たたかいの現場から

994号

定年後賃下げ〉タクシー組合の職員 無期限ストで勝利

 全国一般東京東部労組個人タクシー協同組合世田谷第三職員支部の闘いで、職員に不当の限りを尽くしてきた使用者を職場から放逐し、新たに就任した使用者との交渉で職員の要求が認められたため、労組は5月11日、合意書に調印した。

 

 この争議は、朝貝支部委員長の今年3月からの定年再雇用をめぐり使用者側が一方的に勤務日を週3日に減らし半額の賃金でしか雇わないという不当な条件を押しつけてきたことや、組合員への不当労働行為に使用者が一向に反省を示さないことなどから勃発した。

 同支部の職員2人は「生活できる再雇用条件を示せ」などの要求を掲げ、時限ストライキや抗議行動などを闘い、3月5日からは無期限ストライキに突入していた。

 

 こうした闘いの中で、2人が雇用されている東京都個人タクシー協同組合世田谷第三支部で役員選挙が5月上旬に行われ、使用者側の全員が立候補を断念せざるをえないという事態に追い込まれた。

 パワハラや不当労働行為をくり返してきた悪らつな使用者たちが総退陣し、職場
から放逐されたのである。

 

 そこで職員2人は新たに就任した使用者とただちに交渉し、主に以下の内容で合意に達した。

 

1、使用者は、朝貝支部委員長の定年再雇用について、週3日勤務・賃金半額という雇用条件を全面的に撤回し、週5日勤務・現状の賃金の8割6分相当で雇用契約を締結する。賞与についても従来の7割相当を支給する。

 

2、使用者は、朝貝支部委員長に対して通告した懲戒処分を全面的に撤回し、その旨を事務所内に掲示する。

 

3、使用者は、朝貝支部委員長に対して退職金を10%削減した行為は不当なものであると認めて全面的に撤回し、速やかに減額分を支給する。

 

4、使用者は、組合員に対して行った言動が不当労働行為であったと認め、その言動を撤回するとともに遺憾の意を表明し、今後は使用者としてそのような行為がないよう努める。

 

 生活できる定年再雇用の条件を勝ち取り、使用者による不当な懲戒処分や退職金削減、不当労働行為の言動もすべて撤回させることができた。

 これらの合意を受けて、職員2人は67日間に及んだ無期限ストライキを解除し、5月11日の始業時間から就労に復帰した。

 

 無期限ストライキをはじめとする労働者の団結と闘いによる勝利である。支援カンパを寄せてくれたみなさん、抗議行動に参加してくれたみなさん、本当にありがとうございました!

 

須田 光照(全国一般東京東部労働組合)

 

介護崩壊〉特養でクララスター発生 下町ユニオンが江東区交渉

 4月25日、江東区の北砂ホーム(特養)の入居者9名が新型コロナウィルス陽性者となった。

 5月7日には入所者36名、ショートステイ4名、職員6名と地域にまで感染が拡大。

 5月14日、下町ユニオンは山崎孝明区長宛に「新型コロナウィルス感染対策の緊急の要請」を提出し緊急要請を行った。

 

 ユニオンからは6名、区は福祉部長、福祉課長、長寿応援課長、地域ケア推進課長の4名で交渉。

 区は介護事業所にマスクと防護服を一部事業所に配布したが、今後の支援は未定。

 組合員は「北砂ホームはあそか会という大きい法人だからクラスター対応ができている。だが職員は感染の恐怖のなかにいる。自宅待機の職員も多く限られた人数で業務を回している」と訴え、区の支援が不可欠だが情報共有体制もないと危機感を伝えた。

 

 加瀬純二事務局長は、他の自治体の例を伝え人材確保や今後の対策を尋ねるも、福祉部長は「感染者のことはケアマネジャーが一番知っているから任せている。検査や感染者対応は保健所なので福祉課はわからない」と返答。明確な方針を示さなかった。

 

 加瀬事務局長は「介護保険で介護は『社会化」でなく『市場化』になった。自治体は現場をもたないから、全く危機感がない」と憤る。

 5月15日、北砂ホームのクラスターは入所者40名、ショートステイ利用者4名、職員7名に拡大した。

 

白崎 朝子(介護福祉士・ライター

 

コロナ病棟〉危険手当まで非正規差別 松井大阪市長に改善迫る

 コロナ問題での生活保障に関する大阪市役所前座り込み行動の5回目が行われた。

 参加者が要請のため市役所に入ると、松井一郎市長のぶら下がり会見と遭遇。新型コロナ感染症患者を受け入れている十三市民病院で働く委託労働者が防護資材の不足や危険手当について質し、松井市長が「マスクは送ってる」「(カッパでも)ないよりましやろ」と言い返した後、市職員に先導されてその場を離れた。

 

 行動に参加した委託労働者の手記を掲載します(編集部)。

 

* * * * * *

 

 大阪市では、維新の会の松井市長が「病院でコロナ治療のための防護服が買えないから、雨合羽とポンチョを送ってほしい」とTVで呼びかけた。

 十三市民病院で働く私は、何かの冗談と思いたかったが、次の日のニュースでは雨合羽が1万枚も集まっていると聞き意識を失いかけた。

 

 松井市長と同じ維新の会の吉村洋文大阪府知事は十三市民病院をコロナ指定病院に決めた。
 現場には一切話がなかった。
 コロナ専門の病院にするなら、医師が100人くらい必要らしい。だが当院では、看護師とほんの一部の人たちだけが市の「職員」で、残りの清掃、滅菌、警備、ポーター、受付などの従業員は委託会社の契約社員や派遣社員だ。「仕事がなくな
るんじゃないか」と不安で、毎日その話をしている。

 

 私のチームは正社員、契約社員、パート、派遣で計16人。なのに配給されるマスクは1週間100枚だ。

 16人×2交代1132枚(1日)。×5日11160枚(1週間)。1日1枚確保するには60枚足りない。

 

 私は手術室で使用した手術器具を受け取る仕事なので、マスクは「特別」に1日2枚。その他のスタッフは1枚だ。

 朝礼でマスクを求めて食い下がる私に笑いながら、上司は「あのね~マスクしていても感染するよ」と言った。上司の顔が、安倍首相とダブって見えた。

 

 私は毎日の通勤と外来診察室への入室でストレスがMAXだが委託労働者には危険手当は払われていない。

 政府は、医療スタッフに対する敬意を持ち、最大限の支援をすべきだ。

 

加藤 蘭(十三市民病院〈大阪〉労働者)

 

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