たたかいの現場から

997+8号

関西生コン弾圧〉武委員長ら意見陳述  国賠訴訟で反撃開始

 関西生コン支部弾圧を裁く国家賠償請求訴訟の第1回口頭弁論が8月21日、東京地裁103号法廷で開かれた。

 

 コロナ禍のため93名の定員に対し傍聴できたのは31名。前澤達郎裁判長以下、実本滋、浅井彩香裁判官の指揮で開廷。武委員長はじめ5名の原告全員の意見陳述が行われた。

 

 T書記次長は保釈後も人権侵害、団結権、勤労権が侵されている実態を整然と陳述。

 全日建連帯の菊池委員長は今回の弾圧が関生支部を反社会的勢力と同等に見なして行われていることなどを説明した。

 

 武委員長は関生の運動の歴史を語り、弾圧を受けながらも産業横断的な労働条件の前進を実現していることを述べた上で、こんな弾圧が許されるなら憲法28条は無きに等しい、裁判官には公正な判断をしてもらいたいと力強く訴えた。

 

 湯川副委員長、西山執行委員も裁判所に対する不信感などを訴えた。

 最後に海渡弁護士がまとめ的な陳述をしたのち今後の進行について協議した。

 

 被告の滋賀県、京都府、和歌山県は京都地裁への移送を求めたが原告側は反対。前澤裁判長は、東京地裁で審理することを前提に、「今後半年に1度ぐらいは口頭弁論を入れ、その間は弁論準備などをWEB上で進めてはどうか」と双方に提案した。

 次回期日は未定。

 

瀧 秀樹(労働情報事務局長)

 

「土風炉」のラムラ〉感染リスク下の出勤命令  無期限ストで対抗

 8月5日、「土風炉」「鳥元」などのブランドで首都圏中心に飲食店を運営する「ラムラ」の店舗に調理師として20年来勤務する、全国一般東京東部労組ジヤパンユニオン支部の長澤伸彦組合員が、糖尿病の基礎疾患を抱えながら新型コロナウイルス感染リスクを回避し、会社に対し休業・自宅待機を要求するため、ストライキを通告、争議状態に入った。

 

 長澤さんはラムラに入社以来、同社運営店舗で調理師(現在は料理長)として働いてきた。その間、糖尿病を患い、現在まで通院治療を続けている。

 

 新型コロナの感染リスクが高いため会社に対し休業・自宅待機を何度も求めてきたが、会社は休業・自宅待機を一切認めなかった。
 やむなく休業・自宅待機を継続したが有給休暇も使い果たし、7月から完全な欠勤状態に。

 

 出勤命令が頻繁に下され、新店舗への配属命令が下された。長澤さんは意を決し、ストライキという選択肢を採るに至った。

 

 新店舗配属初日の8月5日午前中、同日始業時をもってストライキに無期限で突入する旨の通告書をファックスで会社に送信。

 同日午後3時からはラムラ本社に「ストライキ通告書」の原本を直接担当者に手渡すため、申し入れ行動を展開した。

 

めがねおー〉コロナ倒産に対応  組合が眼鏡店守る

 東京の御徒町と秋葉原で営業していた眼鏡店「めがねおー」の労働者でつくる全国一般東京東部労組めがねおー支部に対し、会社側は5月に新型コロナウイルス感染拡大の影響で経営難になったとして7月末での両店舗の閉店=廃業と会社解散の
方針を示してきた。

 

 このまま廃業になれば組合員も解雇になるということに危機感を持った東部労組と同支部の桑原委員長は、会社が廃業と解雇を強行してきた場合にはストライキに入ると同時に店舗での泊まり込み職場占拠に打って出る闘争方針を確立した。

 

 こうして臨んだ団体交渉で、労組側は解決策の一つとして店舗の譲渡による自主営業を認めるよう社長に要求した。
 会社側は全店舗の閉店方針にこだわり当初は難色を示したが、闘争方針を背景にした東部労組と桑原委員長の粘り強い交渉の結果、御徒町店の組合員への譲渡に合意することができた。

 

 その内容は、店舗の実質的な賃貸借契約の維持、眼鏡加工機や在庫商品などの資産の譲渡、屋号やホームページの継続などで、桑原委員長が納得できるものになった。

 

 めがねおー御徒町店は8月から桑原委員長による自主営業がスタートした。

 

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須田 光照(全国一般東京東部労組)

 

サンケン争議〉解散・廃業止めよう ネットで連携、本社前へ

 8月20日午前7時15分、韓国サンケン労組からのサンケン電気和田社長あての文書を手渡したいと本社前に集まった約30名。しかし、門前払い。即、抗議行動を行った。

 

 韓国サンケン労組を支援する会準備会事務局の尾澤孝司さんがマイクを握り「サンケン電気本社は『赤字』を理由に韓国サンケンを解散・清算すると言っているが、韓国に別の会社をつくり利益を上げている。組合潰しの廃業だ。容認するわけにはいかない。会社が廃業を撤回するまで団体交渉の要求等していきたい」と訴えた。

 

 韓国サンケン労組分会長のオ・ヘジンさんはインターネットで、「私たちが望んでいるのは慰労金ではありません。働き続けられる生産現場です」と訴えた。

 

 3年前日本に常駐したキム・ウニョンさんは「オンラインではあっても、日韓労働者が思いをひとつにして共に闘い、解散・清算という状況を跳ね返していきたい」と話した。

 

 8時45分から約1時間、最寄りの東武東上線「志木」駅頭で情宣活動を行った。

 9月3日には韓国サンケン労組を支援する会の結成集会が開催される。

 

尾澤 邦子(韓国サンケン労組を支援する会準備会)

 

十三市民病院〉市長に声上げたら配転  組合つくり団交で追及

 5月11日に大阪市役所の松井市長の囲み会見に偶然出くわしてから自分の世界がひっくり返ってしまいました。

 

 6月25日、突然上司から神戸海星病院への配転を告げられました。

 表向きは「コロナ」ですが、真の理由は松井市長と十三市民病院からの圧力でしょう。

 

 配転を拒否した私は、れいわ新選組の大石あきこさんに「日本で一番強い労働組合はどこですか?」と尋ね、彼女に連れて行かれたのが「連帯ユニオン」でした。

 連帯ユニオンは直ぐに対処してくれ、配転は8月の末までの自宅待機に変わりました。

 

 サクラヘルスケアサポートは組合との団体交渉を「コロナ」を理由に渋っていましたが、7月30日、大阪で行いました。
 この組合活動を通して私が学んだことは、会社や弁護士も労働組合や労働に関する法律を知らないという事です。

 

 情報開示請求を使って得た契約書には「市の職員が不適当な委託社員を交代させる」権利を持つなどとあり、市役所に申し入れをすると、市役所は「間違い」だとして契約書を作り直すと言いましたが、この「権利」を使い、私を不当配転しようとしたのだと思います。

 

 私と市役所行動の仲間たちの粘りで、マスクの配布・研修・手当などが与えられ、労働環境は以前より良くなっています。

 

 サクラヘルスケアサポートは病院と新しい契約を結び月額80万円以上を病院からコロナ手当として受け取っています。

 十三市民病院は団体交渉を拒否していますので労働委員会に申し入れしました。

 

 これからも争議は続きます。支援をお願いします。

 

大西 ゆみ(連帯ユニオン・十三市民病院分会)

 

マタハラ裁判〉育児しながら働く権利を 最高裁勝利へ JBL事件集会

 7月16日の集会(妊娠・育児によるハラスメントをなくす会・ジャパンビジネスラボ(JBL)事件原告弁護団主催、日本労働弁護団後援)は、新型コロナ感染防止対策をとったうえで、73名にご参加いただいた。

 

 JBL事件は、正社員のAさんが、育休延長終了時に「希望する場合は正社員への契約変更が前提」という会社の説明を信じて週3日・1日4時間・期間1年の契約社員契約書(期間1年)に署名したところ、会社から正社員に戻すことを拒否され雇止めされた事件。

 

 会社は正社員の地位不存在確認の労働審判を申し立てるも取り下げ、Aさんを雇
止めしたうえで地位不存在確認訴訟を提起した。

 

 Aさんが ①正社員の地位の確認、②雇止めの無効、③損害賠償等を求め提訴したところ、会社はAさんが提訴時に行った記者会見について名誉棄損の損害賠償反訴請求まで行った。

 

 1審判決(東京地判平成30年9月11日)は①を否定したものの、会社はAさんを正社員に戻す交渉で「不誠実な対応に終始」した、「子を養育していることを原因とするもの」と批判して慰謝料100万円(③)、雇止め無効(②)を認め、会社の反訴を棄却した。

 

 控訴審判決(東京高判令和1年11月28日)は、①を否定、執務室での録音等を理由に雇止め有効(②)、わずか5万円の損害賠償しか認めず(③)、Aさんに会社へ55万円の損害賠償を支払うことを命じた。

 

 現在、Aさんは上告、上告受理申立中である。

 

 第1部のトークセッションでは、浅倉むつ子さん(早稲田大学名誉教授)が、JBL高裁判決は「育児をしながら働き続けることへの大きな障壁となり、女性が輝ける社会とあまりにもかけ離れている判決」と厳しく批判し、同判決を支持する評釈は見られないと指摘した。

 

 竹信三恵子さん(ジャーナリスト、和光大学名誉教授)は、高裁は会社に限りなく従う社員を前提とする、最高裁には働く側にとっての多様化の権利を認めてほしいと述べた。

 

 水野英樹さん(日本労働弁護団幹事長)は、職場で労働者の権利侵害やその蓋然性のある場合は録音が禁止されていたとしても許されると考えるべき、提訴記者会見の名誉棄損を認めた点は言論の自由を否定し運動を封殺する効果があると指摘した。

 また、育介法には「育児と仕事の両立」とある、裁判所は法に従って有期に切り替える合意の有効性を判断すべきだったと指摘した。

 

 第2部では、JBL事件原告が「高裁判決をチェンジするチャレンジ」と述べ感謝と引き続きの支援のお願いを述べた。

 

 労働組合、当事者、女性団体、マスコミ関係者等から潮流を超え、力を合わせて
高裁判決を破棄させようという力強い支援・連帯のメッセージが寄せられた。

 

上田 貴子(JBL事件原告弁護団・弁護士)

 

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