たたかいの現場から

991号

関生弾圧〉国際人権法等から反攻の糸ロ探る

 「検証シンポジウム『関西生コン事件』を考える」が、2月16日、大阪・阿倍野市民学習センターで開催された(15日には東京で開催)。

 定員150人の会場はすぐに満席になり、70名以上の方が入れなかった。

 

 シンポジウムでは、海渡雄一弁護士がコーディネーターを務め、3人のシンポジストがそれぞれの専門性に基づき関西生コン事件の捉え方、弾圧を跳ね返す方向性を提示した。

 

 労働法学専門の吉田美喜夫立命館大学名誉教授は、「本来、労働争議において刑事・民事免責は当然。にもかかわらず中立を守るべき国家権力が刑罰権を行使して介入してきている」と本件の基本的な問題点を確認された。

 企業別労組中心、ユニオンショップ協定の拡大、非正規労働者を組織化しない労働運動の在り方が、労働組合の組織率・ストライキの低下を招き、原則的な労働運動を実行しているに過ぎない関西生コン支部の運動が目立つ、国家のターゲットになっていると指摘した。

 

 申惠丰(シンヘボン)青山学院大学教授は、国際人権法の視点から見ても本件が、「労働基本権の侵害」と「認められた人権(この場合、労働基本権)の行使を理由とする恣意的拘禁」の双方で重大な権利侵害に該当していると、参加者に新しい視点を示してくれた。

 

 日本も批准しているILO87号条約(結社の自由及び団結権の保護)にもとづく委員会の先例法理では、「労働組合活動を行ったことに対する労働組合指導者や構成員の拘禁は結社の自由の原則に反する」と確定している。

 国連人権理事会内に「恣意的拘禁作業部会」があり、個人通報制度もあるので、入管に長期勾留されている外国人や精神障害者等への拘束問題とともに、関西生コン事件の長期勾留についてもアプローチしていくと良いだろうと提案した。

 

 ジャーナリストの竹信三恵子さんからは、当初、本件に関し警察発表そのままの報道を行っていたメディアが、どんな「事情」を抱えていたのか説明があり、本件を刑事事件として扱うのではなく、「労働基本権の側から取材して欲しい」とユーザーの声をメディアに上げていこうと呼びかけられた。

 

 SNS上で「関生」と検索をかけると、「反社会勢力」という言葉が目につき、デマとヘイト記事がずらりと並ぶ。ネット情報空間によって醸成されたこの空気を変えていくことが急務だ。

 

 弾圧に立ち向かう具体的な提起がされたシンポジウムだった。支援の輪も全国に広がり始めた。ありとあらゆる方向から、このすさまじい労働組合弾圧をはね返そう。

 

大椿 裕子(大阪教育合同労働組合執行委員)

 

タクシー協組〉「笑顔あふれる職場に」再雇用条件めぐりスト

 全国一般東京東部労組個人タクシー協同組合世田谷第三職員支部に加入する女性職員2人が定年再雇用時の労働条件と不当労働行為の責任追及をめぐり使用者側と闘っている。

 

 2人は、東京・世田谷の個人タクシー乗務員でつくる東京都個人タクシー協同組合世田谷第三支部に雇用されている事務職員。使用者のパワハラに対抗すべく昨年5月に東部労組の支部として労働組合を立ち上げた。

 

 使用者側は2人に「労組に入って顔つきが変わった」「労組なしで話し合いはできないか」などと、労組からの脱退を強要する不当労働行為を仕掛けてきた。

 謝罪と再発防止を求める2人に「表現の自由だ」と居直っている。

 

 また、職員支部の朝貝委員長が今年3月に60歳の定年再雇用を迎えるにあたって、使用者は労働日を週5日から3日に減らして手当もカットし、賃金は現在の半額にするという極めて不当な条件を設定した。

 

 これらに対して2人は今年1月8日、初めてのストライキを決行した。

 ストライキ通告後、事務所のドアを開けると東部労組各支部や友好労組から約70人の仲間が支援に駆けつけていた。

 

 2人は「外に出た時のみなさんの顔を見た時、本当に心強かった。時々くじけそうになるが、労働者の生活を守るための労働条件を勝ち取りたい」「こんなに多くの人たちが来てくれて胸がいっぱいです。力がわいた」と話した。

 

 ストライキ後、使用者側は再雇用の賃金を若干上乗せする譲歩案を示してきたが、まだまだ生活できる水準ではないとして、2人は同2月3日に銀座でのアピール行動を実施した。
 当日は、使用者が上部団体の「賀詞交換会」に出席するとのことで、会場である銀座東武ホテル前でプラカードや横断幕を掲げた。

 使用者がホテルに入ろうとしたところを約70人の参加者全体で「不当労働行為を謝罪しろ!」「使用者は法律を守れ!」と抗議の声を浴びせた。

 

 職員2人は「笑いがあふれる元の職場を取り戻したい。そのために私たちは踏まれても踏まれても闘っていく」との決意だ。

 

須田 光照(全国一般東京東部労働組合書記長)

 

ブルームバーグ〉ストライキ権確立しパワハラPIPと闘う

 私は現在、ブルームバーグという外資系企業にてPIPという一種のパワハラと戦っております。

 PIPとは社員の能力を開発するプログラムという名目を掲げつつ、その実情は達成困難な目標を社員に与え、それを達成できないことを口実に会社を辞めさせるというものです。

 

 中間期のパフォーマンスに関する面談で、何の前触れもなくPIPを告げられました。

 理由を記載した文書には、いかに私のパフォーマンスが悪かったかという記載が2ページにわたりありました。

 内容の乏しさ、良くなかった出来事を私の落ち度にこじつける稚拙な内容に、驚
きと共になぜか笑いが込み上げてきた記憶があります。その社員が気に入らないだけであり、パフォーマンスに問題などないのでしよう。

 

 このPIPというものの一番恐ろしい部分は対象者を精神的、肉体的に徹底的に追い詰めるその手法にあります。

 PIPでメンタル不調にし、休職してまた復帰しても、同様のPIPを課すという“終わりなき拷問”です。

 

 先日会社と第1回の団交を行いましたが、そこでの会社側の対応も到底納得のいくようなものではありませんでした。

 人を人とも思わない発言、全く裏付けのない理由をもとにした反論、でっちあげた嘘、挙句は私の名前も何度間違えて呼ばれたかわかりません。暖簾に腕押しとはまさにこのことで、全く議論になりませんでした。

 1人の社員を大切に思う会社の対応とは思えませんでした。

 

 またこの団交の前段階にて、組合の皆様の力をお借りし、ストライキ権を確立しておりました。スト権は組合員が会社と対等に戦うための大きな武器であり、たとえ行使をしなくても、心の支えになり、会社側には有効なプレッシャーになりえま
す。

 私はこのスト権を含め、ありとあらゆる合法的な手段で会社と戦っていきます。

 

 組合の皆様、弁護士の先生は私が初めて相談にうかがった際、見ず知らずの私の相談を親身になって聞いてくれました。
 その方々と共に、私と同じようなことで苦しんでいる方々のためにも戦い続けます。

 

(新聞通信合同ユニオン組合員 K・K)

 

草の根の力で労働運動に運動を取り戻す
 ~組合員を増やす・仲間を作る参加型ワークショップへのお誘い~

 労働組合の大切さは実感していて、仲間をもっと増やしたい!そう思いつつも、職場で声をかけるのはちょっと苦手。あるいは、同僚を誘ったら「組合はちょっと……」と嫌がられてしまった一。そんな経験ありませんか。

 労働組合の中であっても、いつも同じメンバーしか会議や集会に参加してくれないといった悩みもあるかもしれません。

 労働者には、数の力が必要です。職場で仲間を増やすことで声を響かせることができ、職場の問題を一つずつ改善していくことができます。

 

 トラブルメーカーズスクールは、そんな悩みを共有し、お互いの経験から学び合う場です。

 私たち一人ひとりが力をつけて、どうやったら職場でプチ勝利を増やしていけるか、労組や職域を超えてみんなで考えてみませんか。

 

 今回のトラブルメーカーズスクール大阪・東京では、労働運動活動家養成や組合の民主化を進めつつ、協同組合についても研究してきたマット・ノイズさんを招いてワークショップを開きます。

 

大阪スクール 3月28日(土)9:00~17:00 エルおおさか本館708
東京スクール 3月29日(日)9:00~17:00 法政大学大内山校舎Y701~704教室

 

 主催実行委(共催法政大学フェアレイバー研究所)
 3000円(ただし、失業者・非正規労働者は1500円)
 Eメール troublemakers.japan@gmail.com


※申込みの際には、

 ①東京・大阪のどちらに参加するか、②氏名、③所属組合・団体組織名と職場(あれば)、④正規・非正規・失業中のいずれか、⑤連絡先(実行委員会からの案内を送るメールアドレス、当日連絡のつく電話番号)をご記入下さい。

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