとの意を述べた陳謝文的内容) を労働委員会の指定する場所に掲示するよう使用者に命じる。

 

小谷 野毅(全日建運輸連帯労働組合書記長)

 

武器見本市 〉「武器よさらば」 アートフエスでアピール

 11月2日、JR海浜幕張駅すぐの広場で私たち「安保関連法に反対するママの会@ちば」と「幕張メッセでの武器見本市に反対する会」が主催するイベント「武器よさらばアートフェス」が開催された。

 

 千葉県が所有する幕張メッセでは1昨年から国際的な武器見MAST Asiaが2度も開かれ、11月には大規模なDSEI JAPAN予定されている。
 私たちは様々な抗議行動を行ってきているが、このアートフェスもその一つである。

 

 いかに人を合理的に殺傷できるか、その最新技術を発表し売り込む、そんな悪魔の所業が武器見本市である。「人」であれば誰しもが嫌悪感を抱くであろうこの「死の商談会」であるが、必ずしも抗議の声は高まっていない。

 悪政に枚挙の暇が無い安倍政権への怒りの声が大きくならないのと同根であろう。

 

 そこで私たちは抗議の方法を変えて見ることにした。拳を突き上げず、歌やダンス、図画などのパフォーマンスを広場で行い、たまたま通りかかった人たちに足をとめてもらい、私たちの平和への思いを伝えようとの試みである。今年6月についで今回が2回目であった。

 

 10時半のオープニングはすみや信一さんの歌から。このフェスのためのオリジナル「武器より花を」を始め、「We Shall Overcome」などの皆が口ずさめる反戦歌も。

 ジョニーHさん、右田春男さんの一人芝居と続き、午後にはコーラス、紙芝居、宗教者の皆さんの読経、朗読、賛美歌、祈りがあり、広場の空気は一層深さを増す。終盤、大熊啓さんファミリーの歌声は広場の人を魅了した。

 

 マイクパフォーマンスの横では白い布に自由に絵を描き、平和のメッセージを書き込んでもらう横断幕作成コーナーもあり、散歩中の親子連れや外国の方の姿もあった。

 

 11月18日、DSEIの開催当日、会場のメッセ前で私たちは大抗議アピールを行う。こちらはガッツリ拳と声をあげる抗議(もちろん非暴力で)だ。

 硬軟それぞれの方法で戦争への足音を止める。ここから止める。

 

(安保関連法案に反対するママの会@ちば)

 

幼保でも差別 〉ユチバン(幼稚園)大好き、朝鮮外しNO!と集会

 11月2日、東京・日比谷野音は怒りと高揚感にあふれた。「朝鮮幼稚園はずしにNO! すべての幼児に教育・保育の権利を!」集会・パレードには5500名が参集した。

 平和フォーラムも主催団体の一つだったが、教組、自治労や朝鮮学校支援に取り組んでいる各地の日本人は全体の一割程度で、参加者の多くが若い在日の皆さんだった。

 

 外国人幼児教育機関は全国に約90ヵ所余りがあるが、その半分40ヵ所余りが朝鮮学校の付属施設で明確な理由もなく無償化対象から外された。

 無償化財源は国籍の区別なく徴収される消費税引き上げ分を充当しているが、ここでも権利は剥奪された。

 

 抱っこ紐を着けて壇上に上がった母親は「子どもたちが自身に対して自信と誇りを持って生活できるよう声を上げると誓う」と訴えた。

 

 理不尽な差別政策に抗議する声は拡がっている。集会には立民・共産・社民の国会議員に加え、「日朝友好促進東京都議員連絡会」共同代表の公明党区議も参加し、元文科省大臣官房審議官の寺脇研さんらを含め朝鮮幼稚園外しの不当性を強く指摘した。

 

 集会ではBGMに合わせ朝鮮幼稚園の園児たちが人気のキャラクターと登場する場面もあった。小さな手でマイクを持ち「私たちはユチバン(幼稚園)が大好きです」と一生懸命に話す園児らへ、会場からは大きな拍手があがり、園児たちとキャラクターたちによる歌と踊りが披露された。

 

 集会後、参加者たちは「子どもたちの教育を受ける権利を奪うな」と叫んで力強く行進した。

 一部の参加者は、朝鮮学校の幼稚園の子供たちが小さな手で描いた絵の横断幕を掲げた。「友達を仲間はずれにしてはならない」と書かれた横断幕を持った人もいた。

 

水谷 研次(team rodojoho)

 

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